私たちが知っているオイルマッサージと似ているのに、その効果は全然ちがうアーユルヴェーダのオイルマッサージ。数々の嬉しい効果をもたらしてくれる“アビヤンガ”とは? ベストなオイルの提案と、具体的なマッサージの方法や、簡単ケア方法をお伝えします。
7つもの嬉しい効果があるアビヤンガ
お風呂上がりのしっとりとした肌に、いい香りのオイルをすり込んでいく。私たちがいままで行ってきたオイルマッサージは保湿が大きな目的でしたが、アーユルヴェーダのオイルマッサージはそれだけではありません。
古典書「チャラカ・サンヒター」には
「定期的にアビヤンガを行っている者の体は、たとえ、不慮の怪我や激しい労働に直面しても、さほど影響されない。毎日アビヤンガを行うことによって、気持ちの良い肌触り(1)、引き締まった体(2)となり、体力が増し(3)、魅力的な容姿(4)になり、加齢による衰えはほとんどみられない(5)。頭部に塗れば脱毛や白髪にならず(6)、安眠効果(7)をもたらす」とあります。
デトックス効果・リラックス効果・美肌効果・疲労回復・体力アップ・自律神経の安定・美髪効果・安眠効果と数々の素晴らしい効果をもたらせてくれるのです。
今日からすぐに始められるアーユルヴェーダのオイルマッサージ、アビヤンガ。コツを5つご紹介します。
1.無色透明のごま油を使用する
マッサージオイルは無味無臭・透明のごま油を使いましょう。
白胡麻をコールドプレスしたホワイトセサミオイルは、すべての体質にマッチすると考えられ、アーユルヴェーダでは数千年も前からオイルマッサージのオイルとして使用されてきました。本来はこのオイルに数々の薬草エキスをプラスしたものを使用しますが、ホワイトセサミオイルだけでも十分に効果を発揮します。抗酸化物質のグマリグナンやオレイン酸、美肌を育むビタミンEが豊富なのでアンチエイジング効果も。
さらに体を温める効果が高いので、冷えと乾燥の悩みにも◎。
加熱しても変質しにくいので、料理にもおすすめですよ。太白ごま油など透明のごま油はスーパーで気軽に手に入ります。
2.キュアリングしてから使う
キュアリングとは一度加熱すること。そのままでもOKですが、120度ほどまで一度熱を加えると品質が安定し、肌に浸透しやすくなると言われています。
100円ショップでも売っている調理用の温度計を使って、キュアリングしてみましょう。粗熱が取れたら保存容器に移します。保管は冷蔵庫に入れなくても大丈夫。
使うとき、湯煎で温めると心地よさがぐんとアップしますよ。
3.渇いた肌に塗布していく
通常のオイルマッサージと一番違う点がここ。
お風呂上がりの湿った肌ではなく、アーユルヴェーダのオイルマッサージは渇いた肌にすりこんでいきます。
理由はオイルを経皮吸収させること。肌からオイルを浸透させ、血管にまで届かせることでオイルの栄養を直接体内に届け、さらに体に溜まっている不純物をデトックスさせるのが大きな目的なのです。普通のオイルマッサージよりも素早く手を動かせて、“すり込む”気持ちで行いましょう。
4.発汗させてさらに体内に届けていく
全身に満遍なくすり込んだら10分ほど置き、その後はスチームバスで発汗させるのがアビヤンガの正式な方法。毛穴を開かせ、塗り込んだオイルをさらに体内に浸透させるのが目的です。セルフケアでする場合は熱めのシャワーを長めに浴びて。オイルは肌に染み込ませる量で十分なので、全身がギタギタになるまで使う必要はありません。
塗った素肌の上にパジャマなど着てもベタベタとすることもあまりないので、そのまま寝て翌朝にシャワーを浴びるのでもOK。
5.3点マッサージでも十分な効果が
できれば毎日全身にするのがベストですが、なかなかハードルが高いもの。
アーユルヴェーダでは頭部・耳・膝下の3点だけでもその効果が得られると教えてくれています。
手のひらいっぱいほどのオイルを頭皮にしっかりと揉み込み、ついでに耳も念入りにマッサージ。これで白髪・抜け毛予防、さらに顔の艶や自律神経の安定まで。
さらに膝下部分、スネと足の指、足の裏、ふくらはぎもマッサージすれば体力アップ、疲労回復、体温が上がり、安眠効果まで。
この3点マッサージを続ければ、体調がぐんと良くなるのを実感できるはず。
オイルも手に入りやすく、今日からすぐにトライできるので、毎日の習慣にしてみましょう。