元チアリーディング競技者で、現在はヨガの講師として活躍してるAsakoさん。アクティブに活動する彼女だが、実は10代後半から20代前半まで重度の月経困難症に悩まされていたという。「生理痛でうずくまってしまい、救急車で7回、運ばれたこともあります」とAsakoさん。そんな彼女が、重度の月経困難症を病院に頼らず解消した方法を教えてもらった。
気絶するほど重い生理痛に悩まされる日々
現在は生理痛やPMSに悩まされることなく、生活を送っているAsakoさん。しかし、20代前半までは重度の月経困難症と戦っていたという。
「PMSがひどく、生理痛は重くて、精神的にも落ち込んでしまうくらいの症状でした。もちろん経血の量も多くて、子宮のあたりがキューッとなるような痛みが生理のたびに起こる。生理痛で気絶してしまい、救急車で運ばれることもしばしば。嘔吐することもありましたね。しかし、何度婦人科に通っても、『月経困難症は体質だから仕方がない』と診断されてしまう。ピルを飲むことを勧められてトライしてみましたが、今度はピルを飲んでいることによる不調に悩まされることも。ピルをずっと飲み続けることにも疑問を持ち、ピル以外の方法がないのか模索していました」
大学を卒業して就職し、約3年半、飛び込み営業をしていたAsakoさん。数字を追い続ける毎日にストレスを感じていたものの、それが生理痛につながっているとはそのときは気が付かなかったという。
「仕事の忙しさや営業職という競争文化のなかで身も心も疲れてしまい、メンタルクリニックにかかることにしました。そこからカウンセリングに通いつつ、ストレス軽減の一貫としてヨガを始めることにしました。そうすると、どんどんマインドに変化が現れ、ケロッとメンタルバランスがよくなってしまったんです。さらに、生理痛が軽くなっていることに気が付きました。『もしかしてヨガは月経困難症の人を救えるかもしれない』と感じ、ヨガのインストラクターになることを決意しました」
生理による障害の原因を見つめ直す
ヨガ講師になり、指導にあたるなかで、月経困難症の原因を追究する。
「私のなかで、月経困難症の原因は自律神経とマインドだと考えます。まずマインドが変わらないと、体は変わろうとしない。マインドが不安定だとホルモンバランスが乱れますし、ホルモンバランスが乱れていると生理痛にも影響が出ます。要するに、自律神経の乱れが、月経困難症の一番大きな原因となっていたのです。ホルモンバランスは自律神経がコントロールしているので、ヨガをして自律神経が乱れにくい体を作ることが、月経困難症を改善するために大切だと考えています」
そこで今回は、Asakoさんが実際に月経困難症を解消するために行った行動を教えてもらった。
①アーサナ(ヨガのポーズ)
アーサナで期待できる効果は自律神経のバランスを整えること、血流促進と体温上昇、呼吸の安定、姿勢の改善、マインドフルネスへのアプローチなど、さまざま。
「人間の神経には、体性神経と自律神経の2種類があります。体性神経は自分でコントロールができる神経で、自律神経は自分の意思でコントロールすることができません。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、交感神経はアクティブに動くための神経、副交感神経はリラックスするとき(寝るときなど)に優位になる神経です。現代人はとても乱れがちですが、この体に走っている2つの神経のバランスを整えることが、生活をよりよくしてくれるのです。
自律神経は、体のさまざまな部位に走っています。たとえば、頚椎と骨盤まわりに副交感神経が多く走っていますし、胸椎と腰椎には交感神経が通っています。この自律神経が通っている部分をアーサナで刺激し、自律神経を整えていくのです。私はアーサナで自律神経が整ったことによって、ホルモンバランスが整い、生理痛はもちろん、イライラすることもなくなりました」
さらに、ヨガを始めてから平熱が1℃上がったとAsakoさんは話す。
「私の平熱は35.5℃くらいだったのですが、現在は36.5℃くらい。それは、ヨガで筋力が上がり、基礎代謝が上がる=体温上昇というサイクルができたからです。体温が上がることによって冷え性が改善しますし、内蔵機能が上がるので、生理時の痛みも軽減されました」
また、呼吸をうまく使うことも、自律神経を整えることにつながるという。
「呼吸を意識的にすることで、自律神経をコントロールすることができます。たとえば、腹式呼吸をすると副交感神経を優位にし、深呼吸は交感神経を優位にしてくれます。呼吸を使って、心的・体的ストレスをコントロールできるのです。それによってストレスから開放され、生理による障害からも開放されました」
②温活
体を冷やすと、血流が悪くなります。血流が悪くなることで循環不全や免疫不全となり、あらゆる臓器の代謝が悪くなる。だからこそ、温活をして体を温めることが大切だとAsakoさんは話す。
