心を静めて無心になり、身も心もリラックスすることができる「瞑想」。ストレス社会を生き抜く多くの人々の、欠かせない習慣になりつつある。そんな瞑想だけど、毎日行うことが大切。しかし、ついつい三日坊主になって、続かないという人も多いはず。そこでおすすめなのが、お風呂で行う「瞑想浴」。今回はそんな瞑想浴の効果や方法について、お風呂のソムリエの松永 武さんに伺った。

お風呂×瞑想「瞑想浴」とは?

young woman relaxing in bathtub
PhotoAlto/Frederic Cirou//Getty Images

「瞑想浴」とは、お風呂の中で瞑想を行うこと。ほかの瞑想となにが違う?

「瞑想にはさまざまなやり方がありますが、お風呂の中で行う瞑想浴は、自分と向き合いやすい方法です。裸の状態で行うため、まっさらな自分に向き合うことができる瞑想方法といえるでしょう。また、お風呂場はさまざまなモノをシャットダウンするのには恰好な場所。スマホやテレビなど、デジタルデバイスからも離れることができますし、視覚的なさまざまなものをシャットダウンすることができます。さらに、お風呂の中は浮力が働くので、重力から解放されるのもメリット。水の浮力で重力が9分の1になるので、自分自身をフラットな状態に持っていきやすいんです。そのことにより深い瞑想ができ、雑念がなくなりますよ」と松永さん。

瞑想浴には自律神経を整えたり、脳をリラックスさせたりなど、さまざまな効果があるという。

「通常の瞑想同様、ストレスの軽減、心身の深いリラックス、幸福度を高めるなど、さまざまな効果を得ることができます。また、体を温めてあげることで、リラックスする効果がアップします。さらに、食事の前に入ることで、血流が全身に廻り、食欲が抑えられるという効果も。なかなか1日のうちに自分に向き合う時間を作ることは難しいですが、お風呂で行うことで瞑想を習慣的に行うハードルを下げることができます」

「瞑想浴」のやり方とは?

bubble bath personal perspective bath tub, woman in tub with feet up
Jena Ardell//Getty Images

①お風呂場に入る前の準備

理想のお風呂環境は室温25度、湿度90%以上です。換気扇をオフにすることで温度と湿度が上がるので、お風呂に入る前に消しておきましょう。また、リラックス効果を高めるため電気も消して、薄暗い状態に。お風呂の温度は、30~34度くらいがおすすめ。この方法は「不感浴」と呼ばれますが、熱くもなく冷たくもないお風呂に浸かることでお母さんのお腹の中、羊水の中にいるような感覚で、リラックス効果を上げる方法です。お湯の量ですが、全身浴でも半身浴でもOK。肩まで浸かるくらい溜めれば浮力を使うことができます。長風呂が苦手、体に負担をかけずに長時間入りたい方には、みぞおちくらいまで浸かるくらいのお湯の量(半身浴)をおすすめしています」

②かけ湯をして、体を洗う

前回の記事でもお話しましたが、いきなりお風呂に浸かるはNG。突然お風呂に入ってしまうと、体はびっくりして、ストレスを感じてしまいます。なので、まずはかけ湯(シャワーでもOK)を、右の脚先から行ってください。お湯に体が慣れたら、頭と体を洗って、毛穴の汚れをしっかりと落としてください」

③湯船にはできるだけ長く浸かる

「瞑想浴をするときは、できるだけ長時間入浴することをおすすめしています。瞑想自体は5分くらいでもよいでしょう。瞑想を行うときは、呼吸が大切です。僕のおすすめは、5.10呼吸法。5秒かけて鼻から吸って、10秒かけて口から吐く。呼吸に意識をしっかり向けましょう。新鮮な空気を吸うとリラックスできるので、浴室に窓があれば、開けておくといいでしょう。ない場合は、お風呂場のドアを開けてみて。のぼせやすい、という方は、冷たいタオルを頭に乗っけると、のぼせを防止することができますよ。また、冷たいタオルで首元や脇を冷やすと脳を騙すことができ、長風呂することができるので、ぜひ試してみてください」

瞑想浴するときに必要なものはある?

ただお湯に浸かるだけでも瞑想浴の効果を十分得ることができるが、さらにリラックス度を上げるために、キャンドルや入浴剤を取り入れるのもおすすめだという。

「キャンドルを炊いて、半眼で瞑想を行うのが僕のお気に入りです。火を見つめながら、なにも考えないようにすると、とても落ち着きますよ。パラフィン系のキャンドルだとススがでやすいので、ソイワックスのものをおすすめしています。ガラスや火の元などには、十分気をつけてくださいね。また、入浴剤を取り入れるのもよいでしょう。たとえば、香りがお気に入りのもの、水素系・塩化物・ナトリウムが入った入浴剤もおすすめです。あとは、塩をお風呂に入れると、皮膚のタンパク質とナトリウムが結合して、膜を貼り、保温保湿を高めてくれます。体が冷めず、ポカポカが続きますよ」

ぷかぷかバスキャンドル

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お風呂のソムリエおすすめ!
Credit: 楽天

「お風呂に入るときはとにかくリラックスすることが大切なので、自分が大好きなものを持ち込んでみるのもテクニックの一つ。子供が人形をお風呂に持ち込むように、お気に入りのものを持って入るのもいいと思います。お風呂だから持っていってはいけないという概念は忘れましょう」と松永さん。

瞑想浴は、1日に何度でも、いつ行ってもOK。イライラしたときや、心を落ち着けたいとき、リモート会議のあとの気分転換方法として取り入れてみては?

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松永 武
お風呂のソムリエ

バスリエ代表取締役、一般社団法人HOT JAPAN代表理事。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、 温泉健康指導士、バスリエとしても活躍中。自身の体験から「良い眠りには良いお風呂が大切」と考え、2005年にバスリエを創業。「バスリエ」はお風呂(bath)とワインなどで知られるソムリエの造語。バスグッズを5万点試してきた。バスリエでは、ECサイト「 お風呂のソムリエSHOP!」の運営に加え、「今の仕事にお風呂をプラス」をコンセプトにした「+バスリエ」事業を立ち上げ、お風呂セミナーや、入浴剤のワークショップ、バスリエ検定、商品企画や卸売りを手掛ける。 バスリエHP :https://www.bathlier.com/ インスタグラム:@bathlier_ofuro

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Kaoru Sawa
ウィメンズヘルス・エディター

美容・ダイエットを中心とした記事を担当。自他共に認める美容マニアで、ハマり症。その気質から、自分が挑戦する取材企画には必ず結果へのコミットにこだわる。男性ライフスタイル誌、女性向けアプリメディアなどを経て、2021年までウィメンズヘルス編集部に在籍。