朝に髪をセットするときにも、夜に髪を乾かす際にも、おそらく多くの人がヘアブラシを使っているはず。でも毎日使うそのブラシ、そのままにしていない?

アメリカの女性向け抜け毛治療クリニック「Medi Tresse」の創設者で、メディカル・ディレクターを務めるメアリー・ウェンデル氏は、ヘアブラシのケアについてこう説明する。

「付着した皮脂や角質、スタイリング剤などを落とすために、ブラシを洗うことは必須です」「手入れをしないまま使い続けると、清潔な髪が脂っぽく、汚れてしまうかもしれません。ブラシに細菌やカビが付着し、それが頭皮に悪影響を与える可能性もあります」

特に肌が敏感な人は、頭皮の炎症を防止し、毛根を包んでいる皮膚組織(毛包)を詰まらせて髪の成長を妨げないためにも、クシやブラシをこまめに洗うことが大切。

とはいえ、何からはじめるべきなのか? ここでは、複数の専門家がヘアブラシの正しいお手入れ方法や推奨頻度、ヘアブラシの寿命と買い替えのタイミングについて教えてくれる。

ヘアブラシの効果的なお手入れ方法とは?

まずは正しいお手入れ方法を見ていこう。ブラシの種類によっても、最適なクリーニングの方法は異なるので注意が必要。

ステップ1:ブラシから髪を取り除く

「まず、ブラシに絡まっている髪の毛を取ります」と説明するのは、ファッションショーなどでも活躍するヘアスタイリストのジェニファー・コラブ氏。「指かクシで優しくほぐして、髪の毛を引き出しましょう。絡まって取れない場合は、ハサミで切っても大丈夫です」

「特に360度ブラシが付いているロールブラシやブローブラシのなどは、絡まった毛を切らなければならないことが多いです」とウェンデル氏は補足する。

ステップ2:水に浸す

ここからは、プラスチック製か木製かによってケア方法が異なる。

  • プラスチック/合成繊維
hair tools, beauty and hairdressing concept different brushes or combs on grey background
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ウェンデル氏によると、プラスチック製や合成繊維のブラシが最もケアしやすいという。

「洗面所のシンクや大きめのボウルをぬるま湯でいっぱいにし、シャンプー約大さじ2杯を入れて、ブラシを浸します」約10分間浸けた後に、歯ブラシか綿棒で、目に見える残りのゴミを取り除けば完了だ。

また、クリス・ジェンナーなどのヘアスタイリストを務めるクライド・ヘイグッド氏は、「ブラシの洗浄には、しっかりと汚れを落としてくれるクレンジングシャンプーが最適ですが、普段使用しているシャンプーでも大丈夫です。ただし、シャンプーの成分がブラシの毛をコーティングしないように、シリコンやコーティング剤が入っていないものを選んでください」とアドバイス。「シャンプーをそのままブラシにつけても、(前述のように)ぬるま湯に入れてブラシを浸しても良いです」

ニューヨークの皮膚科クリニック「MDCS Dermatology」の専門医マリサ・ガーシック氏は「もし汚れがひどいようでしたら、重曹をつけた歯ブラシで毛の間を磨き、ぬるま湯で流すと効果的です」と助言する。

  • 木製/天然繊維
various types of hair brushes
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「木製や天然繊維のブラシは浸け置きせず、髪の毛をできるだけ取り除いた後、ぬるま湯の石鹸水にさっと浸けましょう」とウェンデル氏。「さらに歯ブラシで磨けば、蓄積しているゴミを取ることができます」またガーシック氏は、なるべく柄の部分を水に浸けないようにし、ブラシの毛の部分のみ掃除することを推奨。

プラスチック製でも木製の場合でも、シャンプーや石鹸で洗う前に、シンクやボウルにぬるま湯と、小さじ1杯のりんご酢か重曹を入れてすすぐ人もいるそうだ。

「そうすることで、ブラシについた脂分をより落とせるかもしれません。ただその場合は、しっかりとシンクなどを洗い流した上で、シャンプーや石鹸とぬるま湯に浸すことが大切です」と、ウェンデル氏は話す。

ステップ3:すすぎと乾燥

さらにウェンデル氏は、「いずれのブラシも、水に浸した後は、冷水でシャンプーや石鹸がすべて落ちるまで洗い流します」「頭皮ケアなどにも使用されるパドルブラシの場合は、クッション部分に残った水分を出しきりましょう」と続ける。すすいだ後ブラシはすぐに使用せず、少なくとも12時間は自然乾燥させるのがおすすめ。

「すすいだ後は、ブラシの毛先を下にしてタオルの上にのせ、乾燥させます」そう話すのは、ニューヨークの「Laser & Skin Surgery Center」の皮膚科専門医ブレア・マーフィー=ローズ氏。ただ、ヘイグッド氏によると、急いで使う必要がある場合は「ドライヤーで乾かすことも可能です」とのこと。

どのくらいの頻度でお手入れすべき?

