眠れない? 多忙な1日が終わっても心身の緊張がほぐれず、リラックスできないときはマインドフルネスが解決策をくれるかも。

今回は、マインドフルネス瞑想で活発になりすぎた思考を落ち着かせ、眠りにつきやすくするための方法を理解するべく、公認心理学者で著書に『The Leader's Guide to Mindfulness』を持つオードリー・タン博士に話を聞いた。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスは“いま、この瞬間”を意識して体と心の状態に耳を傾けるという実践に基づいたシンプルな瞑想形式。

「マインドフルネスは、人生という名のランニングマシンに足を取られず、“いま”を生きる能力です」とタン博士は説明する。「具体的には、他者に与える影響を考えた上で自分の行動を選択し、自分の体が言わんとしていることを認識して、その知識を上手に使うということです」

マインドフルネスを実践するには?

概念は分かりやすくても、実際にやってみると想像以上に難しいのがマインドフルネス。でも、この記事で紹介するシンプルなテクニックを日常の一部にすれば、ストレスが軽減して心が落ち着き、何より眠れるようになる。

「自分の体の感覚を意識しながら深呼吸とストレッチをするだけでも、体の声を聴くためのよい練習になりますよ。だから瞑想とヨガは、マインドフルネスの一形態としてつながっているんですね。深呼吸をすると心が落ち着きます。そして、心が落ち着いているときは、より良い判断を下せます」とタン博士。

「ですが、自己、他者、意識的な行動に対する認識と、“いま”という瞬間を味わう能力を向上させるテクニックなら何でもマインドフルネスの醸成に役立ちます。そして、私たちがマインドフルになればなるほど、私たちのパフォーマンスとウェルビーイングも向上します」

シンプルで効果的な3つのマインドフルネス実践法

まずは、タン博士が推奨するシンプかつ効果的な方法で、“いま”という瞬間を味わおう。これは誰にでもできること。

1.感謝のストレッチをする

朝目が覚めたら腕を伸ばして、あなたの所有物の中で感謝したいと思うものを1つ挙げる。その次に脚を伸ばして、あなたの知り合いで感謝したいと思う人を1人挙げる。最後に全身を伸ばして、今日楽しみにしていることを1つ挙げる。これで“いま”、“ここ”、そして“あなたが持っているもの”に意識が向くはず。

2.自分の感覚をフルに使う

あなたに必要な情報をくれるのは目だけじゃない。味覚、触覚、嗅覚、聴覚を通して分かる状況や得られる経験には、どんなものがあるだろう?

3.言葉を選ぶ

物事が「よい」か「悪い」か、「正しい」か「間違っている」かは、そのときの状況次第で変わるもの。だから自分の行動は、自分が求める結果に「つながる」か「つながらない」かで考えたほうがいい。そうすれば、自分の目標から逸れずにいられるだけでなく、自分の行動が不要な感情に支配されることもなくなる。

睡眠の質を高めるためのマインドフルネス実践法

タン博士によると、ベッドタイムまでのルーティンを構築することも大切。「寝るまでの行動に気を配るのも(上記のポイントと)同じくらい重要です」

「睡眠において最も重要なことの1つは、心を落ち着かせておくことです。後述のマインドフルネス・エクササイズは役に立つはずですが、その前に緊張をほぐしておくことも重要です。そうしないと、(後述のエクササイズで)心に「リラックスしなさい」と“指示する”ことがかえって大きなストレスになりますからね!」

ベッドタイムが近づいたら、次のことをするようにしてほしい。

・コップ1杯の水を飲む。
・メモ帳をベッドサイドに置いておく。真夜中に目が覚めて忘れたくないことがあるときは、スマホではなくメモ帳に書き留めて!
・就寝前の6時間はカフェイン飲料を摂取しない。その代わりにカモミールティー、白湯、ホットミルクを飲むといい。
・就寝前の1時間はSNSやスマホを使わない。

寝る前に試してほしいシンプルなマインドフルネス・エクササイズ

「深呼吸や穏やかなボディスキャンは、体を睡眠モードにする上で有効なテクニックです」とタン博士。就寝の準備が整ったら、次のステップで入眠を促そう。

1.深呼吸を数回して自分の心を落ち着かせる。3秒かけて息を吸い、2秒間息を止め、5秒かけて息を吐く。

2.雑念が浮かんだ場合、それが重要なら書き留めて呼吸に戻る。そうでないなら、その雑念の存在を認めるだけでスルーして呼吸に戻る。

3.暖かい日差しが足元に降り注いでいることを想像する。

4.「息をしてリラックス」という言葉を繰り返しながら、足を伸ばしてリラックスさせる。太陽の光が動いて、あなたの脚を暖めている。そこで再び「息をしてリラックス」と心の中で呟きながら、脚を伸ばしてリラックスさせる。

5.次は腰、そして胴体に全神経を集中させて、「息をしてリラックス」をリピートしながら暖かな感覚を味わう。

6.その暖かさを肩に移し、腕から指先まで下ろしていく。その間も「息をしてリラックス」。最後は首と頭のてっぺん。そのあとも穏やかな呼吸を続ける。

7.森や波の“自然音”やピアノ音楽を流すと、心が落ち着くかもしれない。

これは深呼吸(には生理学的なメリットもある)とストレッチ、そしてマインドに呼びかける「リラックス」という言葉の3つを睡眠と無意識のうちに結び付ける健全なエクササイズなので、ぜひ試してみて。

 

※この記事は、『Netdoctor』から翻訳されました。

Text: Rhalou Allerhand Translation: Ai Igamoto

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Rhalou Allerhand

Rhalou is a senior digital editor specialising in health and wellness with over fifteen years’ online and print publishing experience.   

Rhalou has worked for various health platforms including Women’s Health, Men’s Health, Runner’s World, Netdoctor, Women’s Running, Men’s Running, The Running Bug and Women’s Fitness.   

Covering everything from sexual health to fitness, parenting, marathon running and self-care, Rhalou loves creating fun and accessible lifestyle content and feels strongly about demystifying complex medical jargon and empowering people to better understand their health.   

Previously, Rhalou was a freelance social media specialist for several major sporting events and race listings including The London Marathon, Breca Swimrun, Findarace, The Westminster Mile and Prudential Ride 100. She has also been a reporter on a local newspaper in remote Scotland, penning breaking news stories about killer otters, cats stuck up trees and the Scottish hill racing scene.    

Over the years, Rhalou has been lucky enough to run 15 marathons and even a few ultra-marathons. She is still a passionate runner, but these days she can mostly be found at her local parkrun or chasing after her young son.  

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。