食の多様性が広がりつつも、食事制限にこだわるのは必ずしも簡単なことではない。多くのセレブリティーがベジタリアンやヴィーガンといった食事法を取り入れていることは知られているけれど、中には菜食主義に終止符を打つことを決めたスターもいる。健康的な理由や、環境的な理由、また精神的な理由まで様々。

言うまでもなく菜食主義への移行は、ライフスタイルの大きな変化であり、メリットとデメリットの両方を伴う。

ベジタリアンやヴィーガンへの移行に興味のある人も、現在模索中の人も、セレブの菜食主義ヒストリーを参考にしてみて。

マイリー・サイラス

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Arturo Holmes//Getty Images

2013年、愛犬のフロイドがコヨーテに殺されるのを目撃した後、ヴィーガンになることを選択した世界的なスーパースターであるマイリー・サイラス。彼女はセレブリティーの中でも、長い間ヴィーガン運動を声高に主張していた一人だ。

しかし、それは2020年9月までのこと。マイリーは、The Joe Rogan Podcastに出演した際に、魚を食べ始めたことを明かしたのだ。

"私はとても長い間、ヴィーガンだったわ。 "と告白した彼女は、"脳がうまく機能しなかったから、魚とオメガを生活に取り入れなければならなかったのよ。"と付け加えた。

2013年から2019年までの間、マイリーは非常に厳しいヴィーガンを続けていたものの、自分の脳がそれほどシャープでないことに気づいていたという。“グラストンベリー・ミュージック・フェスティバルでパフォーマンスをしたとき、まるで自分が空っぽで走っているように感じたわ”と同インタビューでコメントした。

マイリーは、動物性タンパク質を摂取する必要があることに気づいた後、元夫リアム・ヘムズワースが自分のために魚の一部をグリルで焼いてくれたときに泣いたことを語った。“それは、信じられないほどトラウマになるような経験だったわ”とも付け加えている。

マイリーは現在、自らをペスカタリアンと表現し、植物性食品に加え、魚も食べる食生活を送っている。また、魚とグルテンベースの製品を食生活に取り入れてから、自分自身がよりシャープになり、他の健康上の懸念事項の多くも消えたとのこと。加えて、何時間もステージでパフォーマンスするためには魚の脂肪とタンパク質が必要だと気づいたとコメントしている。

魚を口にするようになったマイリーだが、動物への深い関心を抱いていることは変わらない。マイリーは現在もナッシュビルの農場で20匹以上、カラバサスの自宅でも20匹以上の動物を飼っている。

リアム・ヘムズワース

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Matthias Nareyek//Getty Images

2020年4月のMen's Healthのインタビューで、約4年間続けていたヴィーガンが2019年に入院を余儀なくされた腎臓結石につながったことを明かしている。

“4年近くヴィーガンだったが、2019年2月に無気力になってしまったんだ。そんなとき、腎臓結石になった。人生で最も辛い1週間だったよ。(ネットフリックスオリジナルの)『Isn't It Romantic』のプレスをしていたんだけど、病院に行って手術を受けなければならなかった”と、同インタビューで話している。

今はもう大丈夫としながらも、この経験から、リアムは自分が食べているものをよく観察するようになったんだとか。

“一度腎臓結石になって、その時の食生活を続けていると、50%の確率で次の腎臓結石ができるそうだ”と彼は説明した上で、”僕の腎臓結石は、シュウ酸カルシウム腎臓結石だった。食事にシュウ酸塩を多く含むとできるものだ。シュウ酸塩は、多くの野菜、特にほうれん草、アーモンド、ビートルート、ジャガイモに多く含まれている”と付け加えた。

ジェナ・オルテガ

80th annual golden globe awards arrivals
Matt Winkelmeyer//Getty Images

Netflix大ヒットシリーズ『Wednesday』が記憶に新しいジェナ・オルテガ。

“私は本当に長い間ヴィーガンだったわ”。"でも、『Wednesday』の撮影でルーマニアに行った時にヴィーガンをやめたのよ”とWiredのインタビューで語っている。

