倫理的に、健康や環境面で、あるいは単に味覚的な理由など、ヴィーガンを選ぶ理由はさまざま。
ヴィーガン協会によると、「ヴィーガニズムとは、食用、衣料用、その他目的によるあらゆる形態の動物の搾取と残虐行為を可能な限り行わないとする哲学と生活様式であり、ひいては、動物、人間、環境の利益のために、動物を搾取しない代替手段の開発と利用を促進するもの」と記されている。
2020年、英国の雇用審判所は、ヴィーガニズムは“哲学的信念”であり法律で保護されるという判決を初めて下した。
米国ではLeonやKFC、マクドナルド、バーガーキングなどがヴィーガン商品を販売しており、英国のベーカリーチェーンGreggsでは「ヴィーガン・ソーセージ・ロール」が話題に。また、サルフォードやリヴァプールなど英国のいくつかの都市では、ヴィーガンフードフェスティバルが開催されており、2018年に行われたヴィーガン協会の調査によると、英国には約60万人のヴィーガンが存在し、2年前の約15万人から大幅に増加したと推測されている。
そして、ビヨンセやアリアナ・グランデ、リゾといった世界的なトップスターたちも、肉や魚、乳製品、卵などの動物性食品を摂らないヴィーガンの暮らしを選択している。彼らがヴィーガンを選ぶ理由とは。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
Translation: Ai Ono From ELLE UK
ビリー・アイリッシュ
ビリー・アイリッシュはベジタリアンの生活を経て、数年前にヴィーガンに。
「今までの人生で肉を食べたことがないから、ヴィーガンになることも大したことではなかった。肉が恋しいとか、何かが足りないってことはなかったかな」と彼女は2018年にYouTube『Billie Eilish x MONTREALITY ⌁ Interview』の中で語っている。
また、2021年5月の『ヴォーグ』でも「私はヴィーガン。7年前からヴィーガンの生活をしています」と話し、食肉産業が置かれている状況についても「一度知ってしまったら、もう戻れなくなるんです」と言及した。
「乳製品や肉を食べる友人もたくさんいて、みんなに対して何かを望むことはしないけど、動物の世界で何が起こっているのかを知りながら、何もせずに生きていくことはできないです」
セイディー・シンク
Netflixの人気シリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のマックス役で知られるセイディー・シンク。彼女は、映画『ガラスの城の約束』でヴィーガンのウディ・ハレルソンと共演して以来、ヴィーガンの生活を続けているという。
セイディーは「卵産業や乳製品作業で何が起きているかを知り、『これだ!ヴィーガンになる!』と思ったんです。(動物性の食品は)きっぱりやめました」と『ELLE UK』に語る。
食生活だけでなく、衣服においてもエシカルな製品を選ぶように心がけているそうで、身に着けるものに注意を払うことが大切だとコメント。「わからないような形で動物性の素材が混じっていることがあるので、とにかくよく調べてみることです」と訴えた。「衣料品の中に動物由来の素材が含まれているかを見なければならないのですが、それに気をつければ、ヴィーガンの選択肢はたくさんありますよ」
ナタリー・エマニュエル
若い頃は偏頭痛に悩まされていたというナタリーは、乳製品を断ち、ホリスティック栄養学と“特定の食品と病気の関係”について調べるようになったそう。
ヴィーガンの食事を1週間試してみたところ、彼女は良く眠れるようになったことに気づき、友人からも美しさが増したと褒められるようになったという。
「それから2週間続けて、さらに元気になったように感じました」とナタリーは『ウィメンズ・ヘルス』に話している。「そして、『これを1カ月続けよう』と思ったのです」
その後、イングランドにある母の実家を訪ねた際に、ヴィーガンではない食事を口にして胃に合わないと感じたという。「私が幼い頃に好きだったものばかりを作ってくれていましたが、実際には自分に合っていなかったんだと感じました。それで、『私は、ヴィーガンだと思う』と伝えたのです」
ザック・エフロン
ザック・エフロンはヴィーガンのライフスタイルが彼の心身の健康に役立っていると考えている。
「僕は純粋なヴィーガン食を試しているんです」と2018年の『ティーン・ヴォーグ』で明かしたザック。「おかげで体の機能がすっかり変わって、食べ物の代謝、エネルギーへの変換、睡眠も変わりました。すごいですよ。エクササイズにとっても、習慣としても最高ですね」
