前回、腸を整えることで細胞が活性化し、髪の老化を防ぐことにつながることがわかった。では、髪の老化の一つである白髪は改善できるの? 「一度白髪になってしまった髪も、黒髪に戻すことは可能です」と話すのは、東京医科学研究所の代表を務める鈴木奈央子さん。今回は、白髪ができるメカニズムと黒髪に戻す方法について伺った。

髪はもともと“白い”もの⁉

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Jamie Grill//Getty Images

日本人であれば、ほとんどの人の髪は黒い。しかし、髪というものは、もともと黒いものではない、と鈴木さんは話す。

髪の毛とは、毛母細胞が細胞分裂し、分裂した細胞がどんどん新しい細胞に押し上げられ、角化しながら柱状に伸びて頭皮から表面に出てきたもの。この分裂後から毛髪が形成されていく過程で、毛母細胞に隣接するメラノサイト(色素細胞)から分泌されるメラニン色素が取り込まれることで、髪は黒くなります。ということは、人間のもともとの髪(毛髪の元となる毛母細胞)は白色なのです。

髪に色素が入るのは、頭皮を紫外線から守るため。黒髪が紫外線によって発生する活性酸素を吸収し、細胞が損傷することを防いでくれています」

白髪ができる原因とは?

「加齢などのさまざまな要因によってこのメラノサイト(色素細胞)が衰え、メラニン色素が生成されなくなり、髪が白いまま生えてきてしまうのが白髪。メラノサイトは活性酸素によって損傷を受け、老化します。その活性酸素の発生をできるだけ抑えて、メラノサイトの劣化を食い止め、再びメラニン色素を生成する。そうすることができれば、一度白髪として生えてきてしまった髪も、根元から生えてくる髪が黒髪に変わるのです。みなさんも自分の髪を見ていて、白と黒がまだらになっている髪を見たことがあると思います。それは毛母細胞付近にあるメラノサイトが一時的に機能できない状態だったため、白いまま髪が生えてきてしまった時期があった、という現象です」

白髪を黒髪に戻す方法

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Mike Kemp//Getty Images

では、メラノサイトの劣化を食い止めるにはどうすればいい?

「メラノサイトは、毛母細胞と同様に毛根の奥の毛球部分にあります。したがって、毛根部分の劣化を食い止め活性化させることが、白髪を黒髪に戻すことにつながります。そのためには、生活習慣や食生活を変え、活性酸素の発生を抑えることが大切です。前回の記事でお話したように、まずは食べるものを変え、腸内環境を整えましょう。また、ストレスは活性酸素を発生する大きな要因なので、ストレスのない生活を送りましょう」

とはいえ、外的刺激はできるだけ避ける方がベター。わたしたちが日常的にできることは?

「頭皮が固い状態は良くないので、血流を良くするヘッドマッサージなどは有効です。皮膚は呼吸しているので、シャンプーなどが頭皮に残らないように注意しましょう。また、髪を染める染料は頭皮に刺激が強いので、できるだけ使わないことをおすすめします」

腸内環境や生活習慣を変えることは時間がかかること。しかし、しっかりと続ければ、髪も答えてくれるはず。美しい髪を維持するために、ぜひ小さなことから変えてみて。

髪も肌もどんどん艶めく腸のお掃除

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鈴木 奈央子
健康管理士指導員、臨床検査技師

1996年 杏林大学保健学部卒業。同年より杏林大学医学部付属病院に勤務。2002年より医薬品の臨床開発業務に従事し、2014年、株式会社東京医科学研究所を設立。2020年1月に書籍『髪も肌もどんどん艶めく腸のお掃除』を発刊。食品の安全性にかかわる研究の傍ら、健康管理士指導員としてエイジングマネジメントに関する講演や執筆活動を通し、予防医学や食育等の普及に努めている。東京医科学研究所では現在、育毛評価試験の育毛モニターを募集中。 

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Kaoru Sawa
ウィメンズヘルス・エディター

美容・ダイエットを中心とした記事を担当。自他共に認める美容マニアで、ハマり症。その気質から、自分が挑戦する取材企画には必ず結果へのコミットにこだわる。男性ライフスタイル誌、女性向けアプリメディアなどを経て、2021年までウィメンズヘルス編集部に在籍。