一生のうち、多くの女性が経験する「出産」。 ひとくちに出産といっても、難産な人もいれば、「あっという間に生まれてしまった」という人もいる。ではその違いはなぜ生まれるの? 「女性の生理や出産には、骨盤の開き方が大いに関係します」と話すのは、自力整体ナビゲーターの矢上真理恵さん。そこで今回は骨盤の開き方と生理・出産の関係、改善方法などを伺った。

骨盤の開閉が「左右対称ではない」と起こる問題

anterior view showing the bones and ligaments of the pelvis
MedicalRF.com//Getty Images

矢上予防医学研究所では生理痛の人や妊婦さんへの指導を通して 、そういった方々の骨格をたくさん観察してきました。そこでわかったことが、「骨盤の開き方が左右対称でない人は、生理痛が重く、難産で、出産後も不調を起こしやすい」ということです。

では、骨盤の開閉とはなにかご説明します。お尻には仙骨と腸骨がありますが、その2つの骨をつないでいる関節のことを仙腸関節と呼んでいます。この仙腸関節は、生理が来るたびに開きます。左右に開閉しますが、左右同時には開きません。

まず、自分から見て右の仙腸関節が、生理前に開きます。この右の仙腸関節が開きにくい人は、生理が始まる前に、PMSを引き起こします。右の仙腸関節が開ききると左が開き始めます。このときに左の仙腸関節が開きにくい人は、生理痛になりやすいです。

骨盤の開きがスムーズでないことが、PMS、生理痛、月経不順などを引き起こすのです。

自力整体
Marie Yagami

この仙腸関節の開閉が日頃からスムーズではない人は、難産の傾向があります。たとえば、左右対称の開閉が2:8で出産する人がいます。この場合は難産になるうえ、出産後も歪みが出て、不調になる人が多いです。一方で、5:5の開閉(左右対称)で出産した人は、比較的スムーズに出産ができ、出産後も体調が良い人が多いのです。

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この骨盤の歪みは、全身に影響します。たとえば、ヒザや腰の痛み、目が悪くなるなど、さまざまな不調を引き起こします。左右対称に整えてあげることで、多くの不調を改善することができるのです。

骨盤の左右対称チェック法

人間は2本脚で立っています。この2本脚に均等に体重がかかっていないと、左右対称とはいえません。では、そのチェック方法をお伝えします。

チェック方法①体重計を使う

①体重計を2つ用意し、横に並べる

②片足ずつ体重計に乗る

このとき、どちらの体重計にも同じ数値が出れば、左右対称です。

チェック方法②開脚

①開脚をする

②左手で右足を掴む

③右手で左の脚を掴む

左右の掴みづらさなどを感じたら、左右対称ではない可能性が。しかし、骨盤の歪みは治すことができます。今回は骨盤の歪みを治すメソッドをご紹介します。

自力整体
Hiroshi Takami

①うつぶせになり、ヒザを軽く開いて、両足を左右にゆすり、ももの付け根をほぐす

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②左足を曲げて脇に近づけ、右足の足首を内側から掴んで外側に開いてゆする。右側の股関節と仙腸関節をゆるめよう

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③右足を離して伸ばしたら、ヒジをつく。左足をそのままにして起き上がり、体を前後にゆする。このとき、右ももの付け根を伸ばしながら、お腹のマッサージも同時に行う

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④仰向けになり、右足の外くるぶしの下を左の太ももにひっかけて、右手で右ももを押してゆする。このとき、大きくゆするのではなく、まず手で限界まで押してからその奥へゆすり、微細な振動を与える

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⑤右ヒザを左ヒザへスライドさせ、両ヒザを重ねる。その後、左足のスネを両手を組んで掴み、左右前後に体をゆらして腰回りの筋肉の緊張をゆるめていく

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⑥開脚をし、坐骨を床に当て、左右にゆすって、股関節の緊張をゆるめる

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⑦左足を内側へ曲げ、左手を右足に持っていく。手と足の距離を測り、反対も同様にして、硬さの違いを確認する

この一連の動作をゆっくりと丁寧に両サイド行ってください。左右の体の硬さの違いを⑥と⑦で確認していきます。やりにくい側を長めに行い、左右差をなくしていきます。

※うつ伏せの動作があるため、妊娠中の場合は無理に行うことは避けてください。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
妊婦の為の安産整体
妊婦の為の安産整体 thumnail
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実際、一度目の出産で難産だった方が自力整体に出会い、骨盤の歪みを解消したところ、二度目の出産では、「2時間で赤ちゃんがスルッと出てきた!」という事例もあります。このメソッドは、週2、3回行っていただければ、効果を感じられるはず。もちろん、毎日行っても大丈夫です。生理痛やPMS、生理不順に悩んでいる方は、ぜひ諦めないでください!

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矢上 真理恵
自力整体ナビゲーター

父である矢上裕が開発した自己治療メソッド自力整体®︎と予防医学を普及する矢上予防医学研究所のディレクター。米国、英国の芸術大学で衣装デザインとパフォーマンスデザインの学士、修士課程を終了後にアート、ダンス、ムーブメントセラピーに興味を持ち英国でRYTヨガ認定資格終了。後に自力整体ワークショップをヨーロッパ各地、カナダやイスラエル等で開催。2019年より日本に完全帰国。

インスタグラム: @marieyagami_move 

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Kaoru Sawa
ウィメンズヘルス・エディター

美容・ダイエットを中心とした記事を担当。自他共に認める美容マニアで、ハマり症。その気質から、自分が挑戦する取材企画には必ず結果へのコミットにこだわる。男性ライフスタイル誌、女性向けアプリメディアなどを経て、2021年までウィメンズヘルス編集部に在籍。