毎日をアースデイに! ランナーが地球のためにできること4
いまこそエコフレンドリーな走り方を身に付けるとき。
あなたは、どんな景色の中を走りたい? キラキラと日が差し込む森の中? 果てしなく広がる白い砂浜? 雪をかぶった山頂に向かって続く1本道? 世界には美しいランニングスポットが星の数ほどあるけれど、それを喜び、守る必要があることを思い出させてくれるのは、年に1度のアースデイ(4月22日)。ランニングそのものが地球環境に悪いとは思いにくい。でも、よりエコフレンドリーな走り方を身に付けて、好ましくない習慣を断つことは誰にでもできる。今回はランニングを通して地球のためにできることをご紹介。
「ランニングは環境への悪影響が少ないスポーツの1つです。必要なのは、自分の体ひとつですから」と話すのは、エコなスポーツ認証プログラム『The Council for Responsible Sport』最高経営責任者のシェリー・ビラロボス。「ランニングが問題になるのは、ランナーが水分補給のために使い捨てのペットボトルを使ったり、エナジージェルやエナジーバーの包み紙を道路に捨てたりするときです。気候変動の観点から見て最もインパクトが大きいのは、温室効果ガスの排出量を気にすることなく、飛行機で世界中のイベントに参加することでしょう」
でも、ちょっとしたアクションで毎日をアースデイにすることは可能。ランニングをサステナブルなスポーツにするための取り組みを行う環境保護活動家、レースの主催者、アスリートたちに話を聞いた。
1.走りながらゴミを拾う
米トレイルランニング協会のアウトリーチ活動・パートナーシップスペシャリスト、ピーター・マクシモウによると、エコなランナーになるための努力を普段から少しずつ続けていると、それが徐々に社会規模のコミットメントになってくる。マクシモウの数ある任務の1つは、一般の人にトレイルランニングのマナーや“リーブ・ノー・トレイス(痕跡を残さないランニング)”の原則を教えること。もちろん、マクシモウ本人も日頃から言行一致を徹底している。
「私は、#JustOnePiece(1つだけ)というハッシュタグを使っています。トレイルでは、1つでいいからゴミを拾ってくださいという意味です。そして、いつか1が10になり、最後はゴミ袋いっぱいになるといいですね」とマクシモウ。
マクシモウは、米コロラドスプリングズのフェイスブックに『Pikes Peak Ploggers』というゴミ拾い推進グループを作った。メンバーは、ロッキー山脈の一端を成すパイクスピークの壮観なトレイルを走りながら、プロギング(走りながらゴミを拾うトレンド)する自分たちの写真をシェア。
「プロギングは、地球環境問題に対する人々の意識を高めてくれます。私も毎日プロギングしています」とマクシモウ。
2.自分の意見を聞いてもらう
自分なりにエコな習慣を身に付けることは大切。でも、ランナーが力を合わせれば、レースの主催者にも責任を持たせられる。
『The Council for Responsible Sport』の役員を務めるキース・ピーターズは、アスリートや主催者と協業し、スポーツイベントが社会および環境に与える悪影響を減らしてきた。そのピーターズによると、レース会場で紙を使わないコミュニケーション、再生可能なエネルギー(ソーラーパネル)の利用、有機廃棄物のコンポスティング、コース上に捨てられたゴミの収集といったエコな取り組みに気づいたら、それを発信するだけでいい。
「エコな取り組みをした主催者をたたえてもいいですし、主催者にエコな取り組みを要求してもいいですよ」
サステナブルなスポーツイベントの推進団体『Athletes for a Fit Planet』でチーフ・グリーン・オフィサーを務めるブルース・レイナーは、環境フットプリントを最小限に抑える上で、レース主催者の責任ある決断を後押しするコンサルタントの役目を果たす。『The Council for Responsible Sport』の認証を得るためには、『The Pledge of Sustainability』というサステナビリティ誓約を交わす必要がある。この誓約書では、最低10個(最高35個)のエコな取り組みにコミットしなければならない。
例えば、
・リサイクル・ポリエステルまたはリサイクル・オーガニックコットン100%のエコフレンドリーなTシャツを参加者に配る
・イベント会場における発泡スチロールの使用を禁止する
・簡易トイレで環境に悪い化学物質を使わない
・カーシェアリングを促進するため、乗車人数が2名以上の車両には、レース会場に近い“VIP専用駐車場”の使用を認める
レース主催者は、参加者、スポンサー、地元のコミュニティに自分たちのエコな取り組みを伝えるべき。
「ランナーには、環境に配慮したレースを選んでほしいですから。地球のためになることを実践しているレースに参加しましょう。イベントのサステナビリティ誓約やエコ認証は、良い目安になりますよ」とレイナー。
3.行動を起こしてシェアする
アメリカの長距離リレーレース『The Ragnar Relay Series』は、長年エコな取り組みを続けており、それを世界に発信している。「中でも特に『The Ragnar』のトレイルレースは、サステナブルな取り組みの最先端を行っています」と話すのは、シニアレースディレクターのアレックス・ドクタ。
「ランナーにはリユーザブルのビブベルトが配られるので、大量の安全ピンを使う必要がありません。食事には堆肥にできる皿類を使い、スタッフの移動で生じるカーボンフットプリントも相殺します」
遠方からレースに参加する人は“TerraPass”(テラパス)を購入し、個人の移動で生じたカーボンフットプリントを相殺することが可能。支払われた金額は、世界中のエコな取り組みに使われる。
自身も熱心なランナーであるドクタによると、登山口まで友達とカーシェアリングしたり、ペットのふたを回収したり、もう使わないランニングシューズを寄付したりといった小さなアクションが大きな違いを生む。
「ランナーには、責任ある行動を口コミで広げてほしいと思います。自分のサステナブルな行動を誇りに思い、それを友達にシェアしてください。シェアは自慢じゃありません。サステナブルな取り組みを意識する人が増えれば増えるほど、環境に良いですから」
4.レース会場でゴミを減らす
レースマネジメント会社『Pirate Perry Events』を設立したポール・ジグリオッティによると、どんなランニングイベントも大量のゴミを出す可能性を秘めている。『Pirate Perry Events』のエコな取り組みの一環としてジグリオッティは、よりサステナブルなレースの実現に向け、人一倍の努力をしてきた。
「レース後はよく食事や飲み物が出されるので、お皿やコップ、スプーンなどの食器類を全員に持参してもらっています。それだけでゴミの量が大幅に減りますからね」
ジグリオッティは、給水所のコップレス化も推進している。紙コップやプラコップの代わりに「自分の背中から給水するハイドレーションパックを使いましょう。『ハイドラカップ』のスピードカップも良いですね。シリコン製の軽量(約200g)カップなのですが、つぶすとペタンコになるので、ウエストポーチやバックパックに押し込めます。こういったアイテムが普及すれば、埋め立て地やコース上に大量のコップが捨てられることもありません」
Text: Paige Triola Translation: Ai Igamoto
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