記事に移動

PMSと生理痛の知っておくべき最新・基礎知識を専門ドクター・高尾美穂さんが解説!

痛みを和らげる市販薬の選び方や気になる低用量ピル、漢方などの情報も!

By and
pms female abdominal pain, menstrual syndrome and change behavior woman health, emotion and feelings vector premenstrual symptom concept illustration menstruation female pain, menstrual abdominal
MicrovOne//Getty Images

多くの女性が悩まされているのが、ひどい生理痛やPMS(月経前症候群)。“生理休暇”も広まり、社会的にも支援するムードがあるけれど、ひとりひとりが基本的な知識をきちんともって、正しく対処することが大切。そこで生理痛とPMSの違いから、低用量ピルの利用法、頭痛などの痛みを和らげる市販薬やサプリの選び方まで…日々、たくさんの女性を診療しながら、メディアでも活躍中の産婦人科医、高尾美穂先生に素朴な疑問をAsk!
Text:YOSHIE ODA

INDEX

  1. そもそも生理痛とPMSの違いとは?
  2. 生理痛の期間と主な症状は?
  3. PMSの期間と主な症状は?
  4. 生理痛とPMSの対処法~市販の鎮痛薬、低用量ピル、プロゲスチン製剤
  5. 【知恵袋1】市販薬は飲み続けると効かなくなる?
  6. 【知恵袋2】PMSには漢方薬という選択も
  7. 5つのおすすめ習慣
  8. 産婦人科医・高尾美穂先生のプロフィール
1

そもそも生理痛とPMSの違いとは?

young annoyed female character, sceptical face expression
nadia_bormotova//Getty Images

PMS(月経前症候群)は生理の3〜10日前にだ感じる不調です。生理がくると症状がなくなるのに対し、生理痛月経の出血が続いている約3〜7日の期間内に感じられる痛みの総称。

2

生理痛の期間と主な症状は?

painful female periods concept vector flat character illustration woman standing and suffering menstrual abdominal pain isolated on pink background design for health care
Anastasia Usenko//Getty Images

2~3日程度、生理痛を重く感じる方が多いです。下腹部や腰の痛みの他、胃が痛い、気持ちが悪くなって吐いてしまうなどの症状があり、メンタル面では痛みのために気持ちが上がらない、集中力が低下するといった症状も。

また、婦人科で検査をして異常がなくても、仕事をするのが辛い、痛みで起きられないなど本人の社会生活に支障が出ている場合は“月経困難症”と診断されるので、きちんと対策する意識を持つことが大切です。

3

PMSの期間と主な症状は?

women squeezing and removing acne
Ada daSilva//Getty Images

生理前の3〜10日間に起こる鬱っぽくなる、イライラする、情緒不安定、集中力の低下といったメンタルの不調の他、お腹が張る、お腹が痛い、頭が痛い、肌荒れといった身体的不調をPMSと呼びます。

特に何かしらの検査で異常を指摘できるわけではなく、生理周期や排卵が正常だからこそ起こる不調と言えます。

生理が来るとPMS自体は改善するという特徴があるため、ずっと鬱っぽさが続く場合は婦人科以外の診断が必要な場合も。

また、生理が来てPMS自体は改善しても月経困難症のために引き続き不調を感じるという人もいます。いずれにしても、本人が困っていて対策すべき課題と自覚することが、改善への第一歩となります。

ADの後に記事が続きます
4

生理痛とPMSの対処法~その1 市販の鎮痛薬

a set of drugs in the form of pills, drops, capsules
nadia_bormotova//Getty Images

生理痛はもちろん、PMSの頭痛やお腹が張った痛みにも味方になるのが市販されている鎮痛薬。

病院で処方される処方薬は、基本的にひとつの薬剤にひとつの有効成分しか含まれません。一方、処方箋なしでも買える市販薬の多くはさまざまな成分がブレンドされています。

例えば病院で処方される鎮痛薬のロキソニンの成分は、ロキソプロフェンナトリウムのみ。市販薬のロキソニンSもロキソプロフェンナトリウムのみの単一成分ですが、シリーズとしてそこに生理痛のメカニズムに沿った成分を加えたものや、頭痛に効く成分を加えたもの、胃を守る成分を加えたものなど、各症状に特化したバリエーションが展開されています。

