スムージーにはプロテインパウダーを入れなくちゃ。でも、ネットショップを訪ねると、ホエイ、ソイ(大豆)、カゼイン、ピー(エンドウ豆)、ライス、ヘンプ、植物性のプロテインパウダーブレンドがズラッと並ぶ。その上、砂糖が入っているものといないものがあるし、グラスフェッドの乳製品やら、遺伝子組み換えでない大豆やらで、自分に合ったパウダーを選ぶだけでも至難の業。

自分に合ったプロテインパウダーを見つけるのは、新しい車を買うよりラクなこと。でも、健康上の目標や食事制限だけでなく、そのプロテインのバイオアベイラビリティ(どれだけ体に吸収されるか)を考慮することは大切。

「タンパク質の品質とバイオアベイラビリティを評価する最近の方法として、もっとも広く受け入れられているのは、PDCAAS(タンパク質消化性補正アミノ酸スコア)です」と話すのは、アメリカ栄養士会のスポークスパーソンで公認管理栄養士のジェニファー・マクダニエル。「PDCAASは、タンパク質を0~1の品質スケールで評価します」。品質は、1に近いほど高いとされる。

今回はマクダニエルの力を借りて、大人気のプロテインパウダーの品質とバイオアベイラビリティ、メリットとデメリットを評価した。これを参考に、自分に合ったパウダーを選んでみよう。

ホエイプロテイン

whey protein minimalism concept and hard light scoop with vanilla powder and glass of milk on brown background
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向いているのは:とにかくプロテインの摂取量を増やしたい人、筋肉の増強や維持を目指している人。

牛乳由来のホエイは、体内で作られない9種類の必須アミノ酸を全て含む“完全”タンパク質なので、数あるプロテインパウダーの中でも一番優秀なタイプとされる。ホエイは他のタンパク質より血中に早く入り込み、ワークアウトや筋肉増強の燃料になるロイシンというアミノ酸を高濃度で含むため、筋肉づくりに効果的。ワークアウトの1時間以内に摂取しよう。

PDCAASスコア:1.0

選び方のコツ:ホエイプロテインには複数のオプションがある。プロテインの摂取量を最大限に高めたいなら、高タンパク(90%)で低脂質・低糖質・低ラクトースのホエイプロテイン・アイソレート(分離乳清タンパク質)かホエイプロテイン・ハイドロリセート(加水分解タンパク質)を選ぶべき。タンパク質は少なめでもいいから、とにかくクリーンな商品を買いたいという人は、ホエイプロテイン・コンセントレート(濃縮乳清タンパク質80%)を選ぶといい。成長ホルモン、殺虫剤、飼育用穀物の副産物を含まないオーガニックでグラスフェッドのオプションも購入可能。

カゼインプロテイン

woman holding glass of milk
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向いているのは:プロテインパウダーをミールリプレイスメントに使う人、就寝前に飲んだりする人、ホエイと組み合わせて筋肉づくりを最適化したい人。

カゼインは牛乳に含まれる主なタンパク質で、ホエイより体に吸収されにくい。よって、筋肉づくりには向かないけれど、満腹感は長続きするので、ミールリプレイスメントのシェイクや朝食のオートミールで体重を減らしたい人にはピッタリ。ホエイと混ぜてワークアウト後に摂取すると、筋肉づくりが加速する。

PDCAASスコア:1.0

選び方のコツ:おすすめは、もっとも消化されにくいミセルカゼイン。ホエイと同様、可能な限りオーガニックでグラスフェッドのオプションか、成長ホルモンを含まないオプションを選んで。

卵白プロテイン

mixer beaters partly emersed in whipped egg whites that have just been beaten until they are stiff
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向いているのは:乳製品アレルギーの人、(パレオダイエットなどで)乳製品は摂らないけれど高品質の完全タンパクは摂りたい人。

卵白プロテインは、その名の通り、乾燥した卵白を粉にしたもので、ホエイより消化されにくく、カゼインより消化されやすい。筋肉のタンパク質合成に関して言えば、ホエイやカゼインほど優秀ではないけれど、ワークアウト後やミールリプレイスメントのスムージーにはよいオプション。

PDCAASスコア:1.0

選び方のコツ:卵白プロテインを摂取したいなら、卵白パウダーを買うしかない。

ソイ(大豆)プロテイン

directly above shot of soybeans in heart shape bowl over white background
Siraphol Siricharattakul / EyeEm//Getty Images

向いているのは:プラントベースの完全タンパクで筋肉をつくり、満腹感を長持ちさせて、1日のタンパク質摂取量を満たしたいヴィーガンの人。

ソイプロテインは、殻をむき、脱脂した大豆をひいて作られる。卵白プロテインと同様、適度な速さで消化され、免疫系、消化器系、脳機能をサポートするグルタミンとアルギニンというアミノ酸を豊富に含む。完全タンパク質であり、筋肉の増強や維持にもっとも効果的な植物由来のタンパク質と言われている。

PDCAASスコア:1.0

選び方のコツ:ソイプロテイン・アイソレートにはソイプロテイン・コンセントレートよりもタンパク質が多いけれど、潜在的なリスクがあるとして物議をかもすフラボノイドのイソフラボンも多い。

ピー(エンドウ豆)プロテイン

fresh spring peas in a row on a pink background
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向いているのは:動物由来の食品は避けたいけれど、大豆は食べたくない人や消化に問題のある人。

