日本気象協会が昨年12月に発表した予想によると、2023年春の花粉の飛散量は、前シーズンを大幅に超える所が多い。2月上旬には九州から関東で花粉シーズンがスタートするといわれている。まだ花粉症ではない人も、今年からなる可能性はあるのでしっかり対策方法を知っておこう。今回は、花粉症の基礎知識や薬を飲む以外にできる花粉症対策方法をご紹介。

目次

花粉症とは?

花粉症は、花粉に反応しすぎることで起きるアレルギー。本来なら無害であるはずの花粉から体を守ろうとして、体内でヒスタミンなどの化学物質が分泌され、さまざまな症状を引き起こす。くしゃみや鼻水は花粉を体から放出するため、鼻づまりは花粉が入ってくるのを阻止するための“体の過剰な防御作用”なのだそう。

花粉症の症状

花粉症の症状として主なものは下記の3つ。

・くしゃみ

・鼻水

・鼻づまり

花粉症は、風邪の初期症状と似ていて見極めが難しく、対処が遅れてしまうことも多い。

内科医で花粉症などのアレルギーにも詳しい入谷栄一先生に風邪と花粉症の症状の違いを伺った。

☑くしゃみの回数

花粉症と風邪の症状のいちばんの違いは、くしゃみ。もし、1日に10回以上もくしゃみが出るなら、花粉症の可能性が高い。

☑鼻水の性質

花粉症の鼻水は、水っぽい場合がほとんど。風邪の場合は花粉症と同じようなサラサラの鼻水が徐々に粘ついたものに変わり、黄色っぽい色になることもある。

☑のどや目のムズムズしたかゆみ

ムズムズしたかゆみは、風邪の時には見られることは少なく、花粉症特有の症状といえるそう。

参考記事:「花粉症の薬はいつから? 花粉症の治療法とコスパ&効率がいい薬とは

花粉症の意外な症状

上記に上げたもの以外でも花粉が関わっていることがある。

ドライノーズ

空気が乾燥している冬だけでなく、花粉が飛ぶ時期にも要注意のドライノーズ。入谷先生いわく、鼻炎や花粉症などで鼻を頻繁にかんでいると鼻の粘膜が乾燥し、鼻の中の違和感、かゆみ、痛み、鼻血が出ることもある。何度も鼻をかみ、鼻の粘膜が乾燥することで、異物を排除する機能も低下し、ウイルスや細菌に対抗する力も弱くなってしまうそう。

参考記事「鼻が痛い、鼻血がでやすい。「ドライノーズ」の原因、症状と対策とは?

花粉による肌荒れ

「マスクから出ているおでこやまぶたといった、目のまわりのムズムズ感やいつものスキンケアが染みるなら花粉によって肌が荒れてしまっているかも」と教えてくれたのは「まいこホリスティックスキンクリニック」の山崎まいこ先生。花粉やPM2.5、黄砂に対しての肌の免疫応答が過剰になることで、異物を攻撃する機能が過剰になったり、マスクの内側の湿度が変化したりすることによって、口のまわりのバリア機能が落ちている人が増えている。

参考記事:「花粉症でない人も注意! 花粉による肌荒れの原因・症状・対策

花粉症の対策はいつから始めるべき?

入谷先生は、花粉症の治療は、花粉が飛散する前か症状が少しでも出たときにスタートさせたほうがよいと話す。

「できれば花粉が飛散する1週間くらい前か症状が少しでも出たときから治療をスタートしましょう。そうすることで、症状が出る時期を遅らせたり、症状も軽減できます。結果的に、薬の全体量や使用回数が減るため、費用も軽減できるはずです。花粉が飛散する時期は地域によっても異なりますが、関東では1月の下旬~2月の上旬ごろが花粉症治療の始め時と考えてください」。

参考記事:「花粉症の薬はいつから? 花粉症の治療法とコスパ&効率がいい薬とは

花粉症対策方法

花粉症の薬を飲む以外にも、花粉症の症状を軽くする方法は、いくつかある。今回は、生活習慣、おすすめの食べものや避けるべき食べ物をご紹介。

花粉症の症状を緩和する習慣

米国アレルギー・ぜん息・免疫学会は、花粉症対策として7つの項目を紹介している。

①夜も窓を閉めっぱなしにして、可能な限りエアコンを使う。
②花粉とカビ胞子の飛散量が多いときは、外出を控える。
③アレルギー症状が悪化している状態で長時間外出する必要があるときは、マスクを着ける。
④帰宅したらシャワーを浴びて髪を洗い、服を着替える。
⑤粉とカビ胞子を舞わせる芝刈りなどの屋外作業は人に頼む。
⑥洗濯物を外に干さない。
⑦車に乗るときも窓を閉める。

参考記事:「気候変動と花粉症の関係性とは?

