お尻のたるみに効くのは”ほぐしてから鍛える”が正解。そこで、自宅でできる簡単マッサージと、ヒップアップのための筋肉をまとめて鍛えられる意外なトレーニング方法をNSCA公認パーソナルトレーナーの渡部広介さんが伝授! また、エディターCHIEが実際に続けている簡単シリトレメソッドも紹介。合計10種のシリトレでヒップアップが叶うはず!

<目次>

そもそもお尻が垂れてしまう原因は?

rear view of a diverse females together in underwear
Luis Alvarez//Getty Images

「お尻が垂れる原因は、2つの筋肉の衰えにあります。

まずはお尻の筋肉。お尻には大臀筋、中臀筋、小臀筋という3つの筋肉が三層に重なっており、この中でお尻をきゅっと上に引き上げる役目を果たすのが中臀筋です。ですが成人女性はほとんどの場合、骨盤の前傾や、長時間座りっぱなしの生活習慣などが原因で、この中臀筋が伸びきった状態で凝り固まってしまっているんです。

またお尻を鍛えるトレーニングはたくさんあるものの、その大半は大臀筋のみに効くものばかり。中臀筋が凝ったままでは、大臀筋をどれだけ鍛えても垂れたままサイズが大きくなるだけで、ヒップアップの効果はほとんどないんです」(渡部さん)

背面全体を鍛えなければお尻は上がらない!

correct posture
yoshie//Getty Images


「もうひとつは、背中全体の筋肉の衰えです。これは人体の解剖図を見れば一目瞭然なのですが、お尻を含む背面の筋肉はどれも周囲と密接に繋がっており、その相互作用によって機能しています。つまり、お尻の筋肉だけ鍛えてお尻だけ上げる、というのは不可能ということ。猫背でお尻が上がっている人がいないのもこれが理由です。

お尻のたるみをなくしてヒップアップさせるには、まず中臀筋の凝りをほぐすこと。そして背中全体、つまり後背筋、脊柱起立筋、大臀筋、大腿二頭筋(ハムストリングス)の全てを鍛える必要があります」

凝りにダイレクトに効く「テニスボールマッサージ」

テニスボール

「横向きに寝て、身体の下になっている側の足を曲げます。大転子(鼠蹊部真横の、大腿骨の出っ張った部分)と腸骨(いわゆる腰骨)の間にテニスボールを置き、痛みを感じる部分に沿ってコロコロと転がしましょう。ただし凝りが重症の場合は、ほんの少し押しただけでもかなりの痛みが生じます。痛い時は体重をかけすぎないようにし、時間をかけて少しずつほぐすようにしてください」

背面を鍛えるなら「ブリッジ」が手っ取り早い!

ブリッジ

「ヒップアップに関わる全ての筋肉をまとめて鍛えられるのがブリッジ。動かないのに鍛えられるの? と思うかもしれませんが、これは“等尺性筋収縮”といって、動かしていなくてもきちんと筋肉を刺激できる立派な筋トレです。

ブリッジしたままの状態で30秒静止×2セットできたら理想的。そもそもブリッジの姿勢ができなかったり、できても数秒だけだったりという人は、バランスボールを支えにするといいでしょう。少ない負荷でできるだけ長くやってほしいトレーニングなので、バランスボールを使うことで長い時間姿勢を維持できるのであれば、むしろこちらの方が効果的と言えますね」

「空気イス上下運動」で鍛えたい筋肉だけ鍛えよう

空気椅子

「背中全体を壁につけ、膝を90度くらいに曲げて“空気イス”の姿勢を作ります。そこから完全に座った状態になるまでお尻を下げ、また同じ姿勢に戻します。これを20回×2セット。

動きとしてはスクワットに似ていますが、スクワットは女性なら太くしたくないであろう、太もも前側の筋肉に効いてしまうのが難点。このトレーニングはその負荷を最小限に抑えることができます」

「うつ伏せバタ足」で、ながらトレーニング

バタ足

「ベッドなどにうつ伏せに寝て、膝を伸ばした状態で足を上げ、一旦停止させます。これを片足30回ずつ、交互で60回。

ヒップアップのためのトレーニングはブリッジに代表されるように、背面全体を連動させて動かすことがポイント。このエクササイズは大臀筋やハムストリングだけ使っているようで、結果的に腰の筋肉も動かせるのが利点ですね」

背面を鍛えることこそ、ヒップアップにつながる!

full length of woman wearing swimwear while practicing yoga at beach
Javier Sánchez Mingorance / EyeEm//Getty Images

「ダイエットに効くトレーニングとしてはスクワットが人気ですが、女性は骨盤が前傾していることが多いのでやる時は注意が必要です。前傾したままでは効かせたい部位に効かないばかりか、太ももの前側が太くなるだけ。ジムなどで自分一人でスクワットをやっている、なんて人はとくに要注意ですね」

今までダイエットやヒップアップのためにスクワットをやっていたという人は、今日からブリッジに替えてみては? 中臀筋をほぐすマッサージ&背面全体を鍛えるトレーニングで、パンツスタイルが映える上向きヒップになろう!

エディターお気に入りの自宅できる「シリトレ」メソッドを紹介!

