最近は「ヒップトレーニング」がブームになっているが、ヒップアップのためにトレーニングを頑張った結果、怪我をしている人がいることはあまり知られていない。今回は、ヒップアップを行うことでどんなリスクがあるのか、どうすれば安全にきれいにヒップアップできるのかについて、女性ホルモンに詳しいパーソナルトレーナーのTakが解説。

ヒップトレーニングのリスク1- 腰痛


お尻を鍛えることの一番大きなリスクは、腰痛を助長させるということである。
そもそも、腰痛の根本的な原因は筋肉を覆っている筋膜の硬さである場合が多い。

筋膜は筋肉の周りを覆っているだけではなく様々なラインがあり、1つの筋肉を動かすと同じライン上の筋肉にも力が入るようになっている。その結果、体を機能的に動かしてくれるため、歩く動作や大きな物を持つ時などに役立ってくれている。

では、バンドを使ったり高重量のウエイトでお尻を徹底的にトレーニングするとどうなるか。

お尻から腰にかけては強い筋膜のラインが通っているため、単純にお尻をトレーニングするとその筋膜ライン上の筋肉も自然と強くなりやすくなる。ということは、どんなにきれいなフォームで動いたとしても、お尻をトレーニングすれば腰の筋肉も自然と強くなり、他の筋肉との筋バランスが崩れ、腰が張ったりギックリ腰に繋がる。

全身は複雑に絡み合っているため何事もバランスが大切なのだ。


ヒップトレーニングのリスク2- 太ももが太くなる


「あのセレブのような桃尻を手に入れたい! だけど太ももは細くしたい!」と考えたことはないだろうか? 結論から言うと99%無理な望みだ!


お尻をトレーニングするときは必ず、太ももの外側の筋肉にも力が入る。ということは、意図しなくても太ももとお尻は同時にトレーニングされてしまう。しかも太もも外側の筋肉は脚を太く見せやすいため、お尻の大きさと太ももの太さは比例しやすい。

桃尻を手に入れたい方は太ももが太くなることを覚悟しよう。

ヒップトレーニングのリスク3 – 女性ホルモンの乱れ


お尻の筋肉は脚をガニ股にさせたり脚を外に動かす作用があるため、ヒップトレーニングばかりやっていると内転筋が衰え、子宮や卵巣に血液が行き渡りにくくなる。その結果、ホルモンバランスを崩してPMS症状や更年期の症状を悪化させる可能性が高くなる。

ヒップトレーニングと合わせて行うべきトレーニング


上述の通り、実は複雑なヒップトレーニング。この3つのリスクを踏まえた上で、どうすれば安全にヒップアップできるのか? 今回はヒップトレーニングと合わせて必ず行うべきトレーニング2つをご紹介。

シーテッドトーソーローテーション
ヒップトレーニングで怪我を防ぐためにやるべきトレーニング
solar22//Getty Images

  1. 膝を立て、座った状態で体を引き上げる
  2. 両手を頭の後ろで肘を開き胸を張る
  3. おなかを凹ませながら体を10度~20度後ろに傾ける
  4. 両膝をくっ付け必ず離れないようにする
  5. 反動は使わずゆっくりと体をひねる

回数:10往復
セット数:3セット

特に膝が動きやすいが、内転筋を使い固定させよう。姿勢を維持できない場合は、両手をクロスして肩に置き、肘は肩と同じ高で行ってもOK。


バイシクル
ヒップトレーニングで怪我を防ぐためにやりたいトレーニング
Oleksii Bulgakov

  1. 仰向けになり両肘は開く
  2. お腹周りをできる限り凹ましウエストを細くする
  3. 脚を浮かせたまま対角線上の肩と膝をできる限り近づける
  4. 逆の脚は遠くへ伸ばす

回数:10往復
セット数:3セット

この2つのトレーニングは内転筋を使いながら腹斜筋をトレーニングできる。内転勤と腹斜筋は腰痛を予防し、インナーマッスルの働きを促し、女性ホルモンのバランスも整いやすくしてくれる。

ちなみにこの2つを行った際に脚がガニ股になったり、お腹の横に効いている感じがない場合、3つのリスクに当てはまる、もしくはその予備軍で高い確率て筋バランスが崩れている可能性がある。週2回から4回ペースでやってみよう。それでも改善しない場合は、パーソナルトレーナーに相談して。

Headshot of Tak(鈴木拓矢)
Tak(鈴木拓矢)
女性ホルモンを整えるパーソナルトレーナー

スポーツ系専門学校卒業後フリーランスで活動し始め、トレーニング指導歴10年以上。また、スカウトされ海外のライフスタイル情報誌、ファッションモデルも経験。現在はフリーランスのトレーナーとして活動中。得意分野は女性の月経周期や更年期に合わせたQOL向上とボディメイク。 インスタグラム:@tak.trainer