ワークアウトや会議中、起床してすぐや深夜であろうと、頭痛は容赦なく起きる。いつ起ころうと、すべての頭痛に共通するのは「痛み」があること。

頻繁に頭痛が起きる場合はとくに、体力が消耗し、日常生活にも支障をきたすことがある。すべての頭痛を一括りにはできないけれど、頭痛をどうやって治すかを自分で判断する前に、まずはどのタイプの頭痛が起きているのかを把握する必要がある。

もっとも一般的なタイプの頭痛は、「緊張型頭痛」。頭のあらゆる領域に痛みを伴い、通常は深刻というよりも注意散漫気味になる。頭痛以外の症状を引き起こすことはない。一方で「片頭痛」は、頭の一部がズキズキと痛む特徴があり、光や音に対する過敏性や吐き気などの症状を伴うこともある(アメリカ片頭痛財団によると、片頭痛患者は女性のほうが圧倒的に多く、その数は男性の3倍であることがわかっている)

稀な「群発頭痛」は、極めて重度な痛みを伴う。頭部の片側に耐え難い痛みが短時間生じ、数週から数ヵ月の期間群発する。「反跳性頭痛」、別名「薬物乱用頭痛」は、市販薬や処方薬を服用しすぎていることで起きる頭痛。

どのタイプの頭痛であれ、いくつかの自然療法を試してみる価値はある。今回は、薬を飲まずに自然に頭痛を治すための18つの自然療法を、専門家がアメリカ版ウィメンズヘルスに教えてくれた。

1. 規則正しい睡眠を維持する

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ニューヨーク大学ランゴーン・ヘルスの頭痛部門長で神経学教授のローレンス・ニューマン医師によると、頭痛予防には睡眠が重要なカギを握っている。

そこでニューマン医師は、「Sleep(睡眠)Eat(食事)Exercise(運動)Drink(飲酒)Stress (ストレス)」の頭文字を取った「S.E.E.D.S.」アプローチを推奨している。片頭痛の予防には、一貫したルーティンを維持することが肝になるとか。まずは、規則的な睡眠スケジュールを確立させることから努力を始めていこう。「つまり、週末に昼の3時まで寝ていてはいけないということですよ?」と、ニューマン医師。睡眠不足や過度の睡眠もまた、頭痛を誘発する原因になる。一晩に7〜8時間の睡眠をとることを目標にしよう。

毎晩同じ時間だけ睡眠をとることができれば、ほかのタイプの頭痛予防にもなる。「睡眠時間や就寝時間がまばらになるなどして脳を混乱させると、脳は過度な興奮状態になり、あらゆるタイプの頭痛を引き起こすことになるのです」と、ニューマン医師。

2. 健康的に食べる

日々の食事は、頭痛にも大きく関係している。代替糖や熟成チーズなど、頭痛の引き金となる食べものを避けるようにニューマン医師は提案している。「そして、三度三度の食事をとりましょう。タンパク質ベースの美味しい食事を1日3回食べることが理想的です」と、ニューマン医師。これに加え、アーモンドやレーズンなどの健康的なスナックを常備し、1日を通して体に十分なエネルギーを与えること。

さらに、スタンフォード医科大学の神経学の臨床准教授であるナダ・ヒンディエ医学博士がいうには、このような食べ方は、頭痛の引き金となる脳の過剰な興奮を回避できる。そのため、どんなに忙しくても食べることを忘れずに、それぞれの食事に少量のタンパク質を取り入れて。

3. 十分に運動をする

「片頭痛持ちの方は、一度に30分以上の有酸素運動を、週に少なくても3日は行うことをお勧めしています」と、ニューマン医師。ある研究では、運動による片頭痛の予防効果が、リラクゼーション法やトピラマートという薬を毎日服用する効果に匹敵することがわかっている。そしてもちろん、運動は体の自然な鎮痛剤であるエンドルフィンをいっぱい放出させる。

すでに頭痛(とくに緊張性頭痛)があるときに運動することも、鎮痛作用のあるエンドルフィンのおかげでかなりラクになることもある。ヒンディエ医学博士は、緊張性頭痛が起こりそうと感じたときにはいつでも、20分間の有酸素運動(心拍数を上げるものならどんな運動でも可)を習慣化するように勧めている。

