髪を洗う頻度についての議論は何年も続いている。インターネットでは毎日洗うことを勧める記事や、ヘアタイプによって月1回という記事まで様々な情報があふれているけれど、皮膚科医いわく、万人に当てはまる数字はないそう。

つまり、「その人の髪と活動量次第です」と話すのは、米マウント・サイナイ・アイカーン医科大学臨床皮膚科学助教授で皮膚科医のゲイリー・ゴールデンバーグ医学博士。

でも、髪と頭皮をキレイにすることが大切なのは間違いない。ゴールドバーグ医師によると、髪の毛は皮膚細胞と脂腺に囲まれた毛包から出てくるけれど、この脂腺は皮脂を分泌する。皮脂は髪を健康で柔らかい状態に保つ一方、髪のべたつき、ヘアケア剤の蓄積、フケの原因にもなる。だから、硫酸不使用か天然成分オンリーのシャンプーが必要になるというわけ。詳しく見ていこう。


【目次】


髪を毎日洗うのは悪いこと?

必ずしも悪いことではないけれど、これも個人のニーズ次第。米国皮膚科学会によると、髪を洗う頻度は頭皮から分泌される皮脂の量によって決めるべき。

「髪が油っぽい人は、毎日洗ってもまったく問題ありません」と話すのは、米マウントサイナイ病院皮膚科の美容整形・臨床研究ディレクター、ジョシュア・ツァイヒナー医学博士。「もちろん、髪が乾燥している人や頭皮が敏感な人は、もう少し頻度を下げてもいいですよ」。ツァイヒナー博士によると、毎日洗う人もいれば、1~2週間に1回しか洗わない人もいる。最終的には個人のニーズと好みの問題。

ただ、洗いすぎはやっぱりよくない。ゴールドバーグ医師いわく、必要以上に髪を洗うと、髪を潤しておくための油分が剥ぎ取られてしまい、髪がもろくなたり切れたりする。

じゃあ、どのくらい頻繁に洗うべき?

ヘアタイプや皮脂の分泌量が何であれ、絶対という頻度はない。理想的な頻度は、運動の頻度、髪質、カラーリング、年齢によっても変わる。

「とてもアクティブな人の場合は、頭皮に汗が蓄積したり、汗に汚れがくっついたりするので、頻繁に洗ったほうがいいでしょう」とゴールドバーグ医師。逆にカラーリングをしている場合は、色落ちを防ぐためにシャンプーの頻度を下げて。また、年を取ると頭皮の油分が少なくなるので、頻繁に洗う必要もなくなる。

ヘアケアブランド『NTRL By Sabs』の創業者でセレブ専門ヘアスタイリストのサブリナ・ロー・ホールズワースによると、カーリーヘアは髪の油分が剥ぎ取られやすいため、洗いすぎないようにするべき。

一般的に、専門家たちはヘアタイプごとに以下の頻度を勧めている。

オイリーヘア

毎日または1日おき。ゴールドバーグ医師が患者さんに“原則として”勧めるのもこの頻度。

乾燥してごわついた髪

週に1回。「髪が乾いてごわついている人は皮脂の分泌量が少ないので、それほど頻繁に洗わなくていいですよ」とゴールドバーグ医師。4~5日おきに水洗いして、シャンプーではなくクリーミーなコンディショナーで潤す(海外“コー・ウォッシュ”と呼ばれる方法)くらいがちょうどいいという人もいる。「コンディショナーならクリームベースで硫酸が含まれていない分、髪の水分が保持されやすくなりますよ」とホールズワース。「普通のコンディショナーでは老廃物が蓄積してしまう可能性があるので、コー・ウォッシュには必ずコー・ウォッシュ専用の商品を使ってください」

カーリーヘア

頭皮がキレイに保てるのなら、2週間に1回でいいですよ」。でも、それ以上髪を洗わないのは危険。「頭皮のバランスを保つためにも、2週間に1回は何らかの形(ドライシャンプーでもOK)で洗ったほうがいいですね」。コー・ウォッシュはカーリーヘアにもオススメ。

細い髪

毎日または1日おき。ゴールドバーグ医師によると、細い髪は太い髪より油っぽくなりやすい。

自分に合った頻度を見つけるためには、ある程度の試行錯誤が必要になる。「髪の見た目と手触りを参考にしてください」とゴールドバーグ医師。髪がパサパサでごわついているときは、シャンプーの頻度を減らしてみて。逆にベタベタしているときは頻度を1~2日増やしてみよう。

シャンプーの仕組み

ツァイヒナー博士によると、シャンプーの目的は毛幹の汚れ、油、ヘアケア商品を取り除くことにある。もちろん頭皮に達したら、ボディソープと同じように頭皮をキレイにしてくれる。

自分に合ったシャンプーの見つけ方

ツァイヒナー博士によれば、自分に合ったシャンプーを使うだけで髪と頭皮の状態が大きく変わる。そして、髪と頭皮の状態は、髪を洗う頻度を決める上で大事な要素。だから自分に合ったシャンプーを使うことが非常に大切。

「細い髪にドライヘア用のシャンプーを使うと髪が重くなり、ペッタリした感じになることがあります」とツァイヒナー博士。そして、ドライヘアやごわついた髪にクラリファイング(頭皮と髪の蓄積物を取り除く)シャンプーは強すぎる。

「ほとんどのシャンプーには、油と汚れを落として泡立ちをよくする界面活性剤と、香りや高級感を出すための成分が含まれています」とゴールドバーグ医師。「オイリーヘア用のシャンプーには界面活性剤が多いのに対し、ドライヘア用のシャンプーは刺激が低めですね」

ツァイヒナー博士いわく、硫酸不使用のシャンプーは髪にやさしいので、ドラッグストアや美容院でチェックしてみよう。

そして、シャンプーの頻度を変えても調子が上がらないときは、皮膚科医にオススメの商品やケア方法を聞いてみて。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Korin Miller Translation: Ai Igamoto