健康的な食事、家族歴(家族の病歴)、運動の習慣など、長生きの要因とされるものは、数々ある。そして、そのなかには「必ずしも健康にいいとはいえない習慣」も含まれているとみられることが、改めて確認された。

ミシガン大学社会調査研究所のキーラ・バーディット博士がジャーナル『The Gerontologist(ジェロントロジスト、老人学)』に発表した調査結果によると、「飲酒に関する行動が同じ(似ている)場合、結婚の“質”が高くなり、夫婦はどちらも長生きする」可能性があるという。

ミシガン大学は1992年から、年齢50歳以上の代表サンプル(約2万人)を対象にした長期パネル調査「健康・退職調査(HRS)」を行っており、発表されたのは、そのうち異性愛の既婚者を対象に実施した最新の分析結果。

バーディット博士は2016年、その時点での最新の分析結果を公表しており、そのときにも、「余暇を一緒に過ごす夫婦は、婚姻関係の質が高くなると考えられる」と述べていた。

「婚姻年数が平均33年の異性愛の既婚者およそ3000組を対象に調べたところ、一緒にお酒を飲む夫婦は、どちらか一方に飲酒の習慣がある夫婦よりも、関係が良好であり、その後も婚姻関係を継続する可能性が高くなっていることがわかりました」

科学や健康、環境、テクノロジーなどの分野で発表された調査・研究結果について伝えるニュースサイト、『サイエンス・デイリー』は2024年3月27日(現地時間)、『Gerontologist』に発表されたバーディット博士らの調査についての記事を掲載。そのなかで、こうした結果について、次のように説明している。

「調査の目的は、HRSに参加している夫婦の飲酒の習慣と、寿命に対するその影響を調べることです」

senior man showing phone to friends in restaurant
Morsa Images//Getty Images

「調査対象は、2年に1度行われるHRSのインタビューに、1996~2016年の間に3回以上応じた異性愛の夫婦4656組です」

これらの夫婦のうち、「過去3カ月にパートナーと一緒にお酒を飲んだか」との質問に対し、「はい」と答えた人たちの方が、そうではなかった人たちよりも長生きしていたことが確認されたという。

ただし、この調査では、夫婦が飲んでいたお酒の種類や飲酒量についての分析は行っていない。また、2人とも飲酒することと長生きに関連性があるとみられることの理由については、「不明」とされている。さらに、こうした関連性の背景にあると考えられる夫婦間の日常的な関係については、「十分な情報が入手できていない」という。

結婚の質と身体的な健康に対する飲酒パターンの影響を評価するには、さらなる調査が必要だとされている。

この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

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Megan Schaltegger
Freelance Writer

Megan Schaltegger is an NYC-based writer. She loves strong coffee, eating her way through the Manhattan food scene, and her dog, Murray. She promises not to talk about herself in third person IRL.

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翻訳者。学業・仕事のため、5カ国の7都市でおよそ10年を過ごす。帰国後は経済・ビジネス関連の文書やニュース記事の翻訳を中心に、ウェルネス系の専門誌やアート関連の書籍、映像翻訳も手掛けるなど、長年にわたってフリーランスで活動。常に新たな情報に触れる仕事柄、心がけているのは、「浅くても、 何でも広く知ろうとすること」。