「プロテインを一日に何回飲みますか?」

そんな質問を受けることが多いというのはパーソナルトレーナーの林健太さん。

「トレーナーや競技者、スポーツ選手は一日に何度もプロテインを飲んでいるイメージがあると思いますが、一概にそうとは言えません。近年はトレーニング歴が長い人や、競技レベルが高い人ほどベースである食事からしっかりとたんぱく質を摂るように心掛けているので、プロテインを飲む回数はそんなに多くありません。僕自身も一日一回飲むかどうかという程度です」

少し前まではプロテインを飲めば筋肉がつくと勘違いされていたが、今はフィットネスやサプリメントの情報が普及してきたこともあり、そう思い込んでいる人は皆無に等しいはず。

プロテインはあくまでも、食事から摂るタンパク質と同義であり、食品であることはここで今一度確認したいところ。でも、食事から十分なたんぱく質摂ると言っても多忙な現代人にはなかなか難しいことも多い。

そこで活躍するのがプロテイン。不足しがちなタンパク質を手軽に安く、スピーディーに摂ることができる。

今回は、おすすめと言われるプロテインの摂取タイミングのメリットと注意点を、林さんに教えてもらった。

プロテインはあくまで補助食品であり積極的に摂取するべきなのはバランスのいい食事。その大前提をしっかりと理解した上で、ご自身に合ったタイミングで必要な時に取り入れてみて。

プロテインは1日何回、どのくらいの量を飲めばいい?

プロテインは栄養補助食品のため、回数や量の目安は食事量により人それぞれ。クライアントから飲む回数やタイミングを聞かれることが多いという林さんも、その人の食事スタイルなどをヒアリングし、個々に合った飲み方を推奨するという。
「例えば朝食に食パンとコーヒーしか摂れないという人は、朝食にプラスするのが理想です。朝はしっかり食べるけれどお昼ご飯が疎かになってしまうという人はお昼ご飯にプラスするなど、まずは食事量が少なくなる時の補助として利用してみましょう」もちろん食事からしっかりとたんぱく質が摂れているのにさらにわざわざプロテインを飲んで過剰摂取になることは避けたい。

厚生労働省が推奨するたんぱく質の推定摂取量は0.65g/kg/体重/日と意外と少ない。体重60kgの人であれば約40gなので、朝食に卵と納豆、昼食にお肉や魚の定食、夜に数品のおつまみでも十分な量になる。「もちろん運動をしている人や筋肉を付けたい人であれば0.65g/kg体重/日は少ないので、除脂肪体重×1.5~2gを目安にしてみましょう」

体重60kgで体脂肪率が30%であれば42×1.5〜2g=67.5〜82g。推奨量との差は20〜30g程度なので、プロテインを一回飲むだけでも十分に補えることが分かる。空腹時やトレーニング前後のプロテイン摂取は吸収を考えても理想的だ。

プロテインを飲むタイミング①朝食時

caucasian woman drinking smoothie in kitchen
Mike Kemp//Getty Images

朝はつい時間に追われていて食事を摂る時間がないという人も多いと思うが、そんな時にプロテインは活躍してくれる。

時間がなくても食欲がなくても、寝起きの体は水分と共に栄養も欲している状態。そんな状態を放置して活動を始めるよりも、しっかりと水分と栄養を摂ることで活動レベルは確実にアップする。

特にボディメイクやダイエットに励む方は、プロテインの中でも吸収の早いホエイプロテインを利用し、カタボリックに傾いた身体を素早くリセットすることがおすすめ。

「朝にプロテインを飲む方に多いのは、その手軽さ故にタンパク質はしっかり摂れているものの、肝心のエネルギー源である炭水化物が不足している場合が多いです。スムージーではタンパク質不足、プロテインでは炭水化物不足になるので、バナナスムージーにプロテインを追加したり、プロテインだけでなくおにぎりを食べたりと、上手く組み合わせるとバランスがよくなります」

体を作る材料と動かすエネルギーの糖質とたんぱく質の組み合わせはいかなる時も非常に重要。

そういったものを作る時間や余裕がないという方にも、ミールリプレイスメントプロテイン(食事代替プロテイン)は、たんぱく質だけでなく、炭水化物や適度な脂質も含まれているので活用してみては?