紙ナプキンから布ナプキンへの変更
「布ナプキンを使用していると、接地部分が温かい状態になります。布ナプキンは血がついてもすぐに乾いてしまうから、冷たくないんですよね。紙ナプキンを使用しているときよりも、お腹がずっとあったかく感じるんです。子宮が冷えなくなったことで血流の滞りが軽減され、生理中の痛みが減りました」
添加物が入っている食品はできるだけ避ける
「忙しいとコンビニ食になりがち。しかし、コンビニ食は添加物がたくさん入っています。合成着色料などの添加物は、体を冷やす原因になります。たしかに日本での生活で添加物をすべて排除することはむずかしいと思います。しかし、できるだけ手作りのものを食べることが、体にとってはいいと考えます。人間は食べたものでできています。自分を作っているもの=食べ物にしっかり意識を向けることが大切です。私の場合、できるだけ外食を控えて自炊に変えたことで、体温が上がりました。また、以前は偏頭痛がひどかったのですが、症状がなくなり、偏頭痛によるストレスもなくなりました」
さらに、冷たい飲み物を避け、朝は白湯で体を温めるようにしたというAsakoさん。体温アップのためには、できるだけ冷たいものは避けよう。
定期的にファスティングをする
「2カ月に1度、7日間必ずファスティングをしています。ファスティングをして感じるのは、胃腸などの内蔵の調子がよくなること。体のなかに蓄積しているものを浄化してあげることで、内蔵機能が向上。結果、自律神経も整います」
③マインドフルネス
自律神経を整えるために、ヨガの哲学を学ぶことや瞑想もとても有効。他人との比較などをすることがなくなり、ストレスが軽減されたという。
ヨガ哲学から学ぶ
「ヨガ哲学を学ぶことで、さまざまなマインドの変化がありました。まず、ヤマ(避けるべきこと、やめるべきこと)の5つの教えの一つに、アヒムサーというものがあります。これは、非暴力(自分に対しても、他人やモノに対しても)という意味。心の暴力や無理をすること、休みたいと思っているのに無理に働くことなど、自分を傷つける行為をしないようにしましょう、という教えです。
また、ニヤマ(追求すべきこと)の5つの教えのなかに、タパス(修練)があります。タパスはアヒムサーの反対の意味で、受け入れて達観することを指します。自分ができる精一杯のことをしよう、努力しようという言葉です。
このアヒムサーとタパスのバランスがとても大切。やりすぎてもだめ、怠けすぎてもだめ。無理をしない、だが、ラクをしない。自分の心地よいラインを知ること、そのために今日の自分を知ることが必要なのです。自分の捉え方を変えることで、結果的にPMSや腹痛などが軽減されていきます。
さらに、ニヤマのなかにサントーシャ(足るを知る。今あるものに満足する)という言葉もあります。私は、人に褒められても自分は満足しない性格でした。それで自分をとても傷つけてしまい、結果的に他人に迷惑をかけていました。サントーシャが、今あることに感謝すること、事実をしっかり受け止めて、切り替えることを教えてくれます。そのことによって気持ちも体もラクになりました」
マインドフルネス瞑想
「私は毎朝瞑想を10分程度行っています。瞑想は五感の感度を高めてくれます。目を閉じて呼吸や朝日の暖かさ、聞こえてくる風の音などを素直に感じることで、『今日も呼吸することができて幸せだ』と心から思えるようになります。呼吸に感謝ができるようになると、『他人は他人、自分は自分』と思えるようになる、無用なストレスを溜めて夜も寝られない、ということがなくなりました」
月経困難症の改善のため、自分のできることから始めてみよう
「現在は生理痛はほとんど感じず、生理中のイライラなどもありません。自分が生理で本当に苦労したので、少しでも多くの人が救われてほしいと思っています」
月経困難症で悩んでいる、という人は、ぜひ今回紹介したことをトライしてみて。
1993年7月1日生まれ。元チアリーディング競技者。 マシーントレーニングやランニングを日課にするなど、体を動かすことが元来大好き。国際基督教大学(ICU)卒業後、株式会社リクルートに就職。 営業として多くの経営者と向き合い、人と人をつなぐ仕事の楽しさを知る。出張が多く忙しい毎日の中で、心身のメンテナンスのためにヨガを始める。 ヨガを通して体と心が強くしなやかに、そしてより生きやすくなったと実感し、それを人に伝えたいと思いインストラクターになることを決意。 レッスンでは、「自分の体と心に向き合い、大切にすること」を伝えている。 趣味は海外旅行と韓国ドラマ鑑賞。
Instagram : @asakostyle
美容・ダイエットを中心とした記事を担当。自他共に認める美容マニアで、ハマり症。その気質から、自分が挑戦する取材企画には必ず結果へのコミットにこだわる。男性ライフスタイル誌、女性向けアプリメディアなどを経て、2021年までウィメンズヘルス編集部に在籍。