そのほかにも鼻の穴の周りにワセリンを塗ったり、花粉防止のサングラスをつけるのもよいのだとか。

参考記事:「市販薬に頼らなくて済む? 花粉症の症状を抑える8つの技

鼻うがい

鼻うがいは、粘り気のある鼻水や、花粉やハウスダストなどのアレルギー物質を鼻の中をうがいするように取りのぞくことができる。鼻の洗浄液を鼻水と同じような塩分濃度にすれば、痛みの心配はない。ネティポットを使って行う方法や市販品を使う方法もある。

参考記事:「鼻うがいを習慣に! 痛くないやり方や注意点を解説

花粉症対策におすすめな食べ物

公認栄養士のキム・ピアソン氏がおすすめする花粉症対策におすすめの5つの食材はこちら。

1.プロバイオティクス製品

近年の研究により、腸は体に広く影響を与えることが明らかになってきた。プロバイオティクス(生きた細菌と酵母)は、アレルギー性鼻炎の予防や症状の緩和に役立つことが分かっている。ケフィア(発酵乳)、キムチ、ザワークラウト、みそやプロバイオティクスのサプリメントを取り入れてみて。

2.発酵性食物繊維

酪酸、酢酸、プロピオン酸といった短鎖脂肪酸は、サツマイモなどに含まれる複合型食物繊維が腸で発酵されることにより作られる。

その他には、オートミールや玄米、根菜類、大豆製品などに多く含まれているそう。

3.抗炎症作用のある食品

ターメリック、緑の葉物野菜、ベリー類、脂の乗った魚などがおすすめ。

ターメリックに含まれるクルクミンは、抗炎症作用と抗酸化作用を併せ持ち、数々の病気の予防や症状の緩和に役立つことが分かっている。クルクミンは、鼻通りをよくして、鼻詰まりなどの症状を軽減することも実証されている

4.ビタミンC

抗炎症作用と抗ヒスタミン作用を併せ持つビタミンCは、アレルギー反応を抑え、アレルゲンに対する防御力を高めてくれる。豊富な野菜と適量のフルーツを食生活に取り入れるように意識しよう。おすすめは、ブロッコリー、キウイ、オレンジ、ケール。

5.抗ヒスタミン作用のある食品

ビタミンCだけでなく、ケルセチンのような天然の抗ヒスタミン剤(鼻水といったアレルギー症状や、酔い止めの成分)も食生活に加えてみて。ケルセチンは、リンゴ、赤玉ねぎ、緑茶、紅茶に含まれている。


花粉症の人が避けるべき食べ物

花粉症の人が避けた方がよい食品は、炎症を引き起こすもの。例えば、重度に加工された食品、アルコール(赤ワインなど)や精製された植物油などが含まれる。また、その人にとってトリガーとなる食品は、アレルギー症状を悪化させることもあるので要注意。お肉やシーフードが多めの食生活を送っていると、花粉症のリスクが高くなるという研究結果もあるので、タンパク質は植物性食品から摂取するのが◎。

参考記事:「花粉症の症状を和らげる食品とは?


まとめ

長年花粉症で悩んでいるなら、早めの対策が肝心! 

習慣や食事の内容を見直して花粉症の時期を乗り越えよう。

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Nao Sakamoto
エディター

アシスタントエディターとしてSNS業務も担当。人間の心理、睡眠や美容に興味を持ち、記事執筆を行っている。自他ともに認める運動音痴だが、最近ヨガとピラティスで心と体を整え始めた。健康なライフスタイルを送りたいため、1日1食オートミール生活を実践中。