<目次>

▶︎マインドフルネス瞑想とは?
▶︎マインドフルネス・瞑想のメリットと効果
- メリット①免疫がアップする
-メリット②ストレスに強くなる
-メリット③過食を防ぐ
-メリット④睡眠の質がアップする
-メリット⑤体重が減りやすくなる
-メリット⑥優しくなれる
-メリット⑦アルツハイマー予防になる?
▶︎日常生活の中でマインドフルネスを実践する方法
-食事でマインドフルネス
-読書でマインドフルネス
-通勤時間でマインドフルネス
-スマホを手放してマインドフルネス
-掃除でマインドフルネス
-入浴でマインドフルネス
-歯磨きでマインドフルネス
-ジャーナリングでマインドフルネス
▶︎マインドフルネス瞑想のやり方
▶︎マインドフルネス瞑想以外にもある、寝る前におすすめの瞑想のやり方
▶︎マインドフルネス・瞑想のポイント
▶︎まとめ

マインドフルネス瞑想とは?

マインドフルネス(Mindfulness)は、「今現在体験していることに全意識が集中している状態」を指す。マインドフルネスという単語を分解すると、マインドは精神や意識、フルは満ちている、ネスは状態を意味する。「今ここに気づく」と訳されることもある。

マインドフルネスのルーツは、仏教の「八正道(はっしょうどう)」。

八正道とは、安らかな暮らしを実現し自分らしく居られるようになるための実践を「8つの道」として説いたもの。正見(Right View)、正思惟(Right resolve)、正語(Right speech)、正業(Right action)、正命(Right livelihood)、正精進(Right effort)、正念(Right Mindfulness)、正定(Right concentration)。この中のひとつが、心を鎮めてただ一点に集中する「Right Mindfulness」である。

1979年にアメリカの分子生物博士であるジョンカバットジン氏が、八正道の正念と心理学を融合させたマインドフルネスストレス軽減法を構築し、今のマインドフルネス瞑想のベースになっている。

マインドフルネス・瞑想のメリットと効果

マインドフルネスや瞑想の効果については、多くの研究で様々なメリットが実証されている。ここでは、これまでウィメンズヘルスの記事でご紹介してきた研究結果から、いくつかのメリットをご紹介。

マインドフルネス・瞑想のメリット①免疫がアップする

科学専門誌『PLOS One』に掲載された研究によると、瞑想を行ったグループと、エクササイズを行ったグループを比較した結果、瞑想を行ったグループのほうが病気で会社を休む回数が少なく、体調がいいと感じる人が多かった。瞑想は体の抗体づくりをサポートするため、病原菌、感染症、毒素を撃退するのが楽になる。

マインドフルネス・瞑想のメリット②ストレスに強くなる
ai artificial intelligence concept communication network gui graphical user interface
metamorworks//Getty Images

バルセロナ生物医学研究所のパーラ・カリマン博士らの研究によると、瞑想を1週間続けた人と、それ以外のリラックス法を行った人に同じストレスを与えたところ、瞑想を行っていた人の方がストレスからの回復が早かった。これは1時間に3分の瞑想でも効果があるそう。


マインドフルネス・瞑想のメリット③過食を防ぐ

ラッシュ大学医療センターとベラミン大学の共同研究によると、ストレスが溜まったときや、悲しいとき、退屈なときに瞑想するよう指示された被験者たちは、無意識に何かを食べたいという衝動に駆られても、自分の感情に気を配れるようになり、過食したい衝動をコントロールできるようになれたそう。

マインドフルネス・瞑想のメリット④睡眠の質がアップする

ある研究で、不眠症を抱える20人の被験者が瞑想を実践したところ、より長く良質な眠りにつくことができた。さらには、より明確に物事を考えられるようになり、体調も改善したと被験者たちは報告している。ヨガ行者の睡眠習慣と脳のスピードを研究した結果、毎日2時間の瞑想と4時間の睡眠が、7時間の睡眠による精神的な修復効果に匹敵することもわかっているそう。睡眠に問題があるなら、瞑想を試してみる価値あり!

マインドフルネス・瞑想のメリット⑤体重が減りやすくなる

米国のブリガムヤング大学とコロラド州立大学の合同研究チームが、200名を対象に行った研究によると、食事中に「噛む音を立てながら」食事をしたグループは、何も意識せずに食べたグループよりも摂食量が少なくなった。これは、食べ物を噛む音に意識を向けた、マインドフル・イーティングのおかげ。

マインドフルネス・瞑想のメリット⑥優しくなれる

心理科学情報誌『Psychological Science』に掲載された論文によると、マインドフルネス瞑想または思いやり瞑想を続けた人たちは、瞑想をしなかった人たちに比べ、思いやりを測る実験でより思いやりのある行動をとった。これは瞑想をすることで周囲で起きていることに対する意識も高くなり、助けを求めている人の存在に気が付きやすくなったことも理由と考えられている。

マインドフルネス・瞑想のメリット⑦アルツハイマー予防になる?