『Wednesday』の撮影地は、要塞化された教会や城、独特の美食で知られるヨーロッパ南東部の国、ルーマニア。ここで、約半年かけてキャストやスタッフとともに作品の撮影を行ったんだとか。このルーマニアが、彼女のヴィーガン人生をチャレンジングなものにした。

“そこ(ルーマニア)では食べ物がとても違っていて、必要な栄養を満たしていないと思ったので、また魚を食べるようになったのよ。だから今はペスカタリアンよ”と明かしている。

ジョナサン・ヴァン・ネス

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ネットフリックスの大人気リアリティーショーシリーズ『クィア・アイ』のスターは、今でも植物性の食事を楽しんではいるけれど、もうヴィーガンではないと言う。

“22〜26歳くらいの時にヴィーガンにすごくハマっていたんだ”とジョナサンは、2019年9月にAllureのインタビューで語った。そして、“本当に原動力になっていたのは、男性に愛されて、受け入れられたいという願望だったから。もっと痩せて、体重を減らすようなことが必要だと思って、そうしたんだ”と付け加えている。

アン・ハサウェイ

85th annual academy awards press room
Jason Merritt//Getty Images

アン・ハサウェイは『レ・ミゼラブル』に出演する際に、体重を減らすために動物性食品を絶った後、『ダークナイト ライジング』ではスレンダーなキャットウーマンのスーツを着るためにそれを続けていた。2012年に夫のアダム・シュルマンと挙げた結婚式でも、ヴィーガンの料理が用意された。

しかしその2年後、 『インターステラー』の共演者であるマット・デイモンとの食事がきっかけで、彼女はヴィーガンを辞めることになったとTATLERのインタビューで語っている。

アン・ハサウェイとマット・デイモン、そして夫のアダムは、アイスランドで映画の撮影中、ミシュランの星付きレストランに食事に出かけた。マット・デイモンはウエイターに「シェフが出したいものを何でも食べる」と言い、彼女は“どうすれば問題を起こさずに菜食主義を維持できるかしら”と悩んだそう。

そこで、恐る恐る、“あなたの魚は地元のものですか? と訊ねたわ。そうしたら、(窓の外にある)あのフィヨルドが見えますか? と言われたのよ”と語った後、“それでサーモンを食べたら、脳がコンピューターの再起動をしたような感覚になったわ”と付け加えた。

Harper's Bazaarによる別のインタビューでは、40ポンド(約18キロ)の宇宙服を着用する必要があったインターステラーの撮影中に、菜食主義が自分の足かせになっていることに気づいたと説明。

“気分が良くないし、健康的でもなかったわ。強くない”とも語った上で、アイスランドでサーモンを口にした後、彼女は “ただ気分が良くなった” と、付け加えた。

クリスティン・ベル

imdboat at san diego comic con 2019 day two
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動物愛好家としても知られる女優のクリスティン・ベル。11歳からベジタリアンで、慢性疾患や病気を回復させる方法として植物ベースの生活を解剖したドキュメンタリー『Forks Over Knives』を見て、2012年にヴィーガンに転向した。

しかし、彼女は第一子を妊娠中に、ヴィーガンという食生活が自分にとって持続可能なものではないことに気づいたという。Todayのインタビューで、“最初の妊娠中は仕事をしていたので、もっとカロリーが必要だと感じたのよ。かなり意識していたわ”と語り、ヴィーガンを絶ったことを認めた。

現在は、自分はベジタリアンであるが、ヴィーガンの食生活を送る人たちを支持すると言っている。

“ヴィーガンであることは素晴らしい生き方だと思うし、体に素晴らしい影響を与えるものだと思う”と彼女はインタビューで語り、“また、環境に対しても本当に良い影響を与えると思うわ”と付け加えている。

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桑子 麻衣子
ライター

1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。
Instagram: @mic_kwk