4. 飲みものに注意を払う

食事と同様、飲みものもまた、頭痛に大きな影響を与える。とくに以下の2つには注意して。片頭痛や群発頭痛が起きた場合は、アルコールをやめるか、量を制限すること。ヒンディエ医学博士がいうには、ほとんどの群発頭痛患者は、飲酒を完全に避けている。アルコールによって頭痛が悪化したり、発作を引き起こす原因になることを自覚している人は多い。

ニューマン医師は、頭痛予防のために、カフェインが含まれる飲みものを1日2杯以上飲まないように勧めている。そして、毎日コップ5〜7杯の水を飲み、十分に水分補給をすること(脱水症もまた、片頭痛の引き金としてよく知られている)

5. ストレスを減らす

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これは驚くことでもないけれど、ストレスは頭痛を誘発するので、ニューマン医師は患者全員に、「自分の時間」を処方しているとか。「男性でも女性でも、自分のための時間を過ごす必要があります」と、ニューマン医師。「ジムに行ったり、街を散歩したり、本を読んだり、友達と話したりして、自分の思うように時間を過ごしてください」。心から「ふぅーっ」と一息つけるような気持ちになれるものはなんでも、あなたのストレスを軽くしてくれるから。

6. ビタミンB2を十分に摂取する

「いくつかの有力な研究では、比較的高用量のビタミンB2(リボフラビン)を摂取することが、片頭痛の予防に有効であることが示されています」と、ニューマン医師は説明する。「標準のマルチビタミンのサプリには、一般的に約16mgのビタミンB2が含まれています。片頭痛を予防するためには、1日あたり200mg〜400mgのビタミンB2が必要です」。ただし、自己判断でビタミンB2の服用量を増やすのはよくない。必ず医師に相談してからにしよう。

7. もしくは、マグネシウムを試してみる

ビタミンB2以外で片頭痛の予防策としてよく使われるサプリメントは、1日200〜300mgのマグネシウム。ただしマグネシウムは、下痢などの副作用が現れる可能性がある。また、ニューマン医師がいうには、心臓疾患を抱えている人はとくに注意する必要がある。マグネシウムの服用もまずは、医師に相談してから判断するといい。

8. コエンザイムQ10をとる

さらに試してみる価値のあるサプリメントがこれ。「コエンザイムQ10は、1日300mg前後の服用で、頭痛予防に効果があることが研究で実証されているサプリメントです」と、ニューマン医師。

9. ショウガを食べる

ginger and ginger powder, ginger tea
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ショウガは、頭痛を治すうえで有効な自然療法。2014年に行われた研究では、ショウガの粉末を摂取した片頭痛患者は、スマトリプタン(片頭痛・群発頭痛の治療に使用される薬)を服用した患者と同レベルで痛みを軽減することができた。すでにご存知かもしれないけれど、ショウガには胃の不調を和らげる働きもあるため、吐き気や嘔吐など、片頭痛によって生じるほかの症状を落ち着かせる効果も同時に得られるかもしれない。

10. メラトニンを服用する

メラトニンは、就寝時に眠気を誘うために体が自然に生成するホルモンで、群発頭痛や片頭痛を予防する働きがあることが研究で示されている。ヒンディエ医学博士によると、一般的には、高用量(約10〜30mg)のメラトニンが、群発頭痛の発作を防ぐのに有用であるとのこと。一方で片頭痛には、低用量のメラトニンで十分のよう。

さらに、メラトニンを定期的に服用することで、一貫した睡眠スケジュールを維持しやすくなる。これがあらゆるタイプの頭痛を予防するうえで重要な要素だということは、もう理解しているはず。

※日本国内では、メラトニンは処方箋が必要な医薬品。医師の診断を受けて服用してください。

11. 鍼治療を検討してみる

古代中国の医療である鍼治療は、医学界で賛否両論の評価を受けてきた。だけど、2016年に実施された22件の臨床試験のレビューでは、有望な結果がみられている。

この研究著者は、次のように述べている。「片頭痛の治療を開始する前は、月に平均6日で頭痛発作が起きている場合に、通常の治療のみを受けるとそれが5日に、偽の鍼治療や予防薬を受けるとそれが4日に、真の鍼治療を受けるとそれが3日半にまで減少することが期待できるでしょう」

