「プラントベース」の食事ってどうやればいいの?
今からはじめるためのコツ
ヴィーガン、ペスカタリアン、フレキシタリアン、パレオ、フルーイタリアン。食主義や食制限に関するバズワードについていくのはなかなか大変。では、プラントベースとはどのような食事なのだろうか? まず他の概念とは異なり、プラントベースの食事はダイエットでもなければ、一過性の流行でもない。栄養士のウェンディ・バジリアンは「昔からある食事スタイルに新しいラベルをつけただけです」と説明する。これは健康になるためのロードマップといえ、ものすごく厳密なものではなく、柔軟性もあるそう。今回はプラントベースの食事方法についてご紹介。
「プラントベース」という言葉は、1つの食生活を指すのではなく、多くの食生活を表す。栄養士のバジリアンは「ベジタリアンもプラントベースです。プラントベース は基本的にはベジタリアンですが、感謝祭に七面鳥を食べたり、日曜の夕食に母親の作ったポットローストを食べたりするライフスタイルです」と話す。
実際、人気のある健康的なダイエット法の中には、植物性食品を基本としながらも、少量の肉を摂取するものもある。例えば、世界で最も健康的な食事スタイルの1つとされている地中海食では、魚、鶏肉、低脂肪乳製品、そしてたまに赤身の肉を食べる。
「プラントベース」とは?
アメリカの食生活では、お皿の中央に大きな肉の塊があり、その脇に野菜が添えられているのが一般的だった。しかしプラントベースとは、それを逆転させたもの。野菜、果物、豆類、ナッツ類、全粒粉など、大地から育まれた食材が中心となり、牛肉、鶏肉、魚、乳製品などの動物由来の食材はどちらかというと脇役に徹する。カリフォルニア・ウォルナッツのアンバサダーでもあるバジリアンは、0か100か、という話ではないという。
「植物性食品を増やすために、肉を一切食べないと決める必要はありません。プラントベースとは加工食品を減らし、より多くのホールフードを食べることです」と話す。
プラントベースの健康上のメリットとは?
植物性食品を使った食事にすべて同じような効果があるというわけではない。バジリアンは「ポテトチップスや白米、キャロットケーキなどを食べてプラントベースだと言っても、健康や体重にはあまり効果がありません」と指摘する。実際ある大規模な研究では、全粒穀物、果物、野菜を中心とした植物性の食事が心血管疾患のリスクを大幅に低下させる一方で、お菓子やソーダなどの高糖分、高脂肪の加工食品や精製された穀物、ジャガイモなどを含む"植物性"の食事は、逆効果であることが分かった。
しかし、実際に健康に良いことがわかっている植物性食品にこだわれば、次のような効果が期待できる。
- 2型糖尿病の発症リスクが低くなる
- 心臓病のリスクが低くなる
- 癌の発症リスクの低下
- 認知機能の低下を防ぐ
- 妊娠しやすい体質になる
さらに重要なこととして、気候変動に関するニュースに関心を持っている人は、植物性の食事に切り替えることをおすすめ。プラントベース の食事は、地球の温室効果ガスの排出量を減らすことや、森林の伐採を減らすこと、絶滅危惧種の生息地を保護することなどにもつながる。地球を救う一助となることも知っておこう。
プラントベースの食事で体重は減らせる?
プラントベースという言葉は非常に幅広いため、体重を減らせるのかという問いに対する明確な答えはない。
バジリアンの見解は「イエスの方向を示しています」。野菜は栄養価が高く、カロリーが低い。しかも満腹感が高いので、エネルギーの急激なアップダウンがない。空腹感を感じることも少ない。ある研究では、低脂肪・全粒粉・植物性の食事(カロリー制限なし)を6カ月間続けた過体重・肥満の被験者が、平均で約1.5kgの減量に成功した。
計画性は多少必要だが、必要なタンパク質はすべて植物から摂取できる。バジリアンは、セリーナ・ウィリアムズをはじめとする世界的なアスリートたちがヴィーガンやプラントベースの食事で活躍していると指摘する。植物性食品の中でも、タンパク質が豊富なものはこちら。
- 豆腐:約1.8kgあたり13gのタンパク質
- くるみ:1/4カップあたり4gのタンパク質
- テンペ:3オンスあたり16gのタンパク質
- 枝豆:2/3カップあたり12gのタンパク質
- ひよこ豆:1/2カップあたり7g
- 黒豆:1/2カップあたり7gのタンパク質
- ピーナッツバター:大さじ2杯あたり7gのタンパク質
- スティールカットオーツ:1/2カップあたり4gのタンパク質
- キヌア:1/4カップでタンパク質8g
プラントベースの食事をはじめるには
バジリアンは「まずは今の食事に植物性のものを加えることからスタートしましょう。1週間にある21回の食事のうち、1日1回、食事に野菜や果物を加えることからはじめてみてください。例えば、朝食に卵とトーストを食べるのであれば、サルサやほうれん草、アボカドなどを加えてみましょう。毎日のランチやディナーにスープやサラダを加えれば、栄養価の高い野菜を摂ることができます」と提案する。
バジリアンは、インポッシブル・バーガーやビヨンド・ミートなどの代替肉は、植物性だが加工度が高いと指摘している。そのような加工度の高いものではなく、マッシュルームから作られたハンバーガーや、クルミと黒豆から作られたチョリソーなど、ヘルシーで加工されていない食品から、肉のような満足感を得ることができるという。
「植物性の食事に少しずつ移行していけば、簡単にノーリスクプラントベースの食事をはじめることができます」とバジリアンは話す。
Text: Marisa Cohen / Translation: Noriko Yanagisawa
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