ファイアーハイドラント

存在しない画像

ヒザの上にレジスタンスバンドを付けて、四つんばいになる。ヒザは股関節の真下、手首は肩の真下に置いて。臀筋と太ももの外側に力を入れて、腰の位置を固定したまま左ヒザを外に開く。上半身が動かないよう、体幹を締めておくことが大切。左ヒザをスタートポジションに戻す。10回続けたら、左右を入れ替えてリピート。
回数:
10回x2~3セット

四つんばいのグルートキックバック

存在しない画像

土踏まずにレジスタンスバンドをかけて四つんばいになり、ヒザを股関節の真下、手首を肩の真下に置く。臀筋と体幹を締めながら左足を真後ろに蹴り、頭からかかとを一直線にする。10回続けたら、左右を入れ替えてリピート。

回数:10回x2~3セット

ヒップブリッジパルス

存在しない画像


ヒザの上にレジスタンスバンドを付け、マットの上で仰向けになる。ヒザを曲げ、足を床にピッタリ付けて、腕を体の横に置く。臀筋と骨盤底筋に力を入れて、腰を天井に向かって押し上げ、トントンと上下させる。お尻は床に付けないで。これを15~20回繰り返す。難易度を上げたい人は、片脚を上げてシングルレッグのヒップブリッジにしてみよう。

回数:15~20回x2~3セット

クラムシェル

存在しない画像



ヒザの上にレジスタンスバンドを付け、体の右側を下にして横になる。ヒザを曲げ、頭を右手か右の前腕に乗せて、左手を腰に当てる。バンドの抵抗に逆らいながら、臀筋と太ももの筋肉で、左の太ももをできるだけ上に押し上げる。頂点でひと呼吸置いてから、左の太ももをスタートポジションにゆっくり戻す。これで1回。10回続けたら、左右を入れ替えてリピート。

回数:10回x2~3セット

引用記事: レジスタンスバンドで美脚を作る! レッグワークアウトベスト10

美コアリズムシェイプ

山口絵里加

足は腰幅に開く。ヒザは股関節から外に回してあげる(外旋)とヒップアップに効果的。両手は頭の後ろで、ヒジも内側に入らないようにしっかり胸を開いて。左足に体重をのせて、息を鼻から吸って、息を吐きながらサイドでヒジとヒザをタッチ。今度はインでタッチ。

回数:10回x2~3セット

美コアサーキットシェイプ

山口絵里加

足幅を肩幅以上に開いて、がに股に。できそうであればつま先を上げてかかと重心で。ぐっとヒザと同じ位置までお尻を下げたあと、背中も真っ直ぐに落として。ヒジを横に広げたまま、お尻を大きく前後に振りましょう!

回数:10回x2~3セット

引用記事:まだ間に合う! 山口絵里加の追い込み1週間ワークアウト~お尻・太もも編~

美尻は一日にしてならず。すべての動き、回数を一気にこなせなくても、ほぐしてから鍛えるということを念頭に、日々違う動きを少しずつでもいいから取り入れて習慣にしてみて!

エミレナータさんこだわりのゴムバンドセット
レジスタンスバンドセット
ER レジスタンスバンドセット
ウィメンズヘルスショップでチェック

モデルでトレーナーとしても活躍する、エミレナータさんオリジナルのゴムバンド。5段階強度別の5本がセットになっており、エミさんのイニシャルをモチーフにした「ER」のピンクのロゴ入り。

背中、太ももなど大きい筋肉、広い面をほぐしたい時に
フォームローラー

フォームローラーは、特に背中や太ももまわりなど大きい筋肉、広い面をほぐすのに効果的。ハリの強い所にフォームローラーを使うことで短時間で効率的に筋膜のリリースが可能となり、体の左右、前後、上下の筋膜のバランスを整えることで、肩こり・腰の負担を軽減し姿勢改善にも役立つ。

360度動かしながらハリを探し、ピンポイントで深くほぐしたい時に
スパイラルボール

柔らかいポリウレタンの中に硬い樹脂のボールが入った2重構造のボール。体重を乗せて体感しながらコリやハリを360度スキャンし、ストレッチ効果を最大限に保ちながら、皮膚や関節を痛めずに筋膜をリリースできる。

Text: Megumi Yamazaki

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渡部広介
フィットネスマーケティング 代表取締役社長NSCA公認パーソナルトレーナー
スポーツ専門学校在学中に渡米しフィットネストレーナーとして勉学に励む。民間フィットネスクラブに就職後はパーソナルトレーニング、泳法指導、スタジオレッスンと多分野でコーチングを重ね、2012年に独立後は国内に10店舗を超えるフィットネススタジオの開業と「ENERGY FIT」の開業及び運営を手掛ける。現在は、ENERGY FIT ANNEX渋谷店にて独自の整体理論をもとに女性の姿勢改善とボディメイクを提供。
Headshot of Chie Arakawa
Chie Arakawa
ウィメンズヘルス・シニアエディター

タレント・アスリートインタビュー・スポーツファッション・ウェルネス記事などを担当。女性誌FRaUでファッション・スポーツ・ダイエットなどの編集キャリアを積み、その後スポーツライフスタイルマガジンonyourmarkのプロデューサーとして在籍後、2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。