アリアナ・グランデ
2013年、アリアナは子供の頃からオーガニック食品を口にし、肉は最小限に抑えてきたこと、そして今後は「100%ヴィーガン」になることを、ツイッターを通してファンに伝えた。
動物愛護団体PETAはアリアナの決断に感謝し、彼女自身もヴィーガンになったことで心が「とても幸せ」になったと語っている。
それから1年後の『ミラー』紙のインタビューでは、ヴィーガンになった理由について次のように述べている。
「冗談じゃなくて、私は人よりも動物が好きなんです」とアリアナ。「プラントベースの食生活で、寿命を延ばし、あらゆる面で幸せな人間になれると強く信じています。外食は難しいですが、そこでは野菜や果物、サラダのように確実なものを食べて、家に帰ってから他のものを食べるようにしています」
ホアキン・フェニックス
パートナーのルーニー・マーラと同様に、ホアキン・フェニックスも長い間ヴィーガンを貫いているが、息子のリヴァーについては彼の判断に任せるという。
「確かに、ヴィーガンであってほしいという思いもありますが、自分の信念を子どもに押し付けるつもりはありません。それは正しいことではないでしょう」と『サンデー・タイムズ』に語ったホアキン。「マクドナルドにハッピーセットがあるとあえて教えることはないです」と続け、正しく説明することを心がけているという。「『ブーブー』とか『モーモー』と喋る素晴らしい小さな家畜たちの本を読んでおいて、ハンバーガーとは何たるかを教えないなんてこともできません。そんな嘘をずっと続けることはありませんが、彼にヴィーガンを強いるつもりもありません。ただ彼をサポートします。その予定です」
リゾ
シンガーのリゾは、2020年6月にヴィーガンになったことを告白し、TikTokには食事の動画を数多く投稿している。
彼女がシェアしたある食事の動画には「ヴィーガンの初心者として、植物性食品や植物性タンパク質の味の探求を楽しんでいるところ!」、「すべての旅は個人的なもので、祝福されるべきもの」というキャプションが。
最近の食生活は、ココナッツウォーターとケールかほうれん草、そして冷凍フルーツで作るスムージーで1日をはじめ、ランチはケール、赤キャベツ、ブロッコリー、アボカドを使ったサラダ、ディナーはトリュフ、ひよこ豆、マッシュルーム、キヌアに残りのサラダ。
他に「以前はチートスをよく食べていたけど、それは私の胃酸逆流にはよくなくて。これは私が大好きなヴィーガンのチートスで、フムスをディップして食べるの」と、ヴィーガンへの代替品を楽しんでいることも明かしている。
デザートにはオーツミルクとバニラのプロテインパウダーを入れるピーナッツバターゼリースムージーが定番だそうで、「これは本当に美味しくて、満腹感もある」とのこと。
また、二日酔いの時には、以前はチーズ入りのスクランブルエッグを食べていたそうだが、今は代替卵「Just Egg」を使った朝食を作っているそう。
ベネディクト・カンバーバッチ
2018年、ベネディクト・カンバーバッチはヴィーガンになったこと、プラントベースのライフスタイルを愛していることを明かした。
『タイム・アウト・ロンドン』のインタビューに応じたベネディクトは、MCUの役作りとして体型を整えるためにプラントベースの食事に切り替えたことを告白。さらに別のインタビューでは、英国に展開されているチキン料理レストランNando’sについて「ヴィーガンメニューがあれば」行くことを明かしている。
マイリー・サイラス
マイリーは2013年にヴィーガンを宣言。2018年12月に元夫のリアム・ヘムズワースと彼女の故郷であるナッシュビルで結婚式を挙げた際には、レセプションでヴィーガン料理が振る舞われたと『US Magazine』が報じている。
ヴィーガニズムは、彼女のキャリアにおいても重要なもの。コンバースとコラボしてエシカルなアパレル商品を製作したり、2018年の『メットガラ』ではステラ・マッカートニーとともにクルエルティフリーなファッションを推進。動物愛護団体PETAから支持され(彼女は2017年に「Best Voice 4 Animals」賞を授与されている)、結婚式当日は反毛皮活動家であるヴィヴィアン・ウエストウッドのウエディングドレスを着用した。
