パッケージに女性向けと書かれた商品も多く目にするようになり、以前より手に取りやすくなったプロテイン。ダイエット目的で気軽に摂取する人も増えている。しかし、「プロテインを飲み始めたら太った」そう感じたことはないだろうか。

もしかしたらプロテインの摂り方、選び方を間違えているのかもしれない。プロテインとの正しい付き合い方について、テレビや雑誌などで広く活躍するフィジカルトレーナーの坂詰真二氏とスポーツ栄養アドバイザーである石川三知氏の両氏に聞いた。

プロテインは脂肪にも変換される

筋トレを始めたら、プロテインを摂り入れた方が効率のいいカラダづくりができる。多くの人はそんなふうに思っているだろう。ただし、これは半分正解、半分不正解だ。

たしかにタンパク質は不足すると筋トレ効果が半減する。だからといって大量のプロテインをカラダに入れても、使いきれずに余った分は脂肪として蓄えられる。なぜなら、1日に必要なタンパク質量は決まっているからだ。つまり、筋肉をつくるつもりで摂取したプロテインが脂肪に変換されているケースがある。


プロテインは食事の補完と心得る
healthy food diagram
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プロテインをうまく摂り入れるにはどうすればいいのか。プロテインを含め、スポーツにおけるサプリメントは必要な栄養素を補うダイエタリーサプリメントと、運動のパフォーマンスや運動効率を上げるためのエルゴジェニックエイドの2種類に分けられる。前者は日常的な栄養補給の下支えが目的であるのに対して、後者は運動をするカラダのために開発された。

プロテインを摂り入れるなら、まずは前者のダイエタリーサプリメントとして活用するのをおすすめする。「食事で必要なダンパク質量を補えなかった」という場合にプロテインを摂るのだ。

たとえば、本来なら肉を200g食べてタンパク質を補給したいけれど、若い頃に比べて消化吸収能力が衰えていたり、カロリーオーバーになるリスクがある。代わりに肉を100gに納豆を1パックプラスし、さらにプロテインを15g摂取するといった摂り方だ。

1日3度の食事で必要量のタンパク質を摂るための補完としてプロテインを位置付けよう。


一度に吸収できるタンパク質の量は40gまで

ところで、具体的に1日に必要なタンパク質はどれくらいか知っているだろうか。

一般的に定期的な運動習慣がない人の場合は1kgにつき0.93g、筋トレをするという人なら1.6g〜1.7gが適正量と言われている。つまり体重が55gの人で運動習慣がない人は約51g、筋トレをする人であれば約88gを1日で摂ればよい。

食事で十分タンパク質を摂れている人、特にスマートな人が筋トレを始めたからといってプロテインをプラスすると簡単に必要量をオーバーしてしまう。本当にプロテインが必要なのか。タンパク質の必要量をあらためて計算してみるといいだろう。

また、カラダが一度に吸収できるタンパク質量が40g程度と上限があることも覚えておきたい。

プロテインは目的で使い分ける
プロテインで太る理由
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プロテインを摂取する場合、豊富な種類のなかからどれを選べばいいのだろうか。プロテインには大きく分けて3つの種類がある。1つは牛乳に含まれる乳清を利用したホエイプロテイン。同じ牛乳を原料とするが製法が特殊なカゼインプロテイン。そして大豆からつくられるソイプロテインをはじめとする植物性由来のプロテインだ 。

吸収率が最も速いといわれているのがホエイプロテイン。さらにタンパク質含有率が高いものをアイソレートタイプと呼び、タンパク質以外の栄養素も含むものをコンセントレートタイプ(ミックスタイプ)と呼ぶ。

多くがホエイアイソレートを選ぶ傾向にあるが、タンパク質は消化吸収のプロセスでエネルギー源となる糖質、ビタミンやミネラルなどの補酵素も必要とするので、必ず食事と一緒に摂るなど摂取するタイミングを考えなければならない。

基本的な選び方だが、まず、体重やコレステロールが気になる人は植物性のソイプロテインを選ぶといいだろう。食事と一緒に摂る場合や運動直後に摂るならアイソレートタイプでよいが、食事代わりに飲むならコンセントレートタイプを飲みたい。

また、食事後にトレーニングの予定があるならホエイプロテインより持続的に消化吸収されるカゼインプロテインを選ぶのも手だ。

このような知識と意識がプロテインともうまく付き合える。賢く取り入れて理想のカラダに近づきたい。

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<目次>
01.どうして筋トレが必要かを科学する
02.正しい筋トレ方法を科学する
03.食事と栄養を科学する
04.カラダの休め方を科学する

Hikari Inagaki(side dishes)