新年になると、今年こそはダイエットを成功させると意気込む人も多い。

目標を持ってダイエットに取り組むことはとても大切だが、あまり意気込みすぎない方が良いと語るのはパーソナルトレーナーの林健太さん。

「ダイエットは一時凌ぎの方法ではなく、自身を健康かつ美しくしていく習慣だということは既に多くの人が理解していることと思います。しかし理解と実践の間に大きな壁があるので、過剰に意気込んでしまい同じ失敗を繰り返してしまうこともあります」

運動が大切なことは分かっていても、どんな運動をしてどの筋肉を鍛えれば良いのか分からないという人は、まず鍛える筋肉を絞って運動することがおすすめだと林さん。

「気になる部分や引き締めたい部分は人それぞれですが、大きな筋肉や大切な筋肉は万人に共通しています。中でも重力に対して姿勢を保つために働く背面の筋肉は美しいスタイルには欠かせない筋肉ですし、体積が大きい筋肉も代謝の維持向上のためには鍛えておくべきです」

まずはこれから挙げる5つの筋肉に絞ってトレーニングとストレッチをしっかりとやってみて。

①下腿三頭筋

下腿三頭筋(ふくらはぎ)は大きく分けて二つの筋肉がある。

深層に位置するヒラメ筋は、持久的な運動を得意とするいわゆる赤い筋肉(遅筋)。骨格筋の中で最も遅筋の割合が多く、歩行において重要な役割を担っている。

一方、浅層にある腓腹筋は、速筋繊維の割合の方が半分以上なので、ヒラメ筋と同じトレーニングでは鍛えにくい。

「加齢とともに萎縮しやすい速筋繊維は、素早く大きな力を出すことにより活動するので、鍛えるためにウォーキングだけでは不十分と言えます。ダイエットにおいて、比較的に運動時間の長いランニングなどを重要視してしまいがちですが、短距離走やジャンプ動作なども織り交ぜることが大切です」

歩行などの持久的な運動だけでは衰えやすい腓腹筋を鍛えることで、細い脚と美しい姿勢を維持することができる。

・トレーニング

「強度が高いトレーニングは多くの回数や長い時間やることは考えず、しっかりとウォーミングアップを行ってからできる回数を行ってください。普段の歩行をスピーディーかつ大股にすることでも腓腹筋の活動量を上げることができます」

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・ストレッチ

ヨガのダウンドッグの動きは、下腿三頭筋だけでなく背面全体がストレッチできる優れた運動。できる限り反り腰を意識して行うことでよりストレッチ効果が増す。

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②大腿二頭筋

太ももの裏の筋肉であるハムストリングス硬くなると内股やO脚の原因になる。特に日本人に多い腰が丸くなった骨盤後傾姿勢は、ハムストリングスの硬さが原因である場合が多いと林さん。

「座りっぱなしの姿勢が多い人は、腰が丸く膝が曲がった姿勢を続けることになるので、ハムストリングスが使いづらくなってきます。その結果、姿勢が悪く見えるだけでなくお尻が垂れて脚も短く見えてしまいます」

昨今の美尻ブームで、お尻やハムストリングスのトレーニングを積極的に行っている人も多いが、トレーニングをする時間が増えるのであれば、同じだけストレッチをする時間も増やしてほしいと林さんは語る。

トレーニングはあくまで筋肉を硬く強くする作業。それと同時に柔らかくしなやかにするストレッチをしっかりと取り入れることで、普段の姿勢も改善され、痩せやすい体に導いてくれる

・トレーニング

膝だけを曲げる運動ではなく、股関節も使うことでより効率的にトレーニングができる。太ももの前(大腿四頭筋)との筋力差が大きくなると肉離れなどのリスクが高くなるので、普段から積極的に鍛えておこう。

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・ストレッチ

「ストレッチは大きく動きたくなるのですが、背中を丸くしてしまうとターゲットが変わってしまいます。反り腰をイメージしながら脚の付け根からできる範囲で動かすように意識してみてください」