ピープロテインはイエローピー(エンドウ豆の一種)から作られており、植物性タンパク質の中でもっとも消化されやすいため、胃が弱く、乳製品や大豆を摂取したくない人に向いている。ただし、完全タンパク質ではない(2種類のアミノ酸が少ない)ので、他の植物性タンパク質(ヘンプやライスプロテインなど)と組み合わせないと完全タンパク質にはならない。

PDCAASスコア:0.69

選び方のコツ:タンパク質の含有量が高いパウダーを求める人は、ピープロテイン・アイソレートを選ぶべき。タンパク質がやや少なめのピープロテインパウダーも悪くない。オーガニックのオプションも購入可能。

ヘンププロテイン

green hemp leaf on green background top view, copy space close up of cannabis leaf
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向いているのは:タンパク質はそれほど必要じゃないけれど、栄養バランスを全体的に改善したいと思っている人。

ヘンププロテインは、栄養豊富なヘンプシードから出来ている。PDCAASスコアとタンパク質の含有量が低いので筋肉づくりには向かないけれど(付属のスプーン1杯あたりのタンパク質含有量はホエイで約25g、ソイで約22gなのに対し、ヘンプの場合は大抵10~15g)、食物繊維とオメガ3脂肪酸を豊富に含む。足りないアミノ酸を補って完全タンパク質にするために、ピープロテインかライスプロテインと組み合わせよう。

PDCAASスコア:0.46

選び方のコツ:ほとんどのメーカーは、ヘンプのヘルシーな食物繊維と脂質を使った“ヘンププロテイン”の名で販売している。最近は、タンパク質の量が多い“ヘンププロテイン・コンセントレート”というオプションもあるけれど、製造過程で他の栄養素が剥ぎ取られている。

コラーゲンパウダー

collagen powder in spoon and lightbox with text collagen nutritional supplement concept
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向いているのは:関節や肌にもよい可能性があるプロテインパウダーを探している人。

牛と魚の結合組織であるコラーゲンは、関節の保護、筋肉の増強、肌の健康づくりに役立つという期待から人気が高い。著書に『Read It Before You Eat It』を持つ公認管理栄養士のボニー・トーブ=ディックスによると、コラーゲンは肌に塗るより口から摂取したほうが効果的と言う人もいる。「ここ最近、コラーゲンパウダー、ピル、サプリメントが人気なのも、そのためでしょう」

コラーゲンパウダーには、コラーゲンペプチド、ビーフ(牛由来)コラーゲン、マリン(海洋性)コラーゲン、ホエイ入りコラーゲンなど数種類があり、用途も異なる。一番人気は、温かい飲みもの(コーヒーなど)にも冷たい飲みもの(スムージーなど)にも入れられるコラーゲンペプチド。ビーフコラーゲンは、自家製のビタミングミやゼリーなど、ジェル状の物質を作る際に使われる。どのコラーゲンパウダーにも、1食あたり10~20gのタンパク質が含まれているけれど、このリストにある他の動物性プロテインと違い、完全タンパク質ではないのが難点。

PDCAASスコア:0。トリプトファンが欠けているのでPDCAASスコアはゼロ。でも、コラーゲン入りのプロテインパウダーブレンドなら0.39。

選び方のコツ:パウダーを飲みものに入れたい人はコラーゲンペプチドを。溶けやすいけれど、あと味が悪いこともあるので、大きなボトルを買う前にサンプルを試してみよう。

植物性のプロテインパウダー

artichoke on the pink background
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向いているのは:スムージーで完全タンパク質を摂取したいヴィーガンの人。全体的な栄養バランスを高めたい人にもピッタリ。

ヴィーガンのプロテインパウダーは種類が多く、以下の植物性タンパク質を1~2種類含んでいる。

・ピー
・ヘンプ
・玄米
・フラックスシード
・キヌア
・ソイ
・アーティチョーク
・チアシード

一般的に、植物性のタンパク質は動物性のタンパク質より質が低く、消化されにくい。でも、タンパク質の量はそれなり(10~22g)のブレンドもある。

PDCAASスコア:植物性のプロテインパウダーブレンドは、タンパク質の供給源が多岐にわたるので評価しづらい。大豆を除き、植物には完全タンパク質が含まれていないため、植物性のプロテインパウダーはホエイやカゼインよりPDCAASスコアが圧倒的に低くなる。でも、植物性のプロテインパウダーブレンドには、複数のタンパク源が入っているため、通常は完全タンパク質として摂取可能。

選び方のコツ:添加糖類や人工甘味料が使われていない商品が理想的。加工された原材料を含まないオーガニックのオプションにもこだわりたい。

注意するべき原材料

栄養バランスや筋肉づくりに最適なプロテインの種類を決めたら、成分表示で以下の点をチェックして。

・特定のプロテイン(ホエイアイソレートなど)が成分表示の一番上に書かれていることを確かめる。

・人工甘味料の有無を調べる。糖質の含有量を減らすため、砂糖の代わりに人工甘味料を使うメーカーに要注意。

・成分表示が長い商品は避けること。添加物ではなく、プロテインのためにプロテインパウダーを買うわけだから。

・損をしたくないのなら、癖のない風味を選んで。もっとも使い勝手のいいプロテインパウダーは、プレーンかバニラ風味のオプション。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Stephanie Eckelkamp Translation: Ai Igamoto