子宮の持ち主ならば、生理痛を知らない人なんていない。
でも、なぜそれが起きるのかを理解するには、子宮を巨大な筋肉に例えて考えるとわかりやすい（実際にそう）。そして生理期間中は、激しいワークアウトをするようなもの。
「子宮内膜は生理周期に合わせて厚くなり、子宮は生理中の出血を制御する手段として痛みを起こします」と説明するのは、ニュージャージー州サミットメディカルグループの女性と子どものサービスラインで主任を務めるクリスティン・マスターソン博士。「経血量や血の塊が多くみられる場合にも、子宮がそれらを排出するために痛みを引き起こすことがあります」
生理痛はとても厄介だけれど、マスターソン博士いわく、日常生活に支障をきたす場合を除いては大した問題ではない。
それならば、通常の生理痛とより深刻な生理痛を区別する方法は？ 残念ながら、それはかなり主観的。マスターソン博士が言うように、痛みに対する耐性の高さは人によって異なるため、“深刻な”痛みの度合いを示す正確な数字というものは存在しない。でも、学校や仕事にも行けず寝たきりで過ごしていたり、市販の鎮痛薬を飲んでも痛みが緩和しない、あるいは以下の6つのリストのいずれかに該当する場合は、できるだけ早く医師の診察を受ける必要があるという。アメリカ版ウィメンズヘルスからみていこう。
生理痛がひどく、経血量が多いなら…...
子宮筋腫の可能性がある。マスターソン博士によれば、子宮壁にできるこのような良性の腫瘍は珍しくないけれど、子宮内膜の表面積が広くなるため、生理痛や経血量が非常に多くなる。
対処法：家族間に子宮筋腫を経験した人がいる場合はとくに、医師に相談することが大切（マスターソン博士いわく、子宮筋腫は遺伝的要素が関係している可能性がある）。一般的には、超音波検査を受けて異常な腫瘍がないかどうかを確認し、生理時の痛みを最小限に抑えるための低用量経口避妊薬が処方される。アメリカの国立小児保健・人間発達研究所（NICHD）によると、子宮筋腫の大きさや位置によっては手術の対象となる場合もある。
鈍い痛みが続くなら......
骨盤炎症性疾患（PID）の可能性がある。「骨盤炎症性疾患では、生理周期以外にも継続的な痛みとおりものが出る特徴があります」とマスターソン博士。これは、子宮、卵巣、または卵管の深刻な感染症であり、多くの場合はクラミジアや淋病など、未治療の性感染症によって引き起こるもの。
対処法：マスターソン博士いわく、細菌や感染症を確認するには培養検査を受ける必要があるため、医師に診てもらう必要がある。骨盤炎症性疾患は抗生物質で完全に治療することが可能である一方、長期間放置してしまうと生殖管に瘢痕組織が形成され、妊娠能力に影響を与える恐れがあるため注意が必要。
片側に鋭い痛みがあるなら......
卵巣捻転、または卵巣嚢胞の破裂が原因の可能性がある。卵巣捻転の場合は、何らかの要因によって卵巣が捻れ、血流が遮断される。一方で、比較的よくみられる卵巣嚢胞は、破裂を起こさない限り問題はないそう。マスターソン博士いわく、どちらの状態も重篤なもので、「真っ直ぐに立っていられないほど鋭く刺すような痛み」が起こり、吐き気や嘔吐を伴うこともある。
対処法：ひどい痛みがある場合は直ちに救急外来を受診して検査を行い、痛みの原因が卵巣嚢胞の破裂や卵巣捻転でないかどうかを確認する必要がある。ジョンズ・ホプキンス医科大学によれば、破裂した嚢胞の治療法は軽度の処置から手術までさまざまだけれど、卵巣捻転の場合はほとんどが手術を受ける必要があり、問題を対処するか、修復不可能な場合は卵巣を摘出することになる。
痛み止めが効かない生理痛があるなら......
子宮内膜症の可能性がある。これは、子宮組織が卵巣や卵管など他の臓器で発生し発育する疾患のこと。アメリカ産科婦人科学会（ACOG）によると、子宮内膜症は10人に1人の女性に影響を与えるとされているが、ひどい痛みを“通常”の生理症状の一部として軽視してしまう女性が多いそう（市販の鎮痛剤で和らげることができない痛みは、別の問題の兆候として考える必要があるとマスターソン博士は指摘している）
対処法：生理痛の程度や生理が来た日、経血量などを細かに記録して、それを医師に提出できれば理想的。「普段の生理について得られる情報が多いほど有力です」とマスターソン博士。とはいえ、症状がつらくて仕方がない場合は、記録を付け終わるのを待たずにすぐに診察を受けること。マスターソン博士いわく、通常よりも長引く生理期間や耐え難い痛みを軽減できるホルモン療法が効果的かもしれない。
子宮内避妊器具（IUD）を挿入後に生理痛が重くなったなら......
IUDがズレているかもしれない。挿入後の軽度な痛みはよくあるけれど、激しい痛みや数日以上続く痛みがある場合は、IUDの位置に問題があることを示している可能性がある。
「子宮内になにかを挿入する際は、それがきちんと収まっていなかったり、位置がズレたり排出されることがあります」マスターソン博士。
対処法：まずは診察を予約し、内診を受けること。医師はIUDの糸が子宮口から見えるか確認するために内診し、見えない場合はおそらく超音波検査を行う。「子宮内避妊器具が適切な位置にあるかどうか、ズレたり移動していないかを確認するためです」とマスターソン博士。
生理中でもないのに痛みがあるなら......
子宮外妊娠か流産の可能性がある。米国妊娠協会によると、子宮外妊娠は、受精卵が卵管など子宮以外の場所に付着することで起こり、50人に1人の割合で発生する。
残念ながら、この受精卵は発育することができず、付着した組織が重い出血を引き起こす可能性がある。子宮外妊娠と流産（ある研究によると、全体の妊娠の10〜25％が流産している）もどちらも異常な量の出血と痛みを引き起こすことがあり、ここで重要な手がかりとなるのは、マスターソン博士いわく、それが生理予定日に関連しているかどうか。生理周期とは異なる時期にこのような出血や痛みが発生した場合は、これらの疑いが考えられる。
対処法：妊娠の可能性がある場合は、まずは妊娠検査薬を使うようにマスターソン博士は勧めている。陰性であれば、妊娠関連の原因を除外できる。陽性であれば、子宮外妊娠は正常に発達することができず、生命を脅かす緊急事態に発展する恐れもあるため、直ちに医師の診察を受けること。
この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: SARAH BRADLEY Translation : Yukie Kawabata
