それほど急いでいるわけでもないのに、歩道で人を追い越しちゃう? 米メイヨークリニック会報誌に掲載された論文を読む限り、それは好ましいことかもしれない。

この論文によると、英レスター糖尿病センターに所属する臨床疫学者のフランシスコ・ザッカルディ博士が率いる研究チームは、約47万5000名の被験者から歩くペースとBMIのデータを集め、その人たちを7年間フォローした。その間に亡くなった被験者の数は約1万2800名。

このデータをもとに研究チームが被験者の寿命を推測したところ、BMIに関わらず、歩くペースが速い人は遅い人より寿命が長いことが分かった。歩くペースが速い人の平均寿命は女性で87~88歳、男性で85~87。これに対して、歩くペースが遅い人の平均寿命は女性で72~85歳、男性で65~81歳だった。

さらに、時速6.4km以上で歩く女性は、時速4.8km未満で歩く女性に比べて、平均寿命が最長15年も長かった。男性の場合は、これが最長20年。

「歩くペースは、心肺機能および全身の健康状態を示す優秀な指標です」とザッカルディ博士。

つまり、歩くペースが速い人は、心肺機能が丈夫だから歩くペースが遅い人より寿命が長いということ。医学専門誌『JAMA』に掲載された2018年の研究結果も、心肺フィットネスが高ければ高いほど、早世のリスクが低いことを示している。

今回の観察研究の結果だけで、歩くペースと寿命の間に決定的な因果関係があるとは言えない。でも、研究チームによると、寿命を延ばすうえで歩くペースが重要な役割を果たすことは間違いないので、オフィスの休憩スペースへ行くときや犬の散歩をするときは、1分で最低100歩を心掛けよう(一般的に、1分で100~129歩なら中強度、それ以上なら高強度のエクササイズと言われている)。

※この記事は、アメリカ版『Runners World』から翻訳されました。

Text: Jordan Smith Translation: Ai Igamoto