「瞑想はただ目を閉じて座るだけ」と言われても、「言うは易く行うは難し」。5分もじっと座っていることが難しい人もいるだろうし、YouTubeやアプリで「瞑想」と検索すれば千差万別のチョイスが出てきて、逆に始めるのにハードルが高くなってしまっているかもしれない。
かくいう私も、元来セカセカし注意力が散漫になりやすい習性で、瞑想中は特にその性質が表立ってしまい、瞑想中苦しんだり、ドキドキしてしまったりと、瞑想に迷走する経験はかなり豊富。そんな中、色々な瞑想にトライアンドエラーを繰り返してきたわたしが唯一長年毎日続けることができている瞑想スタイルがボディスキャン瞑想。
ボディスキャン瞑想は、自分の体を注意深く観察する瞑想法。
瞑想の練習はしたいけれど、瞑想に迷走してしまう、なんて人は参考にしてみて。
ボディスキャン瞑想とは?
ボディ(体)スキャン(読み取る)瞑想という名前からイメージできるように、体の各部位に意識を向ける瞑想方法。指示された体の部位に意識を集中させる瞑想で、特別に分析やジャッジをくだす必要はなく、”ありのままの状態を観察する”というマインドフルネス瞑想の一種。
数ある瞑想方法の中でも唯一、わたしがボディスキャン瞑想を続けることができている大きな理由は、“楽”だから。
わたしたちの心(脳)はどうしても何かを考えずにはいられない習性で、それが特有。きっと長年瞑想の練習をしてきた人や造詣が深い人は、心を上手にコントロールすることができるかもしれないけれど、みんながみんなそうではなくて、その数は極めて少ないはず。
だからわたしのようなタイプの人間は、静かにただ座っているだけでいいと言っても抽象的すぎて、考えなくてもいいようなことを考えて迷走してしまうのだと思う。一方で、ボディスキャン瞑想は五感という武器を使いながら、体の部位に意識を集中するのでより具体的。心を体に向けることができるので、余計なことにとらわれないで済む。(もちろんいつもそうではないけれど)
ここからは、ボディスキャン瞑想を続けていて感じている効果についても紹介していくので、ぜひボディスキャン瞑想のモチベーションアップに役立てて。
わたしが感じるボディスキャン瞑想の効果
■体がスッキリする
例えば朝スッキリ起きることができなかった時は、ぜひボディスキャン瞑想にトライしてみて。頭がボーッとする、目が重い、全身が気だるいなどの、なんとなくの不調が、ボディスキャン瞑想をするとスッキリする。
■微細な変化に敏感になる
「元気?」と聞かれたら「元気」と答えるけれど、実はそうでないこともある。私たちの心身は一瞬一瞬刻々と変化しているけれど、それはあまりにも微細すぎて「いつの間にか肩こりがあった」「いつの間にか冷えていた」なんてことも少なくない。そんな変化に気づかず「元気」って答えるけれどよくよく意識してみると、「100%元気ではない」ということって意外と多いもの。ボディスキャン瞑想では(練習の長さにもよるけれど)細かく体の部位に意識を向けていくので、「あれ、実はここ凝っていたのかも?」なんて、実は〇〇だったということに気づけるようにもなる。そして、練習を重ねれば重ねるほど感度は高くなり、日常生活でも微細な変化に敏感になってくる。ちょっとした変化に気づけば、その都度メンテナンスを入れて大きな不調や悩みにつながることも防げる。
■地に足がつく
あまりにもスピーディーな時代の変化に浮き足立ち、冷静さを欠いた状態になってしまうのも珍しくない現代。ボディスキャン瞑想に限らずとも全般的な瞑想の練習は、「今ここ」にいることを感じる練習なので、わたしたちの心身を地に足がついた状態にしてくれる。
「ちょっとセカセカしている」「落ち着かない」「色々なことを考えてしまう」なんて忙しいマインドの時は、ほんの数分間でも瞑想の練習をすると、落ち着きを取り戻すことができる。
■体に引っ張られなくなる
瞑想をするとよく「ありのままの自分を受け止めることができる」なんて聞くけれど、ボディスキャンの場合もそれは当てはまる。そして体にフォーカスして不調を受け止めることができるので、とても楽になれる。例えば、「実は肩こりが解消できなくて、イライラする」なんてことはよくあることだけど、「肩こりがある自分を受け止める」と、肩こりが気にならなくなったり、「肩こりしているんだから、今日はちょっと休もう」なんて自分に優しくできたりもする。
■睡眠の質が向上
就寝前、ベッドに入ってすぐに寝付けないと、余計なことをグルグルと考えてしまうなんてこともある。でも瞑想をすればリラックスできるので、緊張も解けてくる。ポイントは、ゆっくり呼吸すること。また、吐く息を吸う息よりも長くするようにするとGOOD。もしできれば、意識を向ける体の部位につどつど呼吸を送るようにイメージしてみて。終わった時には不要な力が全部抜けて夢の中にいるかも。
科学的にはなんて言われているの?
