タンパク質のニーズくらい、ときどきステーキを食べておけば満たせると思っていても、実際に摂取するべき頻度や、そもそもタンパク質が重要とされる理由を知らない人は意外と多い。

ヒューマンパフォーマンスカンパニー「P3rform」のパフォーマンスコーチで栄養士のリリー・チャプマンによると、タンパク質は筋肉の修復、骨の強化、免疫力の向上、ホルモンの調節に不可欠で、女性にとってはとくに重要であると同時に不足しがちな栄養素。ステーキが苦手な人(あるいは健康および地球環境に配慮して赤身肉や加工肉の摂取を控えている人)は不安になるかもしれないけれど、幸いにもタンパク質は鶏肉や魚、ナッツやレンズ豆をはじめとする植物性食品からも摂取できるから大丈夫。牛乳やヨーグルトなどの乳製品もよいオプション。

そして今回は、もっと具体的な情報が欲しいというアナタのために、タンパク質の摂取量を増やすべき4つの理由と簡単に増やす方法をチャプマンが教えてくれた。イギリス版ウィメンズへルスからみていこう。

1.持続性のあるエネルギー源だから

チャプマンいわく1gのタンパク質には約4kcalのカロリーが含まれている。タンパク質は糖質よりも分解に時間がかかる分、持続性のあるエネルギー源(移動の多い日にはありがたい)。英国心臓基金によると、ほとんどの成人には体重1kgあたり約0.75gのタンパク質が毎日必要(つまり、体重が60kgの人には45gのタンパク質が必要ということになる)。これを分量に換算すると、だいたい手のひら2つ分。「筋肉を付けたいときや(活力が低下しがちな)更年期には摂取量を増やしたほうがいいですね」とチャプマン。

2.満腹感が長持ちするから

「タンパク質は消化に時間がかかるので、タンパク質が豊富な食生活を送っていると活力が急激に下がることもなくなります」とチャプマン。エネルギー補給には、砂糖たっぷりのチョコレートではなく高タンパク・低糖質のスナックを。

3.骨の健康維持に不可欠だから

骨組織の約50%はタンパク質でできている。「だからタンパク質を十分に摂取して、骨の代謝(古い骨を壊して新しい細胞を作るプロセス)をよくすることが重要なのです」とチャプマン。「それに加えてタンパク質は、骨の形成に必要なホルモンであるIGF-1(インスリン様成長因子1)の産生を促すことが分かっています。女性の場合は加齢に伴うエストロゲンの減少で骨密度が低下するため、その悪影響から身を守るためにも、骨の健康を維持することが大切です」

4.筋肉づくりにも不可欠だから

タンパク質は筋トレの強い味方。「タンパク質は筋組織の重要な構成要素です」とチャプマン。「私たちの体内では、体にエネルギーを供給して筋肉の適応変化を促すために四六時中タンパク質の分解と再合成が行われています。タンパク質を十分に摂取すれば、そのプロセスに必要な必須アミノ酸も補えます」。逆にタンパク質が不足した状態では筋肉を大きくすることも強くすることもできないので、ワークアウトのあとには必ず高タンパクのスナックを。

タンパク質の摂取量を簡単に増やす方法

  • 普通のスナックを高タンパクのスナックに変える。「スナックには高タンパクのヨーグルト、ゆで卵、アーモンドバターを塗ったバナナなどがオススメです」
  • 数回に分けて摂取する。「タンパク質は1度の食事でまとめて摂取するよりも、3~4時間おきに20~30gずつ摂取したほうがいいですね」
  • 朝食で摂取する。「朝食でプロテインを摂り損ねている人は多いですが、タンパク質は主要栄養素の中で一番腹持ちがいいので、最初に食べれば他のものがそれほど要らないかもしれません」
  • サプリメントもオプションの1つ。「栄養補給には可能な限り自然食品を使うべきですが、普段の食生活を補うためにはビタミンのサプリメントも役に立ちます」

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Sophie Goddard Translation: Ai Igamoto

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。