2019年3月の『ヴァニティ・フェア』のインタビューでは、次のように語っている。「サステナブルなヴィーガン活動家として生きることを選ぶということは、(廃棄物を減らし、より長く愛用するために)ヴィンテージなものを身につけ、最新のエコマテリアルやテクノロジーを使い、お気に入りのデザイナーとカスタムメイドのヴィーガン品を作ることを意味します」
しかし、2020年9月にはポッドキャスト『The Joe Rogan Experience』で、健康上の理由から現在はペスカタリアンであることを明かしている。
ジェナ・ディーワン
10歳からヴィーガンだという『ステップ・アップ』のジェナ・ディーワン。2021年の『ウィメンズ・ヘルス』誌に登場した彼女は、食肉処理場のドキュメンタリーを見たことがきっかけで、ヴィーガンになる決心をしたと語った。
「道徳的にも身体的にも気分がいいんです」
ちなみに、元夫のチャニング・テイタムは半年ほどヴィーガンを試したそうだが、彼は野菜嫌いなため「難しかった」という。
ビヨンセ
ビヨンセとジェイ・Zは数年前からヴィーガンに取り組んでおり、2018年のコーチェラ・フェスティバル前にはヴィーガンのライフスタイルを紹介する動画を公開。
2019年7月には、産後ダイエットとして取り組んだ『22 Days Nutrition』をYouTubeでシェア。ビヨンセは2017年6月にルミとサーという双子を出産しており、2012年1月には長女のブルー・アイビーが誕生している。
ビヨンセのウェブサイトによると、『22 Days Nutrition』は彼女のパーソナルトレーナーであるマルコ・ボルヘスが考案したもので、「プラントベースのライフスタイルにすることで、より健康的な習慣を作るという理念に基づく」という。
動画の中で、ボルヘスはビヨンセと彼女のダンサーチームが公演に向けて「100%プラントベース」の食生活をしたことを説明している。
その数カ月前には、米国在住のファンに対し、ヴィーガン食事法を取り入れるよう呼びかけ、重要な条件を満たした1組にビヨンセとジェイ・Zの公演チケットを生涯無料でプレゼントするという『グリーン・プリント・プロジェクト』とのコラボ企画が発表されていた。
タンディ・ニュートン
元ベジタリアンのタンディは、2018年に映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』でウディ・ハレルソンと共演したことをきっかけにヴィーガンに転向したことをAP通信に明かした。
「周りにヴィーガンがいて、ヴィーガンが権力ある立場にいるのはいいことだと思います」と語るタンディ。「ウディと共演してから、私はヴィーガンになりました」
ヴィーガンを続けている期間(当時)については、「もう4カ月になります。脳にも問題はないし、全く問題ないです」と話している。
ヴィーナス・ウィリアムズ
グランドスラムを7度制覇しているプロテニスプレーヤーのヴィーナスは、テニスコートで最高のパフォーマンスを発揮するために食事にも気を配っている。
『ヴィーガン・ライフ』誌によると、彼女は過度の倦怠感を引き起こす自己免疫疾患のシェーグレン症候群と診断されてからヴィーガンを続けているという。
2017年の『ヘルス』誌のインタビューでは、「一度始めてみると、可能な限り最善の方法で体に燃料を補給するというコンセプトに魅了されました。コート上で役立つだけでなく、自分にとって正しいことをしていると感じられるのです」とヴィーガンの生活についてコメント。
それから2年後の『インサイダー』誌のインタビューでは、それまではローヴィーガン(火を使わないヴィーガンの食事)だったものの、加熱調理を取り入れる必要が出てきたとし、「運動の後にはしっかりしたもの、例えばお米やポテトが必要な時もあったんです」と食生活の変化について話した。
ナタリー・ポートマン
『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンは8歳のときにベジタリアンに、20代後半にヴィーガンに。妊娠を機にベジタリアンに戻したが現在は、ヴィーガンであり、このライフスタイルに対する誤解と長年向き合ってきた。
夫のベンジャミン・ミルピエはヴィーガンではないそうだが、ヴィーガン食を食べるかどうかは家族のメンバーそれぞれが決めることだと『ポップシュガー』に話している。「何を食べるかは自分で決めるべきだと思うので、食べたいものを食べる人たちと一緒にいたいと思います」
