不安を引き起こす原因を自分でよく理解していたとしても、それはいつでも襲ってくる可能性があるもの。心拍数の急上昇や、突然の発汗、震え、コントロールできない感覚などを引き起こしてしまう。これらに対する万能な解決策はないけれど、心を落ち着かせる優れた方法として、呼吸法を挙げることができる。

ニューヨーク在住のセラピスト、ジリアン・ブランドマイヤー氏は、「認知的に気をそらしてくれる呼吸法が最も効果的であることが示されています。呼吸法は、身体を落ち着かせて副交感神経系を活性化させるだけでなく、精神的にも気を紛らわし、不安を加速させる“ぐるぐる思考”を止めることができます」と語る。

基本的には、特定の方法で呼吸を整えることで、神経系をだまして穏やかな気分にさせ、心拍数を数分以内にリラックスさせることができるというわけだ。

ここでは、セラピストが実際の患者に教えている、不安に対処するための呼吸法をご紹介。次に不安を感じた時に備えて、やり方を覚えておこう。

4-4-4呼吸法

不安に対処するための呼吸法に慣れていない人は、この方法からトライしてみよう。覚えておくのは数字の「4」のみ。ブランドマイヤー氏が教えてくれたのは、以下の方法。

「4秒間息を吸い、4秒間息を止め、4秒間息を吐き、4秒間息を止めます」

この呼吸法は「ボックス・ブリージング(ボックス呼吸法)」とも呼ばれており、 ブランドマイヤー氏はその効果を次のように説明している。

「深呼吸をすることで、体内の副交感神経系が活性化され、神経系や心拍数、不安によって引き起こされる闘争・逃走反応を落ち着かせることができます」

「深呼吸と数を数えるという精神的に刺激的な活動を組み合わせることで、この作業に気を取られ、不安を増大させる“ぐるぐる思考”の強度を低下させることができるのです」

4-7-8呼吸法

4-4-4呼吸法と同じように、4-7-8呼吸法では4秒間息を吸い、7秒間息を止め、8秒間息を吐く。

ブランドマイヤー氏は「この呼吸法を行うと、不安が持続する可能性のある2つの領域、つまり認知的な領域と身体的な領域に対処できるため、非常に効果的です」と説明する。

4-7-8呼吸法は4-4-4呼吸法と似ているが、やや上級者向け。4-4-4呼吸法をマスターしたらこの呼吸法に移行してみよう。より長く息を止めて吐くことで、深いリラクゼーションを味わうことができる。

「こうした呼吸法のもうひとつの利点は、さまざまな状況に適用できることです。職場でも、家庭でも、人前でも、不安が生じる瞬間に対応できる、汎用性の高い対処法です」とブランドマイヤー氏は話す。

trying to drag herself out of the doom and gloom
Cecilie_Arcurs//Getty Images

呼吸法以外で不安を早く鎮める方法は?

ブランドマイヤー氏によると、多くの場合、不安は心と身体の両方に蓄積されているため、その2つを同時に働かせることが重要だという。

「ジャンピングジャック、ウォーキング、短時間のランニング、強度の高いヨガなどの激しい運動は、体内に蓄積された不安のエネルギーを発散させることができます。また、ストレスに対抗し、対処行動を助ける“快感”ホルモン、エンドルフィンを分泌させることができます」とブランドマイヤー氏は説明する。

これは科学的にも証明されており、彼女は「エンドルフィン濃度の低下と、コルチゾールを含むストレスホルモン濃度の上昇とのあいだには、直接的な相関関係があることが研究で示されています」と指摘している。

瞑想も心を「今のこの瞬間」に戻すのに役立つ方法。不安は、ネガティブな結論や結果を恐れる「未来」に対して感じるものであることが多い。そのため、ブランドマイヤー氏は「焦点を現在に戻すことができれば、解決策や異なる結果、あるいは最小化しようとしている要因が見えてきて、その状況に対する見方を変えることができます」と説明する。

とはいえ、これらは不安が生じた時に対処するためのいくつかの方法にすぎない。「自分が経験している不安やストレスで苦痛を感じ、人生の多くの要素や側面に悪影響を及ぼしている」場合は、精神科医や心理学者に専門的なサポートを求めることも検討してほしいと、ブランドマイヤー氏はアドバイスしている。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya From Oprah Daily