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③広背筋

人体で最も面積の広い広背筋も猫背の原因となる筋肉の一つ。同時に腕の動きにも作用するので、硬く弱くなることで巻き肩の原因にもなり、典型的な不良姿勢を作り出す。

特に姿勢の要とも言える骨盤と肩甲骨の両方に影響を与えるので、痩せるために鍛えてほぐすことは必須。

「肩の痛みや肩こりはもちろん、腕が上がらないという人も広背筋に原因がある可能性があります。さらに肋骨にも付着しているので呼吸の深さにも影響を与えます。対側の大臀筋と共同して働くことで安定した歩行や走行ができるようになるので、疲れにくい体を作るにも大切な筋肉とも言えます」

胸や腕のトレーニングとして捉えられている腕立て伏せでも広背筋は活動する。強度を無視すると、懸垂が最も効果的かつ簡単にできるトレーニングなので、痩せるために気合を入れてジムに通う必要はないかもしれない。

・トレーニング

「腕を後ろに引く動きで使われる広背筋ですが、初心者の場合はダンベルなどを引く動きは腕を使ってしまいやすいです。まずは背中を使うという感覚を掴むことが大切です」

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・ストレッチ

「腕が上がらない、肩に痛みが出る方は無理のない範囲で行ってください。座ったままできるストレッチもあるので、デスクワークの方は15〜30分に一回、片側1分程度行うとスッキリします」

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④腹筋

鍛えることは多くてもほぐすことは少ない腹筋。

呼吸や姿勢に重要な役割を果たすことはもちろん、見た目の改善にも鍛えておきたい筋肉No.1とも言えるにも関わらず、ほとんどの人は半分も使えていないと林さん。

「腹部(腰椎)の可動域は前方はもちろんのこと、後方も約30度あるので、シックスパックを作るメインの筋肉である腹直筋を最大限に鍛えるためには、後ろに反らせた状態からの腹筋運動が必要になります。ボールの上や背部にバスタオルを丸めたものを置いて腹筋をすることで、より効率的に鍛えることができます」

可動域を上げるということはストレッチの効果も同時に得ることができる。腹筋の働きは内臓のポジションにも影響を及ぼすので、代謝を上げておきたい人にも重要な筋肉だ。

・トレーニング

「体を起こすというイメージのある腹筋運動ですが、それ以上にみぞおちと恥骨を近づけるように背中を丸める意識が大切です。腰に不安のある人は下半身を動かす腹筋を行うことで腰痛予防にもなります」

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・ストレッチ

「腹筋は様々な筋肉と連動しているため、ストレッチ不足により働きが悪くなると基礎代謝の低下にもつながります。鍛えているはずなのにお腹周りが気になるという人は、ストレッチにも時間をかけてみると良いでしょう」

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⑤三角筋

肩にある三角筋は、意外にも上半身で最も体積の大きい筋肉であり、次いで上腕三頭筋(二の腕)、大胸筋となる。つまり、上半身のプロポーションを変えていくにはこれらの筋肉をしっかりと鍛えられるかがポイントになる。

肩をしっかりと鍛えることで、体形にメリハリが出てくびれがより強調されます。洋服を着た時のシルエットにも影響するので、より似合うようになったり着痩せして見えたりします。ダイエットに励む女性の中には肩幅を気にする人も多いですが、通常のトレーニングで極端に大きくなることはありませんので安心してください」

なで肩や姿勢の改善は、露出が多くなる季節のファッションには大きく影響する。痩せることに必死になりすぎて、体重だけを追い求めてしまうとメリハリのない体になり、見た目はネガティブな影響を及ぼしてしまう可能性も。

ダイエット中はエネルギー摂取量も少なくなるので、筋肉が極端に大きくなることはない。鍛えるべき筋肉をしっかりと鍛えてみよう。

・トレーニング

「負荷が高すぎると肩こりの原因となる僧帽筋を使いやすくなってしまい、首が短く見えるようになってしまいます。ペットボトルなど軽い負荷を使って正しいフォームである程度の回数を行うようにしてみましょう」

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・ストレッチ

肩関節は怪我の発生率も高いので、トレーニング後のゆっくりと伸ばすような静的ストレッチはもちろん、トレーニング前に動的ストレッチを十分に取り入れることも重要だ。

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Headshot of 林健太
林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/