12. バイオフィードバックをマスターする

SFみたいに聞こえるかもしれないけれど、米国片頭痛財団によると、バイオフィードバック(一部の身体の反応を自分でコントロールする技術)は、頭痛の重症度と頻度を軽減できることが示されている。

「バイオフィードバックは偉大なものです」 とニューマン医師。「頭痛を予防するためにできるエクササイズと、頭痛が始まる際に重症度を軽減するために自分で身につけられるエクササイズがあり、これによって薬の服用や服用量を減らすことができるのです」。精神状態の微妙な変化を個人でモニターすることからヨガを実践することまで、バイオフィードバック療法にはさまざまなテクニックや方法が存在するので、どんな方法が自分に最適であるかを医師に判断してもらおう。

13. マッサージをする

ニューマン医師によれば、マッサージもまた、頭痛を和らげる立派な非薬物療法の一つ。肩や首をマッサージするのは効果的だけれど、片頭痛の発作が起きているときに頭皮や頭をマッサージするのだけはやめておこう。残念ながら痛みが悪化し、なんの助けにもならない。

また、マッサージ(もしくは、心身に安らぎを与えるもの)はストレスを解消するのに役立ち、群発頭痛や緊張性頭痛の予防や治療にも有効だといわれている。

14. 冷やしたり温めたりしてみる

あなたの好みにもよるけれど、冷たい湿布や温かいタオルは、頭痛の痛みを和らげてくれる。「アイスパック(保冷剤の入ったパック)は、神経を麻痺させる効果があります」と、ニューマン医師。ただ、この方法で痛みを完全に取り除くことはおそらくできない。

15. 香りを嗅いでみる

small bottle of essential mint oil
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エッセンシャルオイルは万人受けしないかもしれないけれど、2016年の研究では、ペパーミントオイルは緊張性頭痛にプラスの影響を与えることがわかっている。おまけに、香りを空気中に拡散してくれるアロマディフューザーを使えば、ミントの爽やかな香りをほんのり纏うこともできて一石二鳥に!

16. 香水は控えめにする

一方で、片頭痛を誘発する香りもある。香りの強い石鹸や洗剤の使用には注意し、パートナーにも、香りの強い香水は控えてもらおう。

結論として、ニューマン医師はこのように語った。「薬物療法でないからといって効果がないわけではありません。逆をいうと、非薬物療法が効かないからといってほかの選択肢がないというわけでもないのです。時代は常に変化しています。まだあなたが効果のあるものに出会えていなかったとしても、どうか諦めないでください。頭痛を専門とする医師はたくさんいます。片頭痛患者を救うためならなんとしてでも力になりたいと願う医師はたくさんいるということを、忘れないでくださいね」

17. ヨガをやってみる

ヒンディエ医学博士は、ある理由から、頭痛患者にヨガを勧めているとか。なぜなら、ヨガはストレッチや筋肉の健康を助長し、それが頭痛予防に大きく貢献してくれるから。ヨガで得られる深呼吸や身体意識の向上は、頭痛対策の優秀な武器になる。

ただし、ヨガを試してみるなら慎重に。「ヨガにも唯一注意点があります。体より頭の位置を低くする姿勢は、頭痛の引き金になることがあります」と、ヒンディエ医学博士。初めのうちはダウンドッグのポーズは避けておき、体がそれに対応できるようであれば、徐々にトライしていきましょう」

18. 薬の服用にも注意を払う

直感に反しているようだけど、頭痛を止めるために処方薬や市販薬を飲もうとしているときは、もう一度よく考えて。「なんらかの薬を月に10日以上服用していると、反跳性頭痛を起こす恐れがあります」と、ヒンディエ医学博士。基本的に、体は薬を飲む習慣に慣れてしまっているので、薬を飲むのをやめると今度は脳が疲れてしまい、それがまた頭痛の引き金になることがある。

頭痛に悩まされることが多く、薬に頼りすぎてしまっている場合には、予防薬について一度医師に相談してみよう。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: AMY WILKINSON AND ASHLEY ABRAMSON Translation : Yukie Kawabata