「目に見えて汚れていたり、使用感が以前と異なってきたらお手入れの時期です」と話すのは、シンディ・クロフォードやジゼル・ブンチェンのヘアスタイリストで、ヘアケアブランド「Harry Josh Pro Tools」の創設者でもあるハリー・ジョシュ氏。「ブラシの毛に、スタイリング剤やコーティング剤などが溜まりやすく、それが原因でヘアブラシの効果を最大限に発揮できない場合があります」

ヘアブラシのお手入れの頻度についてヘイグッド氏は、髪型や髪質、ヘアケア製品の使用状況によって異なると説明。「もし髪の毛が細く、ボリュームを出すためにスタイリング剤をたくさん使う場合は、その分こまめに洗う必要があります。オイリーヘアの人も、清潔な髪に再度脂分をつけてしまわないように、頻繁に手入れをした方が良いでしょう。髪の毛が硬かったり、ウェーブがかっている人は、ブラシに髪が絡まりやすいため、定期的に取り除くことが大切です」手入れの目安は、週に1回程度とのこと。

なお、「週に1度は大変すぎる」「毎日使うわけでもない」という人には、日々の簡単なケアがおすすめ。

female hairloss
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「まず、ブラシの毛が折れないように、使い終わったら必ず髪の毛を取りましょう」と、「Material Tampa Salon」ヘアスタイリストのジェシー・ストラミエロ氏。

ウェンデル氏も、週に1〜2回(もしくは必要に応じて)ブラシについた髪の毛を取り、2〜4週間ごとにしっかりお手入れをする方法を推奨している。

なぜ定期的にお手入れすべきなのか?

コラブ氏は、「ヘアブラシの手入れをすることは、髪と頭皮の健康のために大切なことです」「ブラシに細菌やカビが繁殖し、それが頭皮に移ってしまう可能性があります」と警告。また、ブラシを清潔に保つことで効果を最大限に活かすことができ、髪がオイリーになったり汚れを防ぐことができる、と続ける。

「ヘアブラシには皮脂、ヘアケア製品の残留物、汚れ、細菌、真菌などが蓄積します」と述べるのは、「MDCS Dermatology」の医師、ブレンダン・キャンプ氏。「汚れたブラシを頭皮に使うことで、皮膚炎や髪のダメージ、頭皮の毛穴詰まりにもつながります」

さらに、清潔ではないヘアブラシは役割を果たせず、逆に髪の美しさを損なうことになる、とジョシュ氏。ヘイグッド氏も「清潔なヘアブラシは、髪の見た目も手触りもベストな状態にしてくれます」と賛同する。

ヘアブラシを買い替えるタイミングは?

お手入れが大変だと感じるなら、ヘアブラシを新調することも検討できるかもしれない。ウェンデル氏は、ヘアブラシの定期的な買い替えを提案する。「お手入れをした際に、ブラシの毛が折れ曲がっていたり、根元にヒビが入っていないかも確認しましょう」

洗っても汚れが落ちにくくなったり、目に見える汚れや残留物がある場合、またブラシの毛先がしなってきたら買い替えのタイミング、とキャンプ氏。ヘイグッド氏も、「毛先が曲がったり折れてしまうと、スムーズなブラッシングができなくなり、髪が傷んだり切れたりするかもしれません」と指摘。

ジョシュ氏は、お手入れをしてもブラシの見た目が改善されず、以前ほど効果が得られなくなったら、新たなブラシを購入すべきだと推奨。

何年も使えるブラシもあるいっぽうで、6〜12カ月ほどで交換が必要なものも。定期的にブラシの状態を確認し、しっかりと効果を発揮しているか見極める必要がある。

まとめ

young woman get ready brush hair in bathroom
fizkes//Getty Images

清潔な髪には、清潔なブラシが必須だとウェンデル氏。「髪を洗った後に、角質や皮脂、スタイリング剤が残ったブラシを使用すると意味がありません」

私たちが使用する他の美容グッズやツールと同様に、ヘアブラシもメンテナンスや正しいケアが重要。それによって、ブラシの寿命をのばし、機能を維持することができる、とジョシュ氏は述べる。

ストラミエロ氏は、最後にこう助言する。「担当美容師に、髪質に合ったブラシはどれか相談することを推奨します」「自分に最適なブラシに投資した分、仕上がりもまったく違うものになるのです」

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Prevention

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Madeleine Haase

Madeleine, Prevention’s assistant editor, has a history with health writing from her experience as an editorial assistant at WebMD, and from her personal research at university. She graduated from the University of Michigan with a degree in biopsychology, cognition, and neuroscience—and she helps strategize for success across Prevention’s social media platforms. 

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 高校生時代にアメリカンカルチャーの影響を受け、大学在学時にアメリカ・シアトルにてホームステイを経験。海外ドラマに関するWEBメディアでライターを務める。海外エンタメ・セレブ、ロイヤルファミリー、ヘルス・ウェルネス記事をメインに、翻訳を担当。手話技能検定3級、世界遺産検定2級、アロマテラピー検定1級を持つ。