生理中は、お通じが控えめに言ってもひどい人は手を挙げて。便が硬すぎて痛かったり、逆に軟らかすぎたりして困らない? 昔から生理中は下痢や便秘になりやすいと言われるけれど、この噂には科学的な裏付けがある。一例として消化器病学誌『Gut』に掲載された研究結果は、英国人口の20%が一度は経験し、3分の2は女性と言われる過敏性腸症候群の症状が生理前に悪化して、消化器系疾患がない女性も生理前は軟便になることを示している。

生理中の消化器内では一体何が起きているのか。そして、生理が胃腸に与える影響を和らげる方法はあるのだろうか。イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

生理が近づくと便秘になる理由

生理前は、あなたが妊娠して胎児を育てる必要が出た場合に備えて、子宮内膜が厚くなる。

子宮内膜が厚くなると子宮が実質上大きくなって、その近くにある結腸を圧迫するため、おなかのハリや便秘、腹部全体の不快感が生じることもある。


逆に下痢っぽくなる理由

生理中や生理前の数日間は下痢になりがち。胃腸科クリニックThe Gut Health Clinicの創業者で英キングス・カレッジ・ロンドンの特別研究員および公認管理栄養士のメーガン・ロッシ博士によると、これはホルモンバランスが変化するから。

「生理中はプロゲステロンが減少し、プロスタグランジンが増加します」。プロスタグランジンは、子宮内膜が剥がれ落ちるように、子宮内の血管と筋層を収縮させる脂質の集まり。

「その結果、食べ物が処理されるスピードや腸が脂質を吸収するスピードが変わると、お通じにも変化が現れ、下痢になることがあります」

ホルモンバランスの変化が原因で起こること

ここ数年は脳と腸のつながりが注目を浴びているけれど、ホルモンバランスの乱れによって下痢になるのも、そのつながりのせい。

「ホルモンバランスの変化は、脳で作られる感情にも影響を及ぼします」とロッシ博士。そして「その感情が迷走神経を通って腸に伝わり、腸の動きや感受性に影響を与えることがあるのです」。それで腸の動きが悪くなり、感受性が高くなる(敏感になる)と、便が軟らかく/外に出やすくなってしまう。

ホルモンバランスの変化によって、おならが増えることもある。また、ホルモンバランスの乱れに伴い腸内細菌のバランスが乱れれば、当然おならの質も変わって大抵は臭くなる。

生理中の下痢や便秘を防ぐには?

残念ながら、この問題を防ぐためにできることは限られている。

「これはもう仕方のないことですね」とロッシ博士。「でも、症状がひどいときは食生活を変えてみましょう」

・カフェインとアルコールの摂取量を制限する(例:フラットホワイトは1日1杯まで、お酒は週2~3杯まで)

・激辛の食べ物を避ける

・高脂質の料理を食べない(チーズばかりの料理など)

・ちゃんとした食事を数回に分けてとる。夜ご飯だけガッツリ食べて、あとはスナックで済ませるのはNG。

この戦略を取り入れて一度様子を見てほしい。とはいえ、これもまた生物学的な理由から女性の人生が必要以上に難しくなるケースの1つ。辛いけど、自分の体の声に耳を傾けて上手に付き合っていこう。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Editor of Women's Health Translation: Ai Igamoto

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伊賀本 藍
翻訳者

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。