瞑想を実践する人の典型的なイメージといえば、穏やかな仏陀の姿かもしれない。それは、一部の人にとってうらやむような安らかさである一方、モンキー・マインド(さまざまなことに気が取られて集中できない状態)であることに悩む人たちにとっては、拷問に近いことかも(なんといっても、動けないのだから)。

ただ、瞑想のなかには、じっとしていられない人たちも恐れる必要がないものがあるそう──外出先でもできる「視覚化瞑想」は、実践する人たちを至福の境地へと導いてくれるに違いないという。

さらにこの方法は、アクティブなマインドにこそ、効果的なのだという。瞑想アプリのヘッドスペースでマインドフルネスと瞑想の指導を行うケソンガ・ジスコンベ氏は、「想像力や心の目を使って、人や状況、シナリオなどに関する明確なイメージを呼び起こすテクニックです」と説明する。

ストレスや不安を軽減するための瞑想

瞑想の専門家で、相互扶助を実践する慈善団体の創設者でもあるシェリー・ティギエルスキー氏も、この方法の瞑想によって不安感を和らげることができると話す。

実践するにはまず、いま自分がどのようなことを感じているかを確認する必要があるそう。ティギエルスキー氏は著名な心理学者のダン・シーゲル医師の言葉を借り、思考や感情に「名前をつける」ことを勧めている(「手なづけるには、名付けるといい」のだという)。

次に、統合医療の権威として知られるアンドリュー・ワイル教授が何十年も前に生み出した呼吸法(4-7-8呼吸や6-1-8呼吸など、「吸う、止める、吐く」の3つのパートに分けて、意識的に呼吸する)によって体をリセットさせ、落ち着かせる。それほど長く息を止めるのは難しいという人も、吸う時間より吐く時間の方を長くすれば、それだけでも鎮静効果が得られるという。

ティギエルスキー氏によると、このサイクルを2~3回繰り返すと「生理学的にみても落ち着いた、心と体が連携して機能する状態になり」、「幸せな場所」に自分自身を導くことができるようになるとのこと。

その場所は、想像(美しいビーチなど)でも、現実にあるもの(大好きなおばあちゃんの家のキッチンのテーブル)でもOK。だた、五感のすべてを駆使して、できるだけ具体的に思い浮かべることが重要だという。

ジスコンベ氏は、「ビーチで過ごす休暇を視覚化することは……気分を高揚させ、幸福感や喜びをもたらしてくれるでしょう。その後、今この瞬間の現実に意識を戻します」と説明する。

この練習は、筋肉を鍛えるエクササイズと同じように、継続することによって脳内に、心身の不快な状態に“反応”するのではなく、“対応”するための新たな回路を作りだすのだという。

最大の野心を「現実」に

目指すのが金メダルの獲得でも、アカデミー賞の受賞でも、あるいは昇進でも、重要なのは、目指すものを確実に手にすることができるようにするため、それが実現した瞬間を、心の目で見ておくようにすること。ティギエルスキー氏はこれについて、次のように述べている。

「昇進が実現したときのプロセスを想像してみてください……まさに、上司のオフィスまでの廊下を歩いているのです。ドアノブに手を伸ばし、ドアを開け、上司の前にある椅子に座ります。話をして、昇給についての希望を伝えます。スライドショーのようにひとつひとつ、進めていきます」

「一連の行動のなかで、自分の感情について評価し、それぞれをラベリングします。そうすることで、その瞬間(が訪れたとき)にも、気負うことなく、優雅な態度でいられるようになります」

「アスリートたちはこうした"フロー(ゾーンに入った)状態"を実現することで、訪れたチャンスを逃すことなく、最大限に生かすことができるのです」

瞑想は「ながら」でも可能

この瞑想の良いところは、オフィスのデスクでも、スターバックスで列に並んでいるときでも、どこでもできることだそう。ケソンガ氏が実践しており、お気に入りだという瞑想は、注文したラテを受け取るまでの1~3分程度でもできるものだという。

それは、自分自身に意識を向け、穏やかに、息を鼻から吸い、口から吐き出すとこと。息を吐き出すときには、「頭から首、両肩、そして体全体へと、とても暖かく、穏やかな光に包まれていくのをイメージ」する。

「次に息を吸い込むときには、それまであった緊張やストレス、不安などが、体全体を包む幸福感とポジティブな感覚に変わっていることに気がつくでしょう」

まさに、行列に並びながら時間を潰すには最高な方法といえそう!

From Oprah Daily

From: ELLE JP