「1時間で最大90gを良しとする文献はありますが、1時間で最大120gの方が良いという生理学的な理由もあります」とヴィリベイ。「私たちは、プロの世界ツアーサイクリストの酸化ストレスおよびパフォーマンスを測定しましたが、1時間で最大120gがベストでしょう。糖質の摂取量にリミットはなくてもいいと思いますが、いまのところは120gを目指すのが最も適切と言えますね」
この調査でヴィリベイのチームは、1時間あたり120g、90g、または60gの糖質を与えられたトップアスリート20名のパフォーマンスを比較した。ランナーたちは自覚的運動強度を報告し、機器による心拍数と疲労度の分析も行われた。レースが終わると調査チームは、クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ、尿素、クレアチニンの数値から、筋損傷の度合いを測定した。
その結果、1時間に120gの糖質を摂取したランナーは、それ以外のランナーよりも、筋損傷と生理学的ストレスの度合いが著しく低いことが判明した。調査チームによると、これは糖質が筋グリコーゲンの残存量を最適化して、疲労と損傷を最小限に抑えるから。でも、いきなり大量の糖質を摂取すると、お腹の調子が悪くなることもあるので、摂取量を徐々に増やし、体の耐性と吸収力を高めていこう(自己新記録を出すために、次のレースで1時間にジェルを5本摂取するのは絶対NG!)。