あなたも1日9時間以上(通勤、テレビ鑑賞、睡眠の時間を除く)座る大多数のひとりなら、そろそろ股関節をいたわってあげるべき。そのためのエクササイズをイギリス版ウィメンズヘルスからご紹介。
股関節が硬くなると、股関節や大腿四頭筋がこむら返り(筋けいれん)を起こしたり、しくしく痛んだりする。太ももが張って痛んだり、鼠径部がつったり、ヒップワークアウトの成果が出なかったりすることもある。
股関節の硬さは、階段を上ったり、立ったり、走ったり、エクササイズしたりする機会が少なすぎて、臀筋と体幹の筋肉が弱っているサイン。こうなると、ハムストリングスにもストレッチが必要になる。
股関節が硬いと、腰、体幹、骨盤底、背中に問題が出ることもあるので、あなたも「マズい」と思うなら、股関節が硬くなる原因と対策をチェックしよう。
股関節が硬くなる3つの要因
1.座っている時間が長すぎる
難しい言葉を使えば、股関節が屈曲する時間が長すぎる。
ロンドンのフィットネスクラブ『Third Space』のエリートトレーナー、ルーク・ウォージントンによると、股関節が硬いということは股関節が弱いということ。「筋肉が硬くなるのは、多くの場合、体が反射的に自分を守ろうとしているからです。筋肉を緊張させれば、あなたが不慣れな姿勢をとることもありません。体幹と臀筋を強化し、体を安定させてあげれば、股関節も柔らかくなるでしょう」
臀筋が弱くなり、結果的に股関節が硬くなる主な要因のひとつは、仕事や通勤で長時間座ること。
対策:ウォージントンが一押しのエクササイズで股関節が硬くなるのを防ぎ、スタンディングデスクに投資しよう。スタンディングデスクを使うと血行と血流が良くなるだけでなく、医学専門誌『The British Medical Journal』、英国民医療サービスNHS、そして英ラフバラー大学の合同研究結果によれば、集中力と活力もアップする(=朝一でエクササイズする気になれる)そう。会社の人事部に導入できないか聞いてみる価値はある。
2.歩き方や走り方が悪い
これも結局は股関節屈曲の問題。
『Nutritious Movement』の認定リストラティブ・エクササイズ・スペシャリスト、ジャネット・ロラムいわく、多くの人は股関節が伸びた状態ではなく曲がった状態で歩いている。その何が問題かって?
「(股関節が曲がった状態で歩く人は)臀筋が弱いため、走行中の骨盤が下がりやすくなります。その結果、股関節が硬くなる趣味ランナーは多いですね。走る前に簡単なエクササイズを行えば、本来使うべき筋肉(臀筋)が活性化されるでしょう」
対策:ピラティススタジオ『Barefoot Studio』設立者で、Peak Pilates認定マスターインストラクターのカレン・イングラムが教えるシンプルなテクニックで、臀筋の位置を把握しよう。
「背筋を伸ばして立ち、お尻に手を当てましょう。片足を大きく一歩下げ、臀筋が働く感覚を確かめましょう。足を地面に着くときは、つま先、母指球、かかとの順で。反対の足でも同様に行います。後ろに10歩ほど歩いてから前に向かって歩き出し、臀筋が働く感覚を再現しましょう」
平泳ぎではなくクロールも、股関節を伸ばして行える運動。
3.ハムストリングスが硬い
前述の通り、硬い=弱いだけれど、ロラムによれば、ハムストリングスの硬さが股関節の問題を招いていることもある。
「仰向けで両脚を90度上げるのは本来簡単な動きですが、ハムストリングスが硬いと、両脚が落ちてくる力に抵抗するため、股関節が余分に働かなければなりません」
自分のハムストリングスの状態を確かめるには?
