二の腕、お尻、お腹。

この三つは女性の多くが気になる部位TOP3だろう。

二の腕はしっかりと引き締め、お尻はボリュームアップ。お腹周りは引き締めながらもうっすらと縦ラインが入るスタイリッシュなプロポーションには憧れる人も多いはず。

特定部位だけの脂肪を落とすことは難しいとされているが、集中的に鍛えて筋力アップを図ることは可能だ。

特に筋トレや瞬発系トレーニングで使われる速筋繊維は、鍛えると太くなり全身のエネルギー生産効率も上げてくれる。

逆に有酸素運動で使われる遅筋繊維は酸素供給量がアップするものの、太くはなりにくいため、見た目で大きな変化を得ることは難しい。

つまり、前者をしっかりと鍛えることで一時的に太くなったように感じるかもしれないが、結果的に全身の代謝も上がり、体脂肪を落としながら引き締めていくことに繋がる。

「よくトレーニング回数は8回~12回などと表現されることが多いですが、その回数以上はできないというくらい負荷をしっかりとかけられてこそです。まだまだ余裕で回数が重ねられるということであれば、遅筋繊維のトレーニングがメインになっている証拠なので、ダンベルやフォームで加重をして速筋繊維にアプローチができるトレーニングをしていきましょう」

今回はウィメンズヘルスで過去に紹介してきたトレーニング方法の中から、二の腕、お腹、お尻に特におすすめのトレーニング方法を、パーソナルトレーナーの林 健太さんがピックアップ。さらには注意ポイントや効果的に行う方法を教えてもらった。

① 二の腕の効率的なトレーニング法

    二の腕の筋肉は上腕三頭筋と呼ばれ、読んで字のごとく筋肉の頭が3つに分かれている。そのうちの一つは肩甲骨にも繋がっているので、肩の動きにも関与する。すなわち、肘を伸ばす代表的な二の腕トレーニングでも、肩がどのような動きをするかで若干刺激される筋肉が変わってくるということだ。

    「中でも女性が気になる振り袖腕。集中的に鍛えたからといって、周囲の体脂肪だけが劇的に落ちることはありませんが、気になる部位を鍛えることはトレーニングの質と満足感を大きくアップさせると感じます。個人差もありますが、特に二の腕は一般的に速筋繊維の割合が多いとされているので、怪我に気をつけながらしっかりと負荷をかけていきましょう」

    ・フレンチプレス
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    「頭上にダンベルを持ちあげるため、重い重量を扱うには少し抵抗があるかもしれないが、チューブを使ったりケーブルマシンを使ったり工夫してしっかりと負荷をかけてみましょう。腕を真上に上げながらのエクササイズになるので、腕だけのトレーニングではなく肩甲骨の可動域を広げるのにも効果的です」

    「肩を上げることで肩甲骨に繋がる筋肉が大きくストレッチされます。おろすときはゆっくりとストレッチを感じ、上げるときは少しスピードを上げることで、速筋繊維により効率的にアプローチができるので試してみてください」

    ・ディップス
    二の腕引き締めに効果的! 上腕三頭筋のエクササイズ
    bernardbodo//Getty Images

    「先程のフレンチプレスとは反対に、今度は肩を後ろに引いた状態で行う二の腕のトレーニングです。体を持ち上げたときに二の腕をしっかりと収縮させるように行うことがポイントになるので、肩甲骨をしっかりと寄せて肘が開き過ぎないようにしてください」

    「ベンチから体が離れすぎるのは肩を痛める原因。ベンチ台から滑り落ちるようになるべく近くで上げ下げしてみましょう。肩関節が固い方は、脚で上手く体重をコントロールして無理のない範囲で動かしていきましょう。肩関節や胸筋のストレッチ要素もあるので徐々に可動域が上がってくればOKです」


    ② お尻の効率的なトレーニング法

      お尻の筋肉のメインである大殿筋は、単体で見ると体の中で最も大きい筋肉。

      日常生活のあらゆる動きに関与しており骨盤の角度や股関節の可動域にも関わるため、重点的に鍛えて損はない。

      また大殿筋は太もも外側面とも繋がりが大きいので、大殿筋が硬いことが原因で、がに股になったり太く見えたりすることも。

      太ももが張っている、フォームローラーなどで太もも外側面を刺激すると痛いという方は、積極的に大殿筋のトレーニングを取り入れ、日頃の動きからしっかりと大殿筋を使える準備をしておこう。

