ランニングを始めようか(または久々に再開しようか)と考え中? そんなあなたに必要なのは、履き慣れたシューズと、新しいことに挑戦するモチベーションのみ。初心者にとって、ランニングはこれまで以上に身近なものとなっている。

ランニングは体調を整え、心身の健康を促進するベストな方法のひとつ。オリンピックランナーであり、初心者向けにランニングとウォーキングを交互に繰り返すプログラム「ラン・ウォーク・メソッド」を開発したジェフ・ギャロウェイ氏は、次のように説明する。

「ランニングは、他のどんな持続的な活動よりも、脳内の“いい心構えの回路”や“活力の回路”、“個人のエンパワーメント回路”を作動させます」「正しい方法で行えば、心の持ち方を変えることができますし、楽しみながら努力することができるのです」

久しぶりにランニングを再開する人も、まったくの初心者も大歓迎。ここでは、緊張を解きほぐしてランニングを始めるのに役立つ、ヒントやコツをご紹介。

sportive young woman with protective mask running
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1. 思い込みを捨てる

ランニングを始めることに怯えてはいけない。ランニングはただ走る行為ではなく、走り方を知る行為でもある。

RRCA(ロード・ランナーズ・クラブ・オブ・アメリカ)認定のマラソンコーチであるカール・ラジューン氏は、ランニングを始める際の大きな障害は精神的なものだという。

私たちはつい、プロじゃないと走れない、年をとりすぎている、適切なシューズやウェアを持っていない……などと自分に言い聞かせてしまいがちだが、「まず、ランニングは超能力を必要とする魔法のようなことではないと理解することが大切です。私たちが日常的に行っている“歩く”という行為と、ほんの少ししか変わらないのです」とラジューン氏は説明する。

runner feet running on road closeup on shoe
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いっぽう、RRCA認定コーチであり、Rungrl社のCEOであるアシュリー・ローソン・グリーン氏は、「ランニングを始めたばかりの頃は、柔軟に構え、自分に余裕を与えることが大切です」と話す。

たとえば、初日に20分走ろうと思っても、10分しか走れなかったとする。それでも外に出て、動き始めたことに意義があるというわけ。予定とは違うかもしれないが、残りの10分をウォーキングに切り替えてしまえば大丈夫。

体重、年齢、運動能力など、自分のなかで気になることがあれば、まずは早歩きから始めてみよう。走るペースに近いので、そこから始めてみても何の問題もない。余計なことに目を向けるのではなく、とにかく行動に移すことがポイント。

2. 目標を設定する

ランニングを始める理由を考えてみよう。たとえば、健康促進のため、外に出る時間を確保するため、大切な人とアクティビティを共有するためなど、さまざまな目的があるはず。ラジューン氏は、「どんなに高価な道具を持っていても、それがソファから離れる理由にはなりません」と言う。

初心者の場合、特定の距離や時間ではなく、自分の本質的なモチベーションを見つけることが重要。自分なりの“走る理由”を見つけることで、日課として楽しみながら継続することができる。

3. ウォーミングアップも忘れずに

電車に乗り遅れないように走ったり、駐車違反の切符を切られまいと走ったりした経験は、誰しもあるはず。たった数秒で体を0から100の状態にすると、たとえ1時間後であれ翌日であれ、体はそれに反応する(決していい意味ではない)。

「新しいタイプの動きを加えると、筋肉や靭帯、皮膚までもが変化することを意識しなければなりません」「通常の運動レベルを超えたことをすると際は、体がショックを受けないよう、準備をする必要があります」とラジューン氏。

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そのための3つの重要な要素は、以下の通り。

  • 適切に栄養を補給する
  • 動かす部位(足や体幹)のウォーミングアップエクササイズを行う
  • 3〜5分歩く

疲れないようにするためには、ストレッチやランニングの前に水分補給をし、塩分、炭水化物、タンパク質などの栄養素も十分に摂取することが大切。そして、ストレッチの後に短時間のウォーキングを行うことで、ムダな怪我をせず、これから始まる激しい動きに備えて体を整えることができる。

