ウォーキングシューズを買いに行ったら、ランニングシューズばかりで困ってしまった? ウォーキングに使えるランニングシューズの選び方を知っていれば、それも悪いことじゃない。ランニングシューズとウォーキングシューズの違いを理解して、あなたに合った一足を見つけよう。

ランニングシューズとウォーキングシューズの違いとは?

昔のウォーキングシューズはアッパー(靴底以外の部分)がレザーで、ソールのクッションがランニングシューズより薄かった。この手のシューズはいまも存在するけれど、最近は性能次第でウォーキングにランニングシューズが使えることも少なくない。

「ランニングシューズは、ウォーキングに適した性能を多く持ち合わせています」と説明するのは、ランニング専門店『Fleet Feet』のコンテンツクリエイター兼シューフィッターのキャロライン・ベル。「衝撃を吸収するクッション入りミッドソール、どんな天候にも対応可能で通気性のよい軽量アッパー、丈夫なゴム製アウトソールのシューズはオススメですね、でも、なによりも大事なのは、あなたの足の曲線と形に合ったシューズを選ぶことです。

ウォーキングに適していないランニングシューズとは?

フットウェア業界で数十年に及ぶ経験を持つ足病医のサイモン・バートールドによると、ほとんどのランニングシューズはウォーキングにも使える。でも、ウォーキングとランニングには生体力学上の違いがあるため「ほかのスポーツシューズと同様、できるだけ軽量で足の動きに素早く反応すること」を除いて、ウォーキング用とランニング用のシューズの選び方は大きく異なる。

ベルによると、速く走るために設計されたランニングシューズには要注意。この手のシューズは、ミッドソールにカーボンファイバーのプレートが入っていたり、普通のランニングシューズよりソールが大きく反っていたりする(いわゆる“ロッカー形状”のシューズ)。「このようなシューズで走ると、どんどん前に進むような感じがしますが、ウォーキングでは少し変な感じがします」とベル。「カーボンプレートのせいで、つま先が普通に歩いたときより早く地面を離れるからです」。速く走るために作られたシューズのせいで、不自然な歩き方になるのは避けたい。

ランニングシューズメーカー『Brooks』のブリタニー・グリートンによると、ランニング愛好者に好まれるクッション性能やサポート機能は、ウォーキング愛好者にも好まれる。でも、レースやランニングに特化したシューズは、ウォーキングに必要な安定感がないのでNG。ランニングは足に大きな衝撃がかかる運動なので、ランニングシューズのクッション性はウォーキングにも十分と言えるけれど、十分な安定感があるとは限らない。よって、ウォーキングにランニングシューズを使うなら、安定感を重視したデザインのものを選ぶべき。

ウォーキングシューズを選ぶときは、歩く場所も考慮に入れて。ほとんどのランニングシューズはロード用、つまり舗装された道路用に作られているけれど、ウォーキング愛好者の中には、アスファルトやコンクリートを避けて、公園や森の中を歩く人も多い。そのシューズがロード用かオフロード用かに関わらず、あなたが歩きたい場所に必要なグリップ力や安定性があることを確かめて。

ほかの誰かではなく、“あなた”に合った一足を選ぶには?

シューズ選びも最後は個人の好み。ランナーと同様「ウォーカーも1人ひとり違います」とバートールド。「性別も違えば、体重、身長、レベル、バイオメカニクスも違います」

だからこそ、自分のバイオメカニクスに注意を払うことが大切。ランニング専門店『Naperville Running Company』オーナーのクリス・ハートナーによると、重視すべきは履き心地と足の感覚。試着時には、いろいろなメーカー、スタイル、モデルのシューズを何足か履き比べて。左右の足でスタイルやメーカーを変えてみるのも面白い。「あなたの足の構造に合ったフィット感の高い一足を選んでください」

「良質なウォーキングシューズはクッション性が高く、履いたときに安定感があり、なにより足にフィットします」と説明するのは、『アシックス』でパフォーマンスランニング部門のシニアマネージャーを務めるポール・ラング。「運動中の足の屈曲や膨張を考慮して、つま先とシューズの間には少し余裕を持たせましょう」。ウォーキング中に足が火照ったり蒸れたりしないよう、通気性も重視して。

「ウォーキングに適したランニングシューズは1種類ではありません」とベル。「オプションが多いので迷うかもしれませんが、なによりも大切なのはフィット感と履き心地です」。履き心地の定義は人それぞれ。クッション性や安定感が高いシューズに履き心地のよさを感じる人もいれば、柔軟性や接地感が高いシューズに履き心地のよさを感じる人もいる。「あなたにピッタリの一足は、何足か試着しないと見つからないかもしれません。ランニング専門店で専門家にフィッティングをしてもらうといいですよ」


ウォーキングシューズを買う人が犯しがちな過ちは?

「シューズが合っているときは、シューズを履いていることさえ忘れて歩けます」とベル。「シューズの存在を感じなくなるんです」

専門家いわく世の中には、スタイルや色だけでシューズを選ぶ人や、数年前の記憶を頼りにサイズやメーカーを決める人が多すぎる。「ウォーキングやランニングを長く続けたいのなら、足が無理をしていないこと、サポートされていることを常に確かめてください」とベル。「そうしないと、そのうちビクビクしながら歩くはめになりますよ」

「このメーカーなら、どれを選んでも間違いない」と思い込むのも危険。口コミをもとに特定のメーカーやモデルを選ばず、専門家にフィッティングしてもらい、あなたに合った一足を選ぶこと。

グリートンいわく買い物を楽にするポイントは、あなたがシューズに求めることをできるだけ明確にしておくこと。例えば、どのくらいの頻度で何分ずつ履くのか、どのような履き心地が欲しいのか、ウォーキングだけに使うのか。「シューズに対するニーズは本当に人それぞれです」とグリートン。「オプションは無限にありますが、自分のニーズを明確にしておけば、自分に合った一足を見つけるのが楽になります」

バートールドによると、ウォーキングシューズを買う人が犯す最大の過ちは、ウォーキングに不適切なシューズを買うこと。先述の通り、ランニングシューズの大半はウォーキングにも使えるけれど、個々のニーズやレベルに合っていなければ意味がない。

シューズ専門店やランニングシューズのフィッティングを行う専門家がいる店なら、適切なアドバイスをしてもらえるので、まずはショップで相談してみよう。

※この記事は、アメリカ版『Runners World』から翻訳されました。

Text: Tim Newcomb Translation: Ai Igamoto