と、ここまでは、わたしが個人的に感じているボディースキャン瞑想の効果についてお話ししたけれど、「信憑性に欠ける」と言われても仕方がない。だけどボディースキャン瞑想には、目に見える効果を証明してくれる研究もある。
もし、あなたが原因が分からない心身の不調に悩まされていたとしたら、ボディスキャン瞑想をすることで、不安、怒り、フラストレーションなど、その感情を軽減できる可能性があることが、研究により示唆されている。
また、臨床の場では、慢性的な痛みを持つ人々に即効性があることが示されていている。
そして喫煙のように「やめたいのにやめられない」という習慣を断ち切ろうとするときにも有効なんだとか。
ボディスキャン瞑想のやり方
さて、ここまで読んでみて「ボディスキャン瞑想をやってみたい!」と思った? 最初のうちはガイドされたボディースキャン瞑想をやるのが簡単。慣れてきたら自分で体の各部位の指示出しの練習もしてみると自分のペースででき、さらに集中しやすくなるのでおすすめ。
自分でボディスキャン瞑想をする場合は、以下を参考にしてみて。
1. 【快適なポジションを探す】わたしはシャバーサナの姿勢が一番好き。寝落ちしやすい場合は、クッションやヨガブロック、壁などに補助された座り姿勢や椅子に腰掛けても◎。
2.【呼吸に意識を向ける】
呼吸するたびにお腹が膨らんだり縮んだりするのを感じてみて。
3. 【体の各部位に意識を向ける】
ゆっくりとした呼吸を続けながら、体の各部位へと意識を向けていく。痛みや緊張に気づいたらそれを認め、それに伴う考えや感情も認め、そっと息を吹き込んで。意識を向ける順番は、 足元から頭頂へ or 頭頂から足元へ向かっていくのが分かりやすいかも。朝であれば前者、夜であれば後者がおすすめ。
4.【静けさを楽しむ】
もし余裕があるようであれば、静けさを楽しんで。そのまま寝落ちする可能性も大だけど、それもそれでありのままの自分を受け止めることになるのでOK。
「今日は難しい」という日、「時間がない」という日などは、ゆっくり体を動かして活動する準備をはじめて。いきなり起き上がったり目を開けると、予想以上に体も心もビクつくと思うので、動きを開始する時もゆっくりを心がけて。
ボディスキャンが終わったらジャーナリング
瞑想が終わってもし寝ていなかったら、体が私たちに伝えようとしていることに気づくための簡単なジャーナリングをしてみるのがおすすめ◎。
「ボディスキャンの結果、あなたはどのように感じた?」
「体の部位で緊張を感じたのはどこ?」
「呼吸が深かった? 浅かった? それとも普通?」
「自分の体をジャッジすることなく観察できた?」
「頭の中の声は何についておしゃべりしていていた?」
「セッションの前と後では、どのように感じた? 何か変化はある?」
「心はどう? 活気がある、リラックスしている、その中間?」
わたしの場合は瞑想後いつもぼーっとしてしまったり、感じていることを言葉にスラスラできないことも多いので、こんな質問を事前にノートに書いておくと便利だなと思ってそうしている。
覚えておきたいのは、瞑想には“唯一の正しいアプローチ”なんて存在しないということ。結局のところ、自分に合った瞑想がベスト。
よく、毎日同じ時間に、同じ場所で瞑想することが最も効果的だと言われていて、これは習慣を形成するのに役立つけれど、それはあまり気にしなくてOK。
15分でも、5分でも、3分でも瞑想しないよりはまし。
おそらく気が散ってしまうかもしれないけれど、誰にでもあることだし、自分自身に辛い思いをさせるのではなく、一番身近な存在である自分に関心を持って愛してあげて。