太もも痩せしたいなら鍛えるべきは「内転筋」

太ももを引き締めたい女性なら、ぜひ取り入れるべきなのが「内転筋」の筋トレ。太ももの張りに悩む女性も多いけれど、引き締まった下半身を手に入れるために内転筋の引き締めは避けては通れない。

今回は内転筋の筋トレ方法や女性向けの筋トレグッズをパーソナルトレーナーの林健太さんが教えてくれた。スラリとした美脚でスキニーパンツやスカートを履きこなして。

■内転筋とは

内転筋とはどんな筋肉なのだろうか。

「内転筋は一つの筋肉を指すのではなく、脚(股関節)を閉じる動きである『内転』に関わる筋肉の総称です。内転筋群の多くは恥骨に付いているので、うまく働かなくなると骨盤の安定性や動きにも関わってきます。太ももだけでなく骨盤の悩みにも繋がるので、重要な筋群と言えるでしょう」

日常的な動作で脚を閉じることに対して負荷がかかることが少ないため、内転筋は意識して鍛えないと積極的に使えていない部位ともいえる。


■太ももが太くなる原因

・むくみ

人は重力に逆らいながら生活している上に、一日の半分以上を立位や座位で生活しているので、当然血液は下半身に集まってくる。

この流れを上半身に戻す役割を担っているのがふくらはぎ。太もものむくみが気になるからと言って、太ももだけをマッサージしても根本の改善にはならないので、まずは筋トレで脚全体のポンプ作用を強くすることが大切。

「足裏からふくらはぎ、内転筋群や殿筋など、下半身は全体を使ってトレーニングすることが非常に重要です。その中で特に内側や後面に刺激が入るトレーニングメニューを選択していきましょう」

・脂肪のつきすぎ

よく動かす部位に脂肪はつきにくく、動かさずに筋肉量が少ない部位に脂肪はついていくことが多い。つまり普段から歩行が少ない人は太ももに脂肪がついて太くなる可能性は高い。

厚生労働省の国民健康・栄養調査報告書(令和元年)によると、30代女性の一日の平均歩数は6,816歩で、同年代の男性より15%以上も少ない。

「まずは普段の活動量を見直してみることが大切です。太ももは正しく使えば太くなるどころかどんどん引き締まってきますので、エスカレーターではなく階段を使うなど、小さな心がけからでも太もも痩せを気にしてみましょう」

また、太ももが太くなる根本原因に関して林さんはこう指摘する。

「人間は前を向いて生活しているので、前側の筋肉を積極的に使いやすいです。内転筋群はもちろんのこと、殿筋やハムストリングスなど下半身後面の筋肉が普段から上手く働いていないと、その代償が前や外側の筋肉にのしかかり、張りに繋がるのは当然と言えるでしょう。トレーニングで使えていない筋肉を積極的に使うことで、普段から体の使い方が変わり姿勢や太ももの強張りなども改善してきます」

■内転筋を鍛えるメリット

内転筋群と合わせて殿筋、ハムストリングスを鍛えることと、前側と外側は普段からストレッチやリリースを心がけることは是非セットで行ってほしい。

そうすることで普段からのバランスが整い、下半身のシルエット、ひいては立ち方や姿勢まで改善される。

「内転筋群は股関節の動きに関わる筋肉です。そのため、いかに膝を使わず股関節を優位に動かす下半身のトレーニングができるかがポイントになります。上半身のバランスが取れずにブレが大きいとその分、膝でバランスを取ろうとしてしまいますので意外にコアバランスなども重要です」

内転筋を鍛えることは太ももの引き締めはもちろん、全身の使い方やバランスも身につける万能トレーニングと考えて行っていこう。

【目的別】内転筋の筋トレ方法

太ももやせを叶える、内転筋の鍛え方とおすすめグッズを紹介
Artem Varnitsin / EyeEm//Getty Images

内転筋群の周囲には強力な靱帯もたくさんあるので、まずは体を温めて血流を良くして可動域を上げてからトレーニングを行うことが大切。

股関節が十分に動かないと膝関節優位なトレーニングになってしまい、太ももの張りをより加速させてしまう結果になることも。

「もちろん膝関節も動くのですが、あくまで意識は股関節を動かすことだけに集中してください。スクワットを行う時も意識を腸腰筋におき、骨盤を前傾させることで、刺激も『前外<後内』になります。立ち上がる時も、足裏全体で床を押し下げるイメージで行うことで、今までと全く違ったトレーニングになるでしょう」

