排卵の兆候を知るのは女性として大切なこと。排卵とは、月経周期の中で、卵巣から放出された卵子が卵管を通って子宮に到達し、受精するか、あるいは生理として排出されるかが決まるまでの期間を指す。

その理由はいくつかあるけれど、単純に、自分の体がいつなにをしているのかを知っておくことは利益でしかない。女性は排卵期になると、カンジダ感染症や性感染症にもっとも感染しやすいことをスペインとオーストリアの研究者が発見している。なぜなら、女性の体はこの時期に自然と体の免疫機能を下げるから。これにより、精子の生存期間を高められるのだという。妊娠を望んでいるならなおさら、妊娠しやすい期間を把握することは必須になる。

幸いにも、自分の排卵予定日や兆候を知るのはとてもカンタン。その方法がこちら。

排卵の兆候:排卵日の見極め方(28日周期)

1〜7日目

月経:体が血液や子宮内膜組織、受精しなかった卵子を体外へ排出する期間。卵巣の卵胞が成熟し始めるにつれて、エストロゲンの濃度が上昇する。

8〜13日目

受精卵が着床した場合に備えて、子宮内膜が厚くなる。

14日目

卵巣の卵胞から卵子が放出される。これが「排卵」と呼ばれるもの。

15日目〜28日目

受精した卵子は厚くなった子宮内膜にもぐり込み、受精しなかった場合は子宮内膜が剥がれ落ちて出血が起こり、再び月経サイクルが始まる。

排卵を知らせる7つのサイン

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とはいえ、28日間の規則的な周期がない場合は? 排卵が散発的である場合は? 専門家いわく、排卵のかすかな兆候はたくさんある。では、中でもわかりやすい7つのサインを学んでいこう。

1.  子宮頸部が硬くなる

子宮頸部(清潔な中指を第二関節まで入れた辺りの膣の上部に位置している)は、通常は硬くて滑らかで、鼻の先のような感触をしているが、排卵直前になると唇のような感触になるまで柔らかくなる。

また、排卵期になると子宮頸部の位置が2〜3cmほど上がるので、膣の中が広く感じることもあるかもしれない。触って確認してみて。

2.  おりものの見た目がいつもと違う

陰部になにも問題がないことを前提とした場合、おりものは排卵を知らせるもっとも確実なサインの1つ。

清潔な人差し指を膣に入れておりものの状態を見てみるといい。「おりものの主な目的は、精子が泳いで卵管にたどり着きやすくするためです」 と説明するのは、不妊治療クリニックのギータ・ヴェンカット博士。

「子宮頸部は、精子の大きな濾過器や障害物のようなものとして機能するため、強くて運動速度が速い精子だけが通過できます。ですが、すべてのおりものが精子を運ぶのに適しているわけではありません。月経サイクルのどの時期にいるかによって異なります」

妊娠を希望しているなら? 「生卵の白身のようなヌルヌルして粘り気のあるおりものが出ているときが、もっとも妊娠しやすい排卵時期です」とヴェンカット博士。「精子は体内で3日ほど生存できるので、排卵が起きる前に精子が待機できている状態が好ましいです」

おりものを見た限り、排卵期じゃなさそう? だからといって、無防備なセックスをする言い訳にならない。研究によると、月経周期の9日目頃から、精子は白く濁ったおりものでも泳ぐことができるとわかっている。

「一度排卵が起こるとおりものは濃くなって固まるので、精子を運ぶうえで役に立たなくなります。でも役に立つ必要はありません。受精させる卵(卵の寿命は約12〜14時間)がなければ意味がないのですから。今回は機会を逃したということです」とヴェンカット博士。

生理の12日前に妊娠する可能性はある? はっきり言って可能性はかなり低い。でも、妊娠することが今のあなたの最優先事項でないのなら、本当にそのリスクを負う覚悟ができているのか考えてみて。

3.  体温が下がる

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Jena Ardell//Getty Images

基礎体温の変化も排卵の明確な兆候の一つ。「排卵前は、体温が下がります」とヴェンカット博士。

「とは言え、1度未満の低下です。通常の体温が37.2度であれば、36.8度くらいまで下がるはずです。非常に僅かな変化です」

基礎体温を定期的にチェックしていきたいなら、起床時、毎朝同じ時間に体温を測って記録をつけるようにしよう。

4.  多少の不快感を感じる

体の状態に敏感なほうだと思う? それなら、実際に排卵の感覚を得られるかどうか実験してみて。

「排卵中は卵胞が破裂し、液体と卵が骨盤腔に放出されます」とヴェンカット博士。「骨盤腔は腹膜に覆われた非常に感度の高い膜で覆われているため、これになにかが触れると、痛みを感じることがあります」

5.  出血がある

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Carol Yepes//Getty Images

「排卵期になると、少量の血液が混じったおりものや、ちょっとした出血がみられることがあります」とヴェンカット博士。これに関しては、心配する必要はないそう。

6.  声が高くなる

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者たちは、排卵期に近づくほど女性の声が高くなることを発見している。進化の観点から、男性は女性らしい高い声に惹かれる傾向にあり、それに女性が本能的に応えようとしているためだと考えられているそう。

7.  不安を感じる

カナダのコンコルディア大学によると、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という女性ホルモンは、涙もろさだけでなく、サイクル毎の記憶力にも影響を与える。

職場でプレゼンを任されたなら? 排卵期になると、言語の記憶を必要とする作業がうまくなるとか。

それでも、排卵しているかわからない場合は?

排卵検査薬を使ってみよう。

尿中のホルモン濃度を測定してくれるので、おりものを観察したり、子宮口を指で触ってみたりするよりも正確に排卵期を特定することができる。

この検査薬は、下垂体から分泌され排卵を起こす黄体化ホルモン(LH)と、排卵期に精子が泳ぎやすいおりものにするために分泌されるエストロン-3-グルクロン酸(E3G)の濃度を測定して判定されるもの。

研究によると、ほとんどの女性が妊娠しやすい日は毎月約6日間しかないそう。具体的には、排卵の5日前から排卵当日まで。つまり、LH濃度が急上昇する排卵日の24-36時間前にセックスをするのがもっとも妊娠につながりやすい。
 
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text:  EMMA PRITCHARD Translation : Yukie Kawabata

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Emma Pritchard
Contributing Health Editor
Emma interviews the world’s leading sportswomen, top health experts, and women who have turned their lives around through fitness – women like you. You'll often find her scoping out an inspiring story and training to teach Pilates – sometimes at the same time; who doesn’t love a challenge?
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短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。