プロテインを飲むタイミング②間食

dalgona coffee in a transparent glass on a marble background
Kseniya Ovchinnikova//Getty Images

朝食のタイミングでタンパク質を摂り損ねた場合でも急がなくて大丈夫。カフェオレ風味などのプロテインは仕事中のコーヒー代わりにもおすすめ。砂糖を大量に含んだジュースを飲むよりも眠気を誘いにくく、食後の空腹感も感じにくくなる。

「お菓子やジュースで高糖質(高脂質)・低タンパク質になりがちな間食やおやつは、肥満の原因になることはもちろん、血糖値の急上昇を招き更なる空腹感や眠気を誘うのに対し、低糖質・高タンパク質を心掛けるだけでそれらの影響は激減します」

食事はある程度の糖質を含んでいるために、食後時間が経つと血糖値が下がってくると同時に眠気やだるさが襲ってくる。

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ここで再度、食事以上に吸収の良い糖の多い間食を摂ってしまっては悪循環を招く。エナジードリンクなどで気合を入れるという人も多いだろうが、カフェインよりも砂糖による血糖値の急上昇で一時的にやる気が出ているだけということも多い。

時間が経ち、血糖値が下がってくると空腹感や眠気を感じるだろうが、多くの人はその前にランチタイムになるので、そんなことを自覚する間も無く血糖値をまた上げる。

朝食からずっと血糖値が高い状況を維持している訳だから、ランチ後は特に眠くなるという人も多いはず。

血糖値の波をしっかり整える健康の側面はもちろん、仕事のパフォーマンスを上げるという意味でも、血糖値を下げ過ぎず、上げ過ぎないタンパク質を間食として摂るのはおすすめ。

ドリンクではなかなか満足できないという人には、なるべく低糖質なプロテインバーがおすすめ。

プロテインを飲むタイミング③トレーニング前

women exercising, drinking water
boonchai wedmakawand//Getty Images

タイミングとしては意外に重要視されていないのがトレーニング前のプロテイン。

食事から時間も空き、トレーニングをするには少し空腹を感じてしまう時もプロテインはちょうどいい間食になる。

あまりにも激しい運動前やトレーニング直前は消化器官にも負担をかけるので避けたいが、通常の筋トレ程度であれば飲んでから30分も時間を空ければ十分落ち着く。さらに固形物よりもその影響ははるかに小さい。

トレーニング後よりもトレーニング前にプロテインを飲むことを重要視する林さんはこう語る。

「運動後はタンパク質だけでなく、エネルギー回復の為にもしっかりと食事を摂るようにしています。せっかくトレーニングをしたのにプロテインだけしか飲まないのはボディメイクにはとても非効率です」

さらにトレーニング前にプロテインを飲んでおくことで、トレーニング後のゴールデンタイムと呼ばれる時間にしっかりと血中アミノ酸濃度を高めておくことができるので、筋たんぱく合成にも効率的。

吸収の早いホエイと、吸収が穏やかなカゼインやソイをミックスさせておくことで、比較的長時間にわたって高いアミノ酸濃度を維持できる。トレーニング後にプロテインが飲めないときや、食事は摂れるけれど消化吸収が気になる場合には試してみて。

プロテインを飲むタイミング④トレーニング後

プロテインを飲むタイミング トレーニング後
d3sign//Getty Images

今や定番となったトレーニング後の「ゴールデンタイム」。超重要な時間帯であることはご承知の通り。

トレーニング後は食事がおすすめとはいえ、そんなにすぐ食事を摂れるという人は少ないはず。準備や時間の問題はもちろん、特に激しい運動後にすぐ食事と言われても喉を通らないのは当然。

そんな時には先述したミールリプレイスメントはもちろん、吸収の早いホエイプロテイン だけでなく枯渇したエネルギーを補給するための炭水化物(糖質)と組み合わせてしっかりと補給しよう。

運動から食事まで30分でも空いてしまうような場合は、少量でも摂ってほしいと林さんは言う。

「万が一プロテインが準備できない場合は、炭水化物(糖質)だけでも摂るようにしてください。食事までの時間にもよりますので無理をして大量に食べる必要はありませんが、運動後は少しでもいいので速やかにエネルギー補給をする習慣をつけておきましょう」