他の鎮痛薬も同様に、メインの鎮痛成分にプラスして目的別の有効成分が組み込まれ、その効果が細分化されているため、市販薬を選ぶときはしっかり裏面の成分をチェックし、自分の症状の緩和にあったものを選ぶことが大切です。

また特に、仕事や車の運転を予定しているのであれば、眠くなる成分が入っていないかチェックを。

5

【知恵袋1】市販薬は飲み続けると効かなくなる?

vector of a young woman taking her pills with glass of water
Feodora Chiosea//Getty Images

答えはNoです。市販の鎮痛薬は繰り返し使っても耐性ができるわけではないので“薬に慣れて効き目が弱くなる”といったことはありません。ただし、ひと月に10〜15日以上、継続して飲むと薬剤性の頭痛が起こる場合もあるので要注意。

痛み止めが効きにくいと感じるときは、飲むタイミングが遅かった可能性があります。生理痛のための鎮痛薬は、子宮を収縮させて痛みを引き起こすプロスタグランジンが作られる過程をブロックするタイプが主流なので、痛みを感じたら我慢せずに早めに飲むのがおすすめです。

6

【知恵袋2】PMSには漢方薬という選択も

piles of herbs, spices and seasonings on a wooden surface, with scoops
Catherine Falls Commercial//Getty Images

PMSのむくみやイライラの場合、選択肢のひとつとなるのが漢方薬です。婦人科を受診する人のうち7割弱の方が漢方薬を希望するというデータも。くみには五苓散、メンタルケアには加味逍遥散、イライラなどには抑肝散、などが有名です。

PMSの症状が強い人は更年期にも不調を感じやすいというデータがあるので、自分に合う漢方に出合っておくことで将来の更年期の不調対策にも役に立ちます。

ADの後に記事が続きます
7

生理痛とPMSの対処法~その2 低用量ピル

happy young woman sits on a pack of hormonal contraceptives birth control pills the concept of mental and reproductive health of a woman cartoon vector illustration isolated on white background
Natalya Perevoshchikova//Getty Images

月経困難症、PMSの不調、両方に効果があるのが婦人科で処方される低用量ピルです。女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを微量に投与することで排卵を抑え、子宮内膜が厚く形成されるのを防ぎます。

これにより出血量痛みのもとであるプロスタグランジンの産生が減るため、さまざまな不調が軽減します。また、本来の生理周期のようにホルモンバランスの大きな変動がなくなり、いわゆる“生理前”の時期がなくなるので、PMSの症状も緩和されます。

このように女性のQOL向上に大きなメリットがある低用量ピルですが、血栓症や乳がんのりスクが高まるという一面があるので、定期的な検査をおすすめします。

また、むくみや胃の不快感などのマイナートラブルは、多くの場合使い始めてから3カ月ほどで緩和されます。

8

生理痛とPMSの対処法~その3 プロゲスチン製剤

female hand holding birth control pills on pink background
CreativeDesignArt//Getty Images

ピルが合わないという場合、エストロゲンを含まないプロゲスチン製剤という選択肢もあります。こちらは生理という時期自体がなくなるため、生理痛で悩む方の選択肢となります。

ピルに比べて血栓症のリスクが少ないというメリットがありますが、人によってはときどき少量の不正出血が起こることがある点が、懸念事項です。

9

おすすめ習慣~その1 不調を記録する

teenage girl writing diary or journal happy young woman reading book and taking notes with pencil vector illustration for journal, author, student, teenager in love concept
BRO Vector//Getty Images

生理痛やPMSがどんなに辛くても「みんなも辛いから…」「この時期が過ぎればおさまるから…」と我慢して、思考停止してしまう人も多いようです。ですが、生理に関してはそもそもひと月に7日間近く出血が続くこと自体、心身や生活に大きな負担がかかることと意識してください。

また、PMSで生理前の不調によってつい不機嫌になってしまうと、周りの人にも影響を及ぼしてしまう可能性もあります。

まずは自分の状態を客観的に把握するためにも、アプリなどを活用して生理周期やそれに伴う心身の変化の記録を習慣に。これらの記録は婦人科を受診したとき、症状を説明するためにも役に立ちます。

ADの後に記事が続きます
10

おすすめ習慣~その2 定期的に検査を受ける

gynecology and women health consultation with a gynecologist or reproductologist
Liliia Kyrylenko//Getty Images

生理の悩みを「1ちょっと困っている」「2けっこう困っている」「3まあまあ困っている」「4すごく困っている」の4段階に分けた場合、「4すごく困っている」と答えた人でも、婦人科を受診しているのは35%ほど。ですが、例えばPMSと生理痛を合わせてひと月に5日近くも不調を感じる…という生活はとてももったいない! 