■太ももの脂肪を燃やす筋トレ方法

・ワイドスクワット

普段からのスクワットもワイドスタンスをメインに行うほうがいいと林さん。

レギュラースタンスやナロウスタンスにしてしまうと、どうしても太もも前への刺激が大きくなるうえに、膝関節への負担も大きくなる。

「太ももが床と平行までしゃがんだ際に、スネが床と垂直くらいになっている姿勢が理想です。あまり脚幅が広すぎるとしゃがみにくくなります。また、つま先は45°程度外に開き、膝も同じ方向に開くようにしゃがんでいきます。特に立ち上がる瞬間に膝が内に入り込むニーインが起こりやすいので注意してください」

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・サイドスクワットニーアップ

内転筋群にしっかりと刺激を感じるサイドスクワットは女性に人気の高い種目。この動きにニーアップを加えることで嬉しい相乗効果があると林さん。

「片脚立ちになることで中殿筋も活性化し、内転筋群だけでなく同時に積極的に鍛えたい後面に刺激が入ります。さらにはしゃがんだタイミングでしっかりと床を蹴り上げる力も必要になるので、太もも痩せ+ヒップアップに加えて日常的に重要となる機能的な体を作ることができます」

もちろん片脚立ちはコアの筋力も重要になってくるので、たった一つの動きを加えるだけで内転筋群から全身の筋トレに早変わりする。

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■太もものむくみを取るストレッチ

・バタフライ

内転筋群のストレッチとして最もポピュラーなもの。

この時に背中が丸くなると骨盤が後傾してしまい、十分なストレッチが感じられないので、背筋を伸ばして行うことがポイントと林さん。

「頑張って体を倒したくなる人が多いのですが、背中を丸めて倒したところで肝心な股関節のストレッチにはなりません。胸を張って手で足を引き付けるように行ってみましょう」

内転筋群の近くには大きな血管も通っているので、柔軟性を上げておくことは下半身のむくみ改善にも大きく役立つ。

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・ピジョンポーズ

太ももに大きな影響を及ぼすのが人体最大の筋肉である大殿筋。お尻が硬くなると膝痛などを引き起こし、太もものハリやむくみにも繋がる。

「大殿筋の下部は内転筋群と連動して股関節を閉じる働きもあるので、お尻の筋肉が上手く使えないということは内転筋群の働きにも影響します」

後ろに伸ばした脚のつま先は真っすぐではなくやや外に開くことが、内転筋群をさらに刺激するポイント。

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~内転筋の筋トレに便利なアイテム3選~

・フォームローラー

リリースだけでなくトレーニングにも使えるフォームローラーは、複数種類揃えるのが理想と林さん。

「硬さや凹凸はダンベルでいうところの重さに相当するので、負荷になります。硬く凹凸のあるものが人気ですが、最初はシンプルなものからスタートするといいでしょう」

ロングタイプで凹凸がなく、耐久性や弾力性に優れているのはEVA素材でできたもの。内側が空洞の筒状のものよりも、詰まった棒状のほうが柔軟性にも富んでいる。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
太もも裏のセルライトを撲滅する方法を動画で紹介! フォームローラー編|筋膜リリース| Women's Health JP
太もも裏のセルライトを撲滅する方法を動画で紹介! フォームローラー編|筋膜リリース| Women's Health JP thumnail
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グリッド フォームローラー

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・マッサージガン

筋肉だけでなく、細部の靱帯や神経などもリリースするには最適なアイテム。細かい振動は深部までしっかりと届くため、ピンポイントで当てることができないという初心者でも問題ない。

「気持ちいいと感じると長時間使ってしまいがちですが、一カ所に長時間当てず体を滑らせるように使いましょう。内転筋群は陰部に近く層も浅いので、弱い刺激で徐々に行い、大殿筋は層も厚く深部まで距離があるので刺激を強くして使うといいでしょう」

筋肉をしっかりと緩め、リラックスした状態で行うようにしよう。

・ヨガボール

脚を閉じる動きに負荷をかけるのに適したものがヨガボール。自宅でのトレーニングが多い人は、バランスボールと合わせてこちらも用意しておきたい。

「椅子に座って膝に挟むトレーニングはもちろん、ヒップリフトの際に膝に挟むことで内転筋群を活性化させながら大殿筋下部を中心にアプローチできるので、お尻と太ももの境目が気になる人にはおすすめです」

CHIEKAN ヨガボール

ヨガボール

CHIEKAN ヨガボール

Headshot of 林健太
林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/