4. ペースを交互に変える

ランニングにおけるペースとは、1マイル(1.6km)を何分で走れるかということ。ペースが速ければ速いほど、より短い時間で長い距離を走ることができ、より激しい運動をすることができる。

ギャロウェイ氏は、「激しいペースで走り続けると、すぐ疲れてしまい、気が滅入ってしまいかねません」と言う。その代わりに、インターバルの手法を取り入れて走るのがおすすめだそう。

そこで彼が開発したのが、初心者でもランニング中の気分をコントロールできるよう、距離を管理しやすい単位に分割する「ラン・ウォーク・メソッド」。ギャロウェイ氏は、ペースを交互に変えることで走りやすくなるだけでなく、回復が早まり、体の弱い部分への負担が減り、体のエネルギーを節約できるので、長く続けることができると話す。

最初の3〜5分間はウォーキングを行い、ゆっくりとランニングとウォーキングを組み合わせていく。ランニングの合間に挟むウォーキングの時間は、30〜60秒を目安にしよう。

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ウォーキングで休憩を取るタイミングについては、ギャロウェイ氏は「呼吸数は心拍数に直結しているので、ハァハァと息切れし始めたら、自分のスピードの限界を超えている証拠です」と言う。そんな時は、ウォーキングでリセットしてから、再びゆっくりとしたペースで走り始めてみよう。

「1日の大半を座ったまま過ごしている、一定年齢以上の初心者の人たちは、ほとんどがスタート時に7秒以上走ることができません。しかし、それでもまったく問題ありません」とギャロウェイ氏は説明する。

5. 管理しやすい状態をキープする

「初心者は1日おきに走って、最終的には30分走れるようにしましょう」とギャロウェイ氏。この30分というのは、脳がランナーズハイをもたらすホルモンを分泌するために必要な「しきい値」なのだそう。

初日のランニングの時間は必ずしも重要ではなく、走り終わったときに強い気持ちになり、もう一度走りたいと思えればいい。「目標は少しずつ時間を増やしていくことです。最初に10分で始めたら、次は15分走ってみましょう」とギャロウェイ氏は提案する。

6. 体をクールダウンさせる

ランニング後のクールダウンは、ウォーミングアップの逆バージョン。ランニングのスピードを落とし、ゆっくりとしたペースで5分間歩くようにしよう。「歩く時間を10分程度にすると、さらによいでしょう。心拍数を安静時の状態にまで下げる時間が増え、翌日の筋肉痛を防ぐことができます」とギャロウェイ氏。

運動後は水分補給をして体内の水分量に引き続き気を配り、その後、炭水化物とタンパク質を摂取して筋肉の修復を促すことが大切。

研究によると、人間は運動中に消費したエネルギーやカロリーを過大評価し、回復のために必要以上に食べてしまうことが多いそう(その量はなんと2〜3倍!)。ランニング後のご馳走は必要なく、炭水化物とタンパク質を含む軽い食事で十分なのだとか。

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7. モチベーションを保つ

新しい習慣を身につけるのは大変だけれど、一貫性を持って取り組むことには価値がある。たとえそれが軽いランニングの習慣でも、自分を幸せにして、1日を明るくすることができるはず。しかも、新しく始めたことがどんどん上達していくのを感じるのは、とても気持ちがいいもの。また、定期的に走ることで、体がより遠くへ、より速く行くための調整を行うことができる。

最後に、モチベーションに関するグリーン氏からのメッセージをご紹介。「私はいつも、『理由』を思い出してほしいと言っています。そもそも、あなたがランニングを始めようと思った理由は何ですか? もし、あなたが一歩を踏み出そうと思った理由を思い出すことができれば、それがランニングマシーンに乗ったり、外に出て路上を走ったりするのに必要なモチベーションになり続けるでしょう」

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya From Prevention

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Micaela Bahn

Micaela Bahn is a freelance editorial assistant and recent graduate from Carleton College, where she majored in English literature. She loves running, photography, and cooking the best new recipes.