日本は自然災害の発生が多い国です。防災の専門家の方にお話しをお伺いしたところ、災害時のメンタルで生存率が変わるそうです。災害時に慌ててパニックに陥り、とっさの判断が難しくなることがありますが、その一方で東日本大震災で多くの方が犠牲になった理由に、心の防衛反応である「正常性バイアス」が原因の一つだと指摘する専門家もいます。

「正常性バイアス」とは社会心理学や災害心理学の用語で、「まさかこんなことが起こるはずがない」「自分は大丈夫だ」と事態を過小評価し誤った判断で行動してしまうことを意味します。普段正常性バイアスはさまざまなストレスに過剰に反応しないための心を守る機能として働いています。

例えば、4月の入学や転勤、新しい職場など緊張を和らげるために、自分に大丈夫だと言いきかせ心の平穏を保つなどの場面。

しかし災害時や緊急事態などではこの心の防衛反応が「そんなことが起こるわけがない」「逃げなくても大丈夫だ」「まさか自分に」と先入観(バイアス)をかけてしまい、起きている事態を正常な範囲だと誤って認識して、判断を鈍らせてしまうのです。実際に津波の警報を聞いても「ここは堤防があるから大丈夫だ」という正常性バイアスがあったと被災者からお話を聞いたことがあります。

災害大国日本に住む私たちにとって、心を落ち着かせ冷静な判断をする練習をしておくことは自分の命を守り、他者の人命をも救う力になります。どんな時でも落ち着いて適切な行動がとれるように、普段から心の訓練をしておく事が大事です。1日1分から5分程度の瞑想でも心を落ち着かせる練習には充分です。


心を落ち着かせる瞑想(目安:1分〜5分)

1、姿勢良く椅子に座るまたは安楽座で床に座ります

2、目を軽く閉じて呼吸に意識を集中します

3、吐く息を細く長く意識し、呼吸を1〜5分繰り返します

4、ゆっくりと目を開けてしっかり周りを見渡し瞑想を終了して下さい


では災害時の緊急を要する素早い行動が求められている場面では、どうやって心を落ち着かせたらいいのでしょうか。そこで有効なのは、ひといきだけ深呼吸をしてから行動すること。1回の深呼吸でも体の緊張を解くのには有効です。大きく息を吸い込んで、大きく吐いてから行動に移す。落ち着いて全体を見渡してから行動することで、適切な対処や冷静な判断がとれるようになるといいます。

もちろん防災グッズの見直しや、家族との避難手段の確認、家具の固定など基本的な防災準備は常に確認しておきましょう。

そして日頃から心を落ち着かせる練習をしておくことをおすすめします!

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佐々木依里
瞑想家、マインドフルネス指導者、環境活動家、モデル

 瞑想家、マインドフルネス指導者、環境活動家、モデル
11歳から瞑想と環境活動に興味をもち独学やお寺で瞑想を始める。現在は瞑想会の開催やマインドフルネスの指導者として活動。
また環境省森里川海アンバサダーとして環境活動家としてプラスチック問題に取り組む。
心の平和=地球の平和を目指しインスタグラムで精力的に瞑想配信中。
インスタグラム:www.instagram.com/erisasakimeditationjourney/