鼻は肺に繋がっており、肺を守るためにさまざまな働きをしています。私たちが吸い込む空気をろ過するだけでなく、肺に入る空気も浄化してくれます。また、鼻と脳は非常に近い位置にあり、鼻の通りが悪くなると、頭がくらくらしたり、疲れやすくなります。今回は鼻炎アレルギーの効果的な改善方法とツボについて話していきます。多くの人を悩ませる春の花粉症に備えましょう。

伝統的な東洋医学の観点からすると、鼻づまりは肺と脾臓の機能不全、そして、気滞やうっ血と関連しているとされます。風邪を引いた時に体を休ませたり、薬を飲むなどして、風邪の症状の一つである鼻づまりが一旦収まったとしても、症状の原因を根本から治さないと徐々に肺や脾臓に影響を及ぼします。そして、生気が弱まった時に、風邪を引き込みやすくなり、繰り返す鼻づまりの原因とされます。肺気は鼻を通るため、肺機能のバランスが崩れると鼻にも問題が生じ、肺気が正常でないと鼻づまりの原因にもなります。


鼻詰まりの改善法①蒸気を鼻から取り込む

woman inhaling over a bowl
Alain SHRODER//Getty Images

そんな時には、タオルをお湯に浸し、取り出してよく絞ってから、鼻と鼻筋の近くにのせ、 鼻に蒸気を取り込むことで鼻の中が温められ、鼻の血行が促進し、鼻のつまりが軽減されます。また、 蒼耳子(オナモミ)、白芷(ヨロイグサ)、辛夷(コブシ)、薄荷(ミント)、柴胡(サイコ)など漢方の薬材を準備し、これらの薬材を蒸したり、茹でるなどして、その蒸気を吸い込むことで鼻の通りを良くし、 鼻づまりの症状を緩和することができます。

鼻詰まりの改善法②ツボをマッサージする

顔にも鼻づまりを解消するツボがあります。ツボをマッサージすることで鼻づまりだけではなく、頭をスッキリさせる効果もあるのでぜひ試してみてください。

1.迎香(げいこう)

鼻翼(小鼻)の横、約1cm程の位置にあるツボで、少し痺れるくらいの強さで下から上にマッサージすることで、鼻の通りが良くなります。

2.上迎香(じょうげいこう)

別名を鼻通(びつう)といい、迎香の少し上に位置し、鼻の付け根の両側にあるツボで、ここを押すことで、鼻づまりが軽減されます。

3.印堂(いんどう)

眉間の中央にあるツボです。薬指と中指で軽くたたき刺激をあたえることで、鼻の通りをよくするだけでなく、目にも良いツボです。 心に直結するツボなので、 身体の状態や精神的状態もここに現れます。 そして、印堂の血色によって体の状態を知ることができます。例えば、印堂が赤くなっている場合は、ストレスを強く感じている状態で、血色が悪く黒い場合は血流が悪くなっており、体が冷えている状態だということがわかります。このツボを普段より頻繁に観察することで、体からのサインを受け取ることができます。

春は万物が目を覚まし、成長し始める季節で、エネルギーの転換期でもあります。体も陰の気から陽の気へ、身体のエネルギーが内側から外側へ、そして、寒から暖へと移り変わる時期です。

立春を迎え、2月4日を過ぎると、体感的にはまだ寒さを感じられますが、この日からエネルギーが陰から陽へと変わり、ゆっくりと万物が目を覚まし始めます。 そして、3月21日からが正式な春の始まりです。春は気候の変化が著しく、雨が降る度に、少しずつ暖かくなっていきますが、暖かいからといって薄着にならないようにしましょう。

古いことわざに「春が近づいて暖かくなっても、急に薄着にならないこと、そして秋になって涼しくなっても、急に着込んではならない」という言葉があります。ゆっくりと自然の気候に体を慣らしていくことを心がけましょう。そして新しいエネルギーを蓄え、新しい一年を迎えましょう。

病は気からという言葉があるように、東洋医学では多くの病気の原因は私たちの感情の変化から生まれると考えられています。そして、感情は季節によって変化をもたらします。季節の変わり目である春が私たちにどのような影響をもたらし、私たちはどのようにして自分の感情をコントロールするべきなのか、次回のコラムでお話ししたいと思います。



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2023年4月16日(日)
第1部 13:00 - 15:00[12:45開場]
第2部 16:30 - 18:30[16:15開場]

会 場
HIGASHI-YAMA Studio(旧 HIGASHI-YAMA Tokyo)
東京都目黒区東山1-21-25

イベント詳細と申し込み

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Sarah Chiang(サラ・ジャン)

台湾・台北生まれ。中医の父、漢方薬剤師の母のもとで育つ。北京大学卒業後、隈研吾事務所の北京と東京の事務所に勤務した後、経営コンサルタントとして海外進出企業の支援、新製品開発開発に携わる。現在は、家業である漢方クリニック「意一堂」のブランディングや商品開発を担当。日本支社を立ち上げ。東洋医学の観点からライフスタイルの提案をしています。趣味はヨガ、瞑想、キャンプ、お寺巡り、宿坊宿泊。