「トレーニング後は体感的にプロテインをいつもよりたくさん飲みたいという気持ちになるかもしれませんが、一般的なトレーニングをする方であれば、20g程度摂れば十分です。タンパク質の量よりも、炭水化物と一緒に摂ることを重視してください。もしも追加でプロテインが飲みたい場合は、3時間程度時間を空けてから飲む方が効率的です」

プロテインを飲むタイミング⑤就寝前

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EmirMemedovski//Getty Images

こちらもトレーニング後と同様に「ゴールデンタイム」と呼ばれる効果的なプロテイン摂取時間帯。

寝ている間は絶好の回復チャンスなのに、そのタイミングに体に栄養がないのはもったいない。

「ゴールデンタイムだからといって毎晩飲むのではなく、一日を通して食事を摂りすぎていないか、夕食から十分な時間が空いているか、寝る直前になっていないかなど総合的にご自身の状況を判断することが必須です。よくプロテインを飲むと太るという人がいますが、そもそもプロテイン一杯のカロリーは100kcal前後。余計な糖質や脂質も含んでいないので、それで太ってしまうという方はそもそもの食生活の見直しから始めることをおすすめします 」

いくら栄養摂取に適した時間だからといって、一日のトータル摂取量やカロリーがオーバーしているのにわざわざ摂る必要はないし、肥満の原因にもなりかねない。

遅い時間まで残業をして、夕食を摂ってから就寝まで時間がないという人は、まずはその食事内容をしっかりと見直そう。

タンパク質をメインにしっかりと食べられているのであれば、プロテインの出番はない。特に寝る直前になり過ぎるのも消化器官に過度な負担をかけるので避けたい。

「ただし、睡眠時間が長い人や休日前でゆっくりと起きる予定をしているという場合は、その分栄養が摂れない時間も長くなるので、就寝30分前くらいのなるべくギリギリがおすすめです」

ソイやカゼインなどなるべく吸収が緩やかなものを選べるとさらに安心だ。

冒頭にも述べた通り、プロテインはあくまで土台であるバランスのいい食事が摂れてこその補助食品。飲む回数が多いということはそれだけ食事が疎かになっているか、自身の食事がきちんと管理できていないサインであるということもしっかり覚えておこう。

プロテインを飲む上での注意点

プロテインはタンパク質補助食品。どんな場合も食事をベースにする意識は忘れてほしくないと林さん。「プロテインの欠点の一つは咀嚼をしないことです。食事は噛むことでもエネルギーを消費し、交感神経を刺激したり様々なホルモンを分泌したりします。ダイエットをしているけれど時間がないからといって、プロテインと果物をミキサーにかけたプロテインスムージーを飲む人もいますが、 噛まない食事は食事と呼ぶには程遠いでしょう」

また、プロテインには人工甘味料も多く含まれる。人工甘味料の摂り過ぎは血糖値に影響を与えることもあれば、甘味に対する感覚を鈍化させる可能性もあるので、やはりタンパク質摂取の大前提は食事から。便利というメリットの裏側には当然デメリットが隠されていることも忘れないでおこう。

あらゆるプロテインを試した
ウィメンズヘルス編集部おすすめのプロテイン

アンファー (ANGFA) ボタニカルライフ プロテイン (きな粉味) ソイプロテイン

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朝や夜、間食におすすめのヴィーガンプロテイン。白砂糖、グルテン、香料、着色料、増粘剤、酸化防止剤]を添加していないので、原料を気にする人にはおすすめ。きなこ味も甘すぎず飲みやすい。

ウイダー プロテイン効果 ソイカカオ味 660g (約30回分) ソイプロテイン

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女性に不足しがちな鉄分やビタミン、Eルチンも配合したソイプロテイン。ココア味なので、口寂しい時の間食に飲めば満足度大。牛乳で割るとまさにミルクココアのような味。

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マイプロテイン クリア ホエイ アイソレート 20Servings ビターレモン

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トレーニング後にゴクゴク飲みやすい、さっぱりサラッとしたプロテインがこちら。味もビターレモンで甘すぎないので、トレーニング後の水分補給も兼ねて取り入れやすいはず。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/