最大のヒップアップ&脂肪燃焼が期待できる! 坂ダッシュの効果って?
短時間で脂肪燃焼! ダッシュの魅力
今年も残り1ヶ月、という言葉が飛び交う時期になってきた。今年こそは! と意気込んで登録したジムも三日坊主なってしまった……という人も多いのでは? 年末年始を思いっきり楽しむためにも、今のうちに代謝がいい体を作りたいもの。時間がないと後回しにしてしましがちなトレーニングも、短時間で効率的なトレーニングなら継続しやすいはず。そこでオススメしたいのが、たった数分の運動だけで脂肪燃焼に効果的な“坂ダッシュ”。今回はパーソナルトレーナーの康 寿成さんに坂ダッシュの効果についてお話を伺った。
ヒップアップするために必要な筋肉って?
そもそも、プリッとしたお尻を手に入れるためにはどの筋肉を鍛える必要があるのだろうか? お尻の筋肉(臀筋)は胴体と脚の間の大臀筋、中臀筋、および小臀筋という3つの異なる筋肉で構成されている。
「スクワットなどの両脚動作より、片脚動作の“ランニング”は、お尻の横の筋肉(中臀筋)の使用が不可欠です。中臀筋は、骨盤が落ちないように安定させる役割があるため、ヒップが落ちないように支える重要な筋肉になります」。と、康さん。
さらに、ジョギングより速い動作が求められる“ダッシュ”。このダッシュの動作が、ヒップアップに絶大な効果を発揮するのだそう。
「ダッシュは、前ももだけでなく、足の後ろ側の筋肉を使う動作になります。通常のランニングより、ハムストリングス・大臀筋を強く使う動作になるので、ヒップアップに必要な筋肉がフルに稼働する動きになりますね」
平地ではなく、“坂”を選ぶ理由
筋肉を成長させる(筋肥大)ためには、筋肉の緊張(テンション)時間を長くすることも大きなポイントになる。
「坂道でのダッシュは、傾斜が加わり平地で走るよりも股関節を屈曲させる必要があります。股関節を強く屈曲させ、テンションがかかり続ける坂でのダッシュを選ぶことで、太ももの裏側・お尻の筋肉に刺激が入りやすくなります」
坂道で前に進むために、前方に振り出した脚を後方に蹴り出す動きが強く必要になる。この強く蹴り出す動きがお尻の引き上げに効果的な動作になるという。1回たった数10秒程度の坂ダッシュは筋肉アップはもちろん、脂肪燃焼にも効果的なんだとか。
ダイエット効果もアリの、坂ダッシュ
「有酸素運動は20分以上続けないと脂肪燃焼効果が得られないってよく聞くけど?」という疑問を持つ人もいるかもしれない。確かに、ウォーキングやランニングは最低でも30分~1時間ほど続けなければダイエットの効果が出ないイメージがある。それなのに、坂ダッシュはなぜ数分で効果が得られるのか?その理由は、運動後も脂肪が燃え続ける“EPOC(運動後過剰酸素消費量)”にあると康さんは言う。
「ダッシュは無酸素運動のグループに入ります。全力(または全力に近い力)でダッシュすると、運動を終えた後でも普段よりも酸素摂取量が増えていて、エネルギーが生み出し続けられる状態になります。その際、エネルギー源として脂肪が優先的に使われるので運動後、休憩中も寝ている間も脂肪が燃え続けるのです。坂ダッシュは運動強度がかなり強いので、場合によっては24時間程度エポック効果が持続しますよ」
たった数秒間の全力動作を取り入れるだけで、就寝中まで脂肪が燃え続けるなんで取り入れない手はなさそう。ダッシュの後に適度なジョギングを組み合わせ、有酸素運動を取り入れることでダイエット効果はさらにアップ!
坂ダッシュを取り入れてみよう!
では実際に、普段のトレーニングに坂ダッシュを取り入れてみよう! ここでポイントとなるのは、短時間での運動の強度。がむしゃらに何本も坂ダッシュを取り入れるのではなく、一本をどれだけ全力で走れるかの“運動の精度”を意識してダッシュする必要がある。トータルの運動量が重要になるのではなく、むしろトータルの運動量を抑えつつ、高い効果を得ることが目的なので、無理なく自身の体力にあったスピードから坂ダッシュを取り入れてみよう!
「初心者の方は、15度くらいの傾斜で、ジョギングのスピードから挑戦してみましょう。坂道に慣れてきたら徐々にスピードを上げます。距離は50mを3本くらいから始め、慣れてきたら距離を伸ばし、100m〜150mに設定してみましょう!」
坂ダッシュのコツ
坂を走るとなると、不安定になり前傾姿勢になったり、後ろに仰けに反ってしまうことがある。正しい姿勢で効果的な坂ダッシュをするためには、骨盤の使い方がポイントになる。
「お尻の筋肉は骨盤が後傾していると緩むので、骨盤が立っている状態を保つのがポイントです。きつくなってくると上体が倒れすぎて、骨盤が後傾(腰が丸まっている状態、腰が落ちている状態)してしまいます。骨盤を立てるために、苦しくなってもなるべく上体を倒さないようにしましょう」
「なかなか意識しにくい、と言う方は予備疲労法を使いましょう。あらかじめランジ動作を数本入れ、お尻の筋肉を疲労させれば意識しやすくなりますよ」
たった60秒の運動でヒップアップ可能?
50mの坂ダッシュに必要な時間は、せいぜい1分程度。とはいえ、自分の出せる全力で行うから強度は高い。“今からでも急いで体を引き締めたい、でも時間がない”という人たちに最適な“坂ダッシュ”。エポック効果を最大限に利用するには、朝に坂ダッシュを取り入れるのがポイント。出勤前、いつもより数分早く起きるだけでプリッとしたお尻が手に入るなら、頑張れるかも? ぬくぬく布団に包まれていたい時期こそ、短時間で効率的に鍛えられるからぜひ取り入れてみて!
今回お話を伺ったのは……
パーソナルトレーナー 康 寿成さん
代官山・広尾・横浜・新丸子に店舗を展開するパーソナルトレーニングジム、pmlの統括マネージャー。専門学校にて運動生理学、機能解剖学、本格的なウェイトトレーニングを学び、 全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)の資格を取得。NPCJといったフィジークコンテストで上位入賞を果す実力者。指導者として多くのクライアントをサポートする傍ら、自身もトライアスロンに挑戦する為、水泳・