「仰向けになり、腰の下にヨガブロックかボルスターを置き、両脚を90度上げてみましょう。股関節に負担がかかっていませんか? 答えがイエスなら、ハムストリングスを鍛えなければなりません」
対策:ハムストリングスのストレッチを普段のメニューに加えよう。
4.股関節インピンジメント
股関節が硬いのかと思いきや、実は股関節インピンジメントであることも。これは姿勢の問題。
「股関節の痛みは、アラインメントに問題があることを示しています」とウォージントン。「骨盤を傾けると股関節が動くためのスペースが減り、太ももの骨が寛骨臼に押し付けられて痛みが生じます。股関節が硬いからではなく、骨が骨に圧迫されているから痛むのです」
対策:この場合は体幹と臀筋を鍛え、股関節を自然なアラインメントに戻すことで、股関節の可動域を広げる必要がある。そのためには、股関節屈筋を柔らかくするのと同じエクササイズをすればOK。以下のエクササイズで股関節の痛みを取ろう。
股関節屈筋のストレッチ&エクササイズ
1.股関節屈筋リリース
ロラム一押しのリリースエクササイズで、股関節屈筋をハッピーにしよう。
a) 仰向けになり、膝を曲げる(必要であれば、肋骨を持ち上げて)。
b) 骨盤の下半分(脚に近い方)をボルスターかヨガマットに乗せ、腰の下にスペースを作る。
c) 腰を床に下ろしながら、骨盤が頭の方に傾くのを確かめる。自分で骨盤を傾けようとせず、重力に任せるのがポイント。
d) 股関節が軽くなるまで、この姿勢でリラックス。
2.デッドバグ
これはフィットネス通がランニング前にするエクササイズ。
a) 仰向けになり、両腕を天井に向かって伸ばす。
b) 両脚でテーブルトップのポジションをとる(両脚を上げ、股関節と膝をそれぞれ90度に曲げる)。
c) 左脚を伸ばしながら、右腕と一緒に床から数センチのところまでゆっくり下ろす。このとき、腰が床から浮かないようにするのがポイント。
d) 左脚と右腕をスタートポジションに戻し、右脚と左腕でも同様に行う。
両手にレジスタンスバンドを握るか、アンクルウエイトかダンベルを使うと難易度がアップ。ウォージントンは、3~8回×3セットを勧めている。
3.ヒップブリッジ
ウォージントンおすすめのヒップブリッジは、その名の通り、臀筋を鍛えるエクササイズ。
a) 仰向けになり、膝を曲げる。かかとで踏ん張り、膝から肩が一直線になる高さまで腰を持ち上げる。
b) 腰を丸めすぎないように注意しながら、お尻にキュッと力を入れてから腰を下げる。
スタンダードなヒップブリッジが楽になったら、片脚バージョン(片脚を持ち上げて、骨盤を高い位置でキープする)にトライして。
ウォージントンいわく、3~8回を3セットやれば十分。メインのワークアウトが出来なくなるまでクタクタになる必要はない。
4.股関節屈筋強化エクササイズ
壁に手をついて立ち(壁を使ってプルアップをするイメージ)、片方の膝を胸に持ってくる。臀筋と体幹に力を入れ、立っている方の脚をしっかりサポートするのがポイント。
3~8回×3セットやってみよう。
5.レジスタンスバンド付きヒップエクステンション
これは股関節屈筋強化エクササイズをレベルアップさせたもの。テニス選手のセリーナ・ウィリアムズもお気に入り。
a) 四つん這いになり、片足の裏にレジスタンスバンドを引っ掛けて、先端を同じ側の手に持つ。
b) その膝を上げ、足を後方に押す。4分間でできるだけ多く繰り返したら、反対の足でも同様に。
6.股関節屈筋ストレッチ
昔からあるけれど、“正しくやれば” 本当に効果的なストレッチのひとつ。
片膝立ちで背筋を伸ばす。臀筋と体幹に力を入れ、骨盤を押し込む。重心を前へ移し、股関節屈筋を伸びた状態でホールド。左右を入れ替えて同様に行う。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Emma Pritchard Translation: Ai Igamoto