心に向き合うトレーニング、つまり瞑想を始めると、自分のネガティブな思考に向き合わなくてはなりません。心には、明るい面と暗い面、ポジティブさとネガティブさが混在しているからです。ネガティブとはなんなのか。そしてネガティブな思考にどうやって対処していけばいいのか、瞑想的観点からお話しします。

まず、傘を持たずに出かけて雨が降り、どこかで雨宿りをしたとして「よかった休憩ができる」と捉える人と「最悪な1日だ、時間を無駄にした」と捉える人がいる、同じ状況を体験しているにもかかわらず、感じ方は十人十色。ポジティブやネガティブに分かれます。

それは、普段から物事を肯定的に捉え直す力をどれくらい育んでいるかによっても違いが出てきますが、そもそものスタートは自分の内に湧き起こっている感覚に気づけているかが大きいです。

自分自身の感情に気づけている人は、最初に沸き起こってくる感覚や、その次に生み出される思考、そしてその感覚や思考に結びつく自分の行動すべてを意識的に行うことができます。

しかし、自分自身の感情に気づけていないと、最初に湧き上がる感覚に気づけず、その次にやってくる感情や、行動も自動運転になってしまい無意識に行うことになります。

アメリカの心理学の研究によると、人は1日約6万回の物事を考え、3万回は選択をし、そしてそのうちの95パーセントは昨日と同じことを考え、80%はネガティブな考えだそう。人間は記憶に優れた動物であるがゆえに、このような危機管理能力が働き、ネガティブ思考になりやすいのです。

意識的に気づきが訪れない限り、思考の約80%はネガティブになりやすいということです。

今まで伝えてきたマインドフルネスな呼吸は、「気づきの呼吸」であり、自分自身に湧き上がる感覚や感情に気づきやすくするためのトレーニングです。呼吸は気づきのきっかけになります。

そして、ネガティブとは物事を否定的、または消極的に捉えることです。すべての人の中にネガティブな思考が存在しています。ただ、ネガティブ思考が強い人は、自分自身への気づきが少なく、肯定的つまりポジティブに捉え直すまでに至らない状態であるとも言えます。

ネガティブ思考をまるで、性格の傾向や自分の特性のように感じる人も多いですが、ネガティブは性格や特性ではなく、ネガティブな状態なだけ。気づきが訪れれば選択を変えることができます。

ネガティビティを自分の内に閉じ込めたり、消し去ろうともがいたりしなくても、ただあることに気づき、認める、そしてネガティビティはあっていいものなのだと許しを与えることで、心はリラックスした状態になりやがて落ち着きを取り戻します。

そして、瞑想ではポジティブでもネガティブでもない、ある視点を最も大事にしています。それは、中道。ニュートラルな状態です。よい悪いの判断すらない、中正なる道のこと。そして中道は、けしてポジティブとネガティブの真ん中がいいと言っているわけではありません。分離し、対立するものの真ん中が正解なのではなく、何にも偏らず評価や比較からもかけ離れたところから生まれる、ニュートラルな状態。バランスが保たれた状態を指します。

マインドフルな呼吸で自分に気づき、ネガティブとうまく付き合っていきましょう!

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佐々木依里
瞑想家、マインドフルネス指導者、環境活動家、モデル

 瞑想家、マインドフルネス指導者、環境活動家、モデル
11歳から瞑想と環境活動に興味をもち独学やお寺で瞑想を始める。現在は瞑想会の開催やマインドフルネスの指導者として活動。
また環境省森里川海アンバサダーとして環境活動家としてプラスチック問題に取り組む。
心の平和=地球の平和を目指しインスタグラムで精力的に瞑想配信中。
インスタグラム:www.instagram.com/erisasakimeditationjourney/