神経科学情報誌『Neuroscience Letters』に掲載された研究論文によると、1日15分の瞑想は認知障害の進行を大幅に遅らせることがわかった。軽度認知障害の成人がガイド付き瞑想を8週間続け、週に1度のマインドフルネス瞑想に参加した。8週間後、被験者のMRI画像を分析すると、被験者のデフォルト・モード・ネットワーク(断続的に動き続ける脳の領域)の機能的結合が改善していた。また、海馬(記憶をつかさどる脳の領域で認知症によって縮小する)の縮小スピードが低下して、認知力とウェルビーイングが向上していた。

日常生活の中でマインドフルネスを実践する方法

東洋医学の医師および『The Art of Stopping Time: Practical Mindfulness for Busy People』の著者、ぺドラム・ショジャイーによると、マインドフルネスに対する私たちの理解は間違っているそう。。マインドフルになるには瞑想が必要、というのは東洋哲学の誤訳で、日常生活の中のちょっとした瞬間でマインドフルネスは実践できる。

食事でマインドフルネス
woman holding fork with leaf of salad
Maiwolf//Getty Images

テレビやスマホ、音楽を消して、今食べている食事だけに意識を集中させ、食べ物を口にいれ、噛み、味わい、飲み込むという一連のプロセスを一つ一つ意識してみよう。食べ物を口にいれたら、その都度箸を置き、味わうというだけでも瞑想と同じような効果が得られる。


読書でマインドフルネス

読書は日常生活から脱出する手段。少なくとも1日に30ページは本を読む時間を作ろう。


通勤時間でマインドフルネス

毎日の通勤時間も、意識一つでマインドフルな時間にできる。そのためには、イヤホンで音楽を聴くかわりに周りの音に耳を傾けよう。電車に座りながら、この洋服はどんな着心地? シートはどう? 暑い? 寒い? と自分に尋ねてみて。周りの人々の様子は? 車両の中やバスの中を見渡してどんな色が見える? 外の景色は? 

スマホを手放してマインドフルネス

マインドレスにSNSをスクロールするのはやめて、代わりに周囲を観察したり、ただ座って自分の考えに向き合ってみよう。1日中スマホからの情報を浴びている生活では、たった30分でもいいからスマホを手放してみることで、マインドフルな時間を作り出すことが容易になる。


入浴でマインドフルネス
feet in bath
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日常生活では、ストレスを感じる場で活発になる交感神経が優位な状態がほとんど。1日の終わりにお風呂に入ることで、交感神経の緊張が緩んで、副交感神経が活発になり、自律神経のバランスを整えてくれる効果も。お風呂の中で目を閉じて、3分間呼吸に意識を向けるだけで、副交感神経が優位な状態にスイッチし、夜もぐっすり眠れる。

掃除でマインドフルネス

食器洗いや窓拭き、雑巾がけなど、汚れを落とす掃除はマインドフルネスにぴったり。食器を洗いう行為は特に、洗剤の泡立ちや匂い、水の温度など、五感を刺激する要素が多くてマインドフルになりやすいはず。毎日の掃除タイムも、マインドフルネスタイムだと思えば楽しくなりそう!

歯磨きでマインドフルネス

毎日行っている歯磨きも、意識を向ければマインドフルネスタイムになる。歯を一本一本磨くことに意識を向けるだけでOK。歯磨きの時間だけでも、スマホなどの他の刺激は遮断して、その瞬間に集中してみよう。


ジャーナリングでマインドフルネス
still life blank journal note pad, pen and coffee cup on a table
Karl Tapales//Getty Images

ジャーナリングとは、マインドフルネス瞑想でもよく取り入れられる手法で、自分の感情をすべてノートに書き出すこと。まとまった文章でなくてもいいので、自分の頭の中にある感情や気持ちを客観的に眺めて、それをどんどんノートに書いていく。そして、自分がこう感じているのだな、ということを眺めて、手放す。簡単なことだけど、やってみると感情がすっきり整理されるはず。

マインドフルネス瞑想のやり方

マインドフルネス瞑想のやり方にはいろいろあるので、自分に合った方法を見つけてみよう。ここでは1分程度でできる呼吸法から、10分程度でできる瞑想法までをご紹介。

beautiful young female pose and practice meditation on the bed
skaman306//Getty Images

入門編:1分間の呼吸瞑想のやり方

  1. 背筋を伸ばし姿勢を整えてから、両肩の力を抜いて口は軽く結び、鼻から吸って、鼻から吐く
  2. 鼻先かおなかのどちらかひとつに決めて、体の感覚に注意を集中する。鼻先の空気の出入り、もしくはおなかがふくらむ、へこむことで、吸っているときに吸っていると気づき、吐いているときには吐いていると気づく。これを1分間続け、もし呼吸から注意がそれたら、そのことをただ観察し、判断・評価せず、再び呼吸にやさしく戻す
  3. 瞑想を終了するときには深呼吸をするなど、少し大きめの呼吸を意識的に行なって、全身をもう一度感じてから終わる




