日曜日の午後は家族で散歩。寒い日に、乗り気じゃないパートナーや子どもたちを暖かい部屋のテレビの前から連れ出すのは大変かもしれないけれど、諦めないで。そのメリットを裏付けるだけの科学的な根拠は山ほどあるから、ウォーキングシューズの用意を。

1.子どもの近視予防になる

とある中国の研究チームは、約1000名の小学生を3年間フォローして、毎日屋外で授業を受けた生徒と屋内で授業を受けた生徒の近視レベルを比較した。その結果、屋外授業のグループで近視になった生徒の割合は30.4%と、屋内授業のグループの40%に比べて低かった。「予想よりは小さいですが、臨床的には重要な差です」と説明するのは、この研究を率いた国立中山大学のミングアン・フー博士。「というのも、子どもの頃に発症した近視は、高度の近視(眼球が異常に伸びた状態)に進展する可能性が高いからです」。遠くのものに焦点を合わせれば、目の筋肉が鍛えられ、そのリスクが低下する。

2.心身の健康によい

フィットネスエキスパートのマット・ロバーツの話では、一定量のエネルギーで行う運動(まさにウォーキング)をすると血行がよくなって、体内のアドレナリンとエンドルフィンの量が増える。アドレナリンとエンドルフィンは、気分と活力を高めるホルモン。

3.なまった筋肉が目を覚ます

人間の体は座ってばかりいることを想定して作られていない。英国民医療サービスによると、座りっぱなしの生活は体重増加、2型糖尿病、一部のがんのリスクを高めることが証明されている。みんなが年のせいにする節々の痛みの原因が座りすぎにあることも少なくない。

「座る時間が長すぎると、ハムストリングスや臀筋などの筋肉が縮んで、コリや痛みが生じます」と説明するのは、スポーツ心理学教授のアンディ・レーン。「体は私たちのニーズに素早く適応するので、座りっぱなしの生活を送っていると、それに合わせて筋肉の長さが修正されてしまいます。でも、ウォーキングをすれば、ハムストリングスと臀筋の両方が活性化され、本来の動きを取り戻します」

4.子どもの心身の成長を助ける

子どもの頃から水たまりを飛び越えたり、バランスを取りながら丸太を渡ったりしていれば、運動技能とコーディネーション能力が高くなり、体幹が強くなる。英ラフバラー大学が2016年に発表した論文によると、4歳児の約3割は、学校で鉛筆を持ったり背筋を伸ばして座ったりするだけの技能を身に付けていない。その主な要因は幼少期の運動不足。英エセックス大学の研究結果は、1日5分、外に出て遊ぶだけで子どものメンタルヘルスと自尊心が向上することを示している。

5.冬に歩けば褐色脂肪が活性化する

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michael1959//Getty Images

米ハーバード大学医学大学院と豪ニューサウスウェールズ大学の合同研究チームによると、肥満と慢性疾患は、暖かい場所で栄養を摂りすぎている人間と動物にもっとも多い。フィットネスエキスパートのペタ・ビーは著書『The Ice Diet』の中で、「人間の体は、“よい脂肪”を活性化させ、余分なカロリーを燃やすことで寒さに上手く対応するよう作られています」と述べている。「体が寒さを感じたときにカロリーが燃えるのは、体内の褐色脂肪のおかげです。褐色脂肪は、活性化することでカロリーを燃やしてくれるよい脂肪。体の震えは、この活性化を引き起こすトリガーの1つです。寒いときは、この褐色脂肪が活性化して体を温めてくれるんですよ」。だから、霜の上もサクサク歩いて!

6.季節性感情障害の治療になる

季節性感情障害(SAD)の人は少なくとも週に3回、30分以上のウォーキングをしてほしい。理想的な時間帯は早朝か正午前後。「晴れていれば、冬でも照度3万ルクスの光が目に届きます」と説明するのは、SADの研究者で生物進化心理学を専門とするランス・ワークマン教授。「まあまあ日当たりのよいオフィスでも目に届くのは500ルクス程度ですから、そこに8時間にいるよりは30分でも外に出たほうがいいですね」

7.大事な人とつながる時間になる

仕事、テレビ、SNS、学校の間で忙しくしていると、同じ部屋にいても大切な人が遠く感じる。スロー・ムーブメントの先駆者で著書に『In Praise of Slow』を持つカール・オノレによると、ウォーキングは瞑想的。「歩いていると、頭の中を駆け巡る思考が落ち着いてきます。そうすると、周囲の人の存在を意識して、つながりを取り戻すのも楽になります」。田舎道や公園をとりとめもなく歩きながら、おしゃべりを楽しんで。

8.深刻な病気の発症リスクが下がる

ウォーキングの推進を目的としたパブリックヘルス・イングランド(英国公衆衛生庁)の論文レビューによると、ウォーキングのような運動は、心疾患、脳卒中、2型糖尿病、一部のがん(乳がんや結腸がん)、アルツハイマー病、うつ病といった深刻な病の発症リスクを20~60%も低下させる。ウォーキングには気分、睡眠の質、血圧、コレステロール値を改善し、不安を減らす作用もある。

ここまで聞けば、誰だってウォーキングシューズを出さずにはいられない!

※この記事は、『Netdoctor』から翻訳されました。

Text: Claire Lavelle Translation: Ai Igamoto