      「代表的なトレーニングであるスクワットは、大殿筋にも大きな刺激を与えられる上に多くの関節を動かすので、トレーニングに組み込めない場合もウォームアップなどで取り入れるようにしましょう。特に太ももの前に刺激を感じやすい人はお尻をしっかり引いて股関節、腰の曲げ伸ばしを意識することがポイントです」

      ・スクワット&バックランジ
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      「複数の関節を動かしながら多種の動きをするエクササイズは心拍数も上がるため、体脂肪減少にも効果的です。スクワットからバックランジへ移行する際の片脚バランスは無意識ながら、特に中殿筋を刺激しています。また、後ろで脚をクロスさせることで、お尻全体はもちろん、お尻の下部へのアプローチが強くなりますので、脚とお尻のくっきりとした境目がほしい人にはおすすめの種目です」

      ・ヒップスラスト
      ヒップスラスト

      「美尻ブームで一躍有名になったトレーニングですが、膝関節よりも股関節を中心に動かすのでお尻への意識がしやすい種目です。先述のランジがお尻のストレッチを感じる種目であれば、ヒップスラストは収縮を感じる種目です。お尻を締める力で体を持ち上げるように意識し、決して腰を反るように体を持ち上げないように注意しましょう」

      「さらにお尻だけで体を持ち上げるのではなく、足の裏全体で地面を押しつぶすようにすることでよりお尻やもも裏を使う感覚がつかめるでしょう。
      体を持ち上げたときに脛が地面と垂直になる角度が大殿筋には最も効果的。つま先はやや外側に向けてしっかりとお尻の穴を締めるように行いましょう」

      ③ お腹の効率的なトレーニング法

        お腹周りには腹筋と呼ばれるいくつかの筋肉があるが、今回はシックスパックを作る上でも一番重要になる表層の腹直筋に絞って紹介。

        シックスパックと呼ばれるがゆえに、腹直筋は6つの筋肉だと思っている人も多いだろうが、実際は体の真ん中で分かれる2つの筋肉。

        脊柱にある多くの関節をまたいでいる為、一本の長い筋肉だと体のコントロールができない。横ラインが存在するのは体をうまく動かすのに構造上必要不可欠なので、人は生まれたときからシックスパックというのは事実だ。

        「特に縦ラインは横ラインに比べると深い溝になるので、腹筋が割れだすのは縦ラインがスタートの場合がほとんどでしょう。溝を深くし筋肉に厚みを出すことはもちろん、生まれたときからのシックスパックを覆っている体脂肪率のコントロールが必要不可欠になります。つまり、単純な筋トレだけで腹筋を割ることへの道のりは遠いということです」

        しかし、定期的なトレーニングと食事コントロール、そして継続するモチベーションがあれば必ず理想の腹筋は手に入るので諦めないで。

        ・クランチ
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        「クランチは腹筋の王道ともいえるトレーニングかもしれませんが、多くの方が疎かにしがちです。腹筋は体を丸めることが一番大きな働きであるにも関わらず、腹筋で体を丸めるどころか俗にいう股関節から体を起こす動きを何度も何度も繰り返す人をまだ見かけます。腹筋群という大きな枠で考える場合は別ですが、シックスパックの要である腹直筋を鍛えるには非効率です」

        「クランチはみぞおちと恥骨がくっつくようなイメージで体を丸めることで、腹直筋が最も収縮している状態が作れます。今までの腹筋と比べると体は動いていなくても腹筋はしっかりと動いています。上手く体が起こせない人は、太ももを掴んで負荷を軽減してでも最大限に体を丸めることを意識する方が効果的です」

        ・リバースクランチ
        preview for reverse crunch


        「こちらも通常のクランチ同様に、体を丸めることを意識して行ってください。脚上げ腹筋であるレッグレイズよりもさらに骨盤の動きを意識しやすく、恥骨とみぞおちを近づけやすいのがメリットです。脚を上げる動きではなく、膝を顔に引き付けるイメージが近いかもしれません。なかなかうまく引き付けられなくても、焼けつくような刺激が腹筋を襲ってくるはずです。通常のクランチがみぞおち側から収縮させるのに対し、恥骨側から腹筋を収縮させるので特に腹直筋下部に刺激が入ります」

        Headshot of 林健太
        林健太
        NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

         幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
         卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
         選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
        インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/