2018年、ナタリーは工場畜産の現実を捉えるドキュメンタリー映画『Eating Animals(原題)』を発表(プロデューサー、ナレーターを務めた)。それから数カ月後に開催されたイベント『WE Day California』では、16,000人の学生に対し、「女性の問題に積極的に取り組むようになって初めて、ヴィーガンがその問題と関係していることに気づきました」と呼びかけた。
「乳製品や卵は、メス牛、メス鶏から生まれます。私たちは女性の身体を搾取し、卵やミルクを作るためにメスの動物のマジックを乱用しているのです」
ケイト・マーラ
2018年5月、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のケイト・マーラは、キンバリー・スナイダー著の『The Beauty Detox Solution(原題)』という本を読んでから5年間ヴィーガンを続けていることを、『シェイプ』誌に明かした。
「チーズが大好きなので、それを諦めることが最初は大変でした」とケイト。「でも、肉が恋しくなることはないですね」
数年前から胃の不調に悩まされていたという彼女は、動物性食品を抜くようになってから「とても気分が良くなった」と語っている。
ジェシカ・チャステイン
2007年からヴィーガンのジェシカ・チャステイン。彼女は、自身のライフスタイルについてオープンにしてきた。
2017年の『W Magazine』のインタビューでは、元々ペスカタリアン(魚介類や乳製品を食べる菜食主義者)だったものの、「エネルギーが足りない」と感じたことでヴィーガンになることを決意したと告白。
彼女はヴィーガンになった経緯について「友人から2週間のヴィーガンフードの宅配プログラムを譲られて、それを食べてみたらすぐに経験のないほどエネルギーが満ちるのを感じて、ヴィーガンになろうと決めました」と説明。「『自分の体に耳を傾けよう』と思ったんです。ヴィーガンになりたいと思ったことはありません。ただ、自分の体が教えてくれることに耳を傾けていただけなんです」と続けた。
それから1年後には、自分のヴィーガニズムが他者、特に義理の両親を困惑させているのではないかと、不安な気持ちも同誌に打ち明けている。
「はじめた頃、『私はヴィーガンです』と言うのは大変なことでした。ヴィーガンとしては食べられないものがあり、『ごめんなさい、それは食べられないです』と言うと、(義理の母が)『大丈夫、それなら魚があるから』と言うんですよ」
ルーニー・マーラ
姉のケイトと同じく、ルーニー・マーラも数年前からヴィーガンであり、2018年には友人と一緒にヴィーガンのファッションライン『Hiraeth(ヒラエス)』を立ち上げた。
「デザインが好きで、高品質を求める人間のための(フェイクレザーの)選択肢があまりないことに気づきました」と2018年に『ヴォーグ』に明かしたルーニー。
「ファストファッションではフェイクレザーのブーツがすごく安く売られていますが、動物に対してクルエルティフリーだとしても、どこで作られているのか、(作っている)人間も大切にされているかは、必ずしも明確にはされていませんでした」と彼女は説明する。「どちらも妥協したくありませんでしたし、長く使えるものが欲しいと思っていました。ですから、(Hiraethは)本当に自分自身の必要性から生まれたものなんです」
Katie O'Malley is the Site Director on ELLE UK. On a daily basis you’ll find Katie managing all digital workflow, editing site, video and newsletter content, liaising with commercial and sales teams on new partnerships and deals (eg Nike, Tiffany & Co., Cartier etc), implementing new digital strategies and compiling in-depth data traffic, SEO and ecomm reports. In addition to appearing on the radio and on TV, as well as interviewing everyone from Oprah Winfrey to Rishi Sunak PM, Katie enjoys writing about lifestyle, culture, wellness, fitness, fashion, and more.