マインドフルネス瞑想以外にもある、寝る前におすすめの瞑想のやり方
young woman in bed looking up at stars
Dougal Waters//Getty Images


寝る前におすすめの瞑想①白鳥瞑想

マンハッタンのヨガスタジオ『Practice Yoga』のインストラクター、ナンシー・エルクスのおすすめは「白鳥瞑想」(フンサニ瞑想とも呼ばれる)。寝る前にやればやるほど、体が自然と落ち着くようになってくる。

白鳥瞑想のやり方

  1. 座り心地の良い椅子に背筋を伸ばして座る。親指だけ立てて手を握る。左右の親指を合わせて、爪が上を向いたVの字をつくる。親指の先端が白くなるまで力を加える(思い切り押す必要はなく、しっかり押すだけでOK)。関節の力は抜いて。
  2. 眉毛の15~20cm先に手を持ってきて、手の甲を顔に向ける。白くなった親指の先端を見つめ、親指のイメージをハッキリと心に描く。
  3. 目を閉じて、親指のイメージをまぶたの裏に思い浮かべる。
  4. 息を吸うときに「サット」(サンスクリット語で“真実”)、息を吐くときに「ナム」(これで“真実の表現”という意味になる)と唱える。この音を体の中で振動させて、瞑想を5~11分続けてみよう。
  5. 瞑想しながら眠りの神に自分の全てを委ねてしまおう。「絶え間なく浮かんでくる思考と体の緊張を他の誰かや何かに委ねてしまえば、完全にリラックスした状態に入れます」とエルクス。「自分の思考、痛みや緊張が波に飲まれるのを想像してでも、手放してあげましょう」
  6. 口蓋に舌を当て、やさしく息を飲み込んで、ゆっくりと目を開ける。あとは横になって眠るだけ。

白鳥瞑想は横になったままでもできる。

寝る前におすすめの瞑想②ハル・ベリーのマインドフルネス瞑想


女優のハル・ベリーは、20年ほど瞑想を続けている。通常は朝起きてすぐに10分間、場合によっては1時間。彼女の瞑想ルーティンをご紹介。彼女は朝派だけど、これを寝る前に行ってもいい。

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Axelle/Bauer-Griffin//Getty Images


ハル・ベリー流の瞑想のやり方 

  1. 静かな場所を探し、居心地の良い座り方をする(あぐらをかいたり、足の裏を地面につけたり)。背筋を伸ばし、手を好きなところに置いておく。
  2. 目を閉じて自分の呼吸に集中する。パターンを変える必要はない。ただ意識を向けるだけ。別のことを考えてしまっても、もう一度呼吸に集中すれば大丈夫。
  3. 5分ほど(もっと長くてもOK)呼吸に集中したら、瞑想の意図を考える。あなたには、どんな疑問や不安があるの? どんな変化を求めているの? その変化をもたらすためには何ができるの?
  4. 次の数分は、頭の中に浮かんでは消える答えを見つめ、それについて必要なだけ考えてみる。
  5. 目を開ける。頭に浮かんだ考えや答えを紙に書くと、しっかり吸収できるので、あなたにもぜひ試してほしい。



マインドフルネス・瞑想のポイント

マインドフルネスは、必ずしも瞑想を伴わなくてもできることがわかった。食べること、通勤時に歩くこと、掃除をすること、入浴すること。どんな時でも、その瞬間に意識を集中すれば、マインドフルネスな状態になれる。さらにマインドフルネス瞑想を実践したいなら、最も簡単な方法は、呼吸に意識を集中させること。その方法は様々なので、まずは最も簡単な、坐骨を立てて座り、軽く目を閉じて鼻から吸う息と吐く息に意識を向けることからスタートしてみよう。また、最近では瞑想を誘導してくれるアプリも充実しているので、初心者はアプリの誘導を活用してみるのもおすすめ。


まとめ

不安やストレスが多いこの時代、身に着けることで免疫が強化されたり、食欲がコントロールできたり、ストレスに強くなったりと、いいことづくめの瞑想。お金もかからず、1日1分からでも始められるから、ぜひこの機会に瞑想習慣を取り入れてみよう。

Headshot of Kiriko Kageyama
Kiriko Kageyama
エル・グルメ編集長/ウイメンズヘルス編集長

『エル・オンライン(現エル・デジタル)』のファッションエディターを経て、フリーランスに。女性ランナーによる企画集団「ランガール」を設立。その後女性誌立ち上げやWebメディアの立ち上げを経て2017年にウィメンズヘルス』日本版ローンチ時から編集長に。2023年夏よりエル・グルメ編集長も兼務。趣味は料理を作って友人たちに振る舞うこと。