また、生理痛が重いという人は20代から30代の若い年代が最も多く、年齢が上がるにつれて割合が下がっていきます。さらに生理痛が重い人は、生理痛で困っていない人に比べて子宮内膜症を発症するリスクが2.6倍高いという統計も。

婦人科に通うことは、病気の予防や早期発見につながるという予防医学的側面もあるので、ぜひ受診をおすすめします。

ちなみに、会社の健康診断では子宮頸がんの検査のみでエコー検査をしていない場合が多いので、生理やPMSで困っている方はぜひ、婦人科でのエコー検診をおすすめします。1年に1回を目安に、医師とスケジュールを相談して。

11

おすすめ習慣~その3 塩分や刺激物を控える

shadow of woman with martini at wall
Malte Mueller//Getty Images

PMSのむくみはメンタルの不調にも影響するという報告もあります。特に生理前は塩分の多い食事を控え、むくみ防止を意識しましょう。加えて、アルコールやカフェインといった刺激物も控えることをおすすめします。

12

おすすめ習慣~その4 サプリメントを摂る

female health care vector illustration with woman taking pill
Olga Strelnikova//Getty Images

また、食生活のサポートとして、生理の周期に着目したサプリメントを活用する方法も。大塚製薬のトコエルは、生理前7日間飲むのが特徴で、ビタミンEの一種であるγ-トコフェロール、γ-トコトリエールやエクオール、カルシウムが配合されています。

ADの後に記事が続きます
13

おすすめ習慣~その5 しっかり眠り運動も

happy woman sleeping well on bed vector illustration
panchanok premsrirut//Getty Images

生活面では、睡眠をしっかりとることや適度な運動習慣を身につけることが大切。他にも、身体を温めるケアなど自分自身が心地よく感じられて、デメリットがない習慣を取り入れるのもよいでしょう。

14

お話を伺ったのは高尾美穂先生

産婦人科医 高尾美穂先生

たかお・みほ●産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター、ヨガ講師。イーク表参道副院長。テレビやSNSなどさまざまな媒体でのわかりやすい解説に定評がある。著書多数で、近著は『オトナ女子をラクにする心とからだの本』ほか。

From: Harper's BAZAAR JP
Headshot of Rie Minato
Rie Minato
News Desk Editor

美容エディター歴20年以上。デパートコスメを中心にコスメの動向をチェックするほか、セレブやロイヤルのヘアメイク、ウェルネス、フェムケア記事などを担当。プロのヘアメイクやドクター、専門家などとのネットワークを生かし、現在はコンテンツハブ部にて社内のDIGITAL媒体の記事づくりに励むほか、『25ans』本誌にてビューティチーフを務める。 

Headshot of Mayu Nakanishi
Mayu Nakanishi
News Desk Editor

大学在学中にインターン生としてニュースデスクのメンバーになる。現在は同部署でセレブやファッション、ライフスタイル、グルメなどの記事を担当。幼少期をアメリカで過ごし、大学時代はロンドンへ留学。留学中は映像を専攻し、ポロのクラブに所属。食べることが大好きで、趣味は旅行、読書、映画・ドラマ鑑賞、茶道など。 

生理

sad woman looking out of the window

PMSとなにが違う? 20人に1人が影響を受ける「月経前不快気分障害(PMDD)」

a woman sitting in a bathtub with a cat on her lap

モデル・アレクサ流。PMSを和らげる4つの方法

menstruation cycle woman hand holding smartphone with menstruation cycle calendar floral tablet in hands flat cartoon vector illustration isolated on white background

1週間続かなくてもいいの? 早く快適に生理を終わらせる方法

unrecognizable young woman, wearing a pink pajama, holding her birth control pills while standing in the bathroom

ピルを飲むのをやめる女性が急増中! 一体なぜ?

ADの後に記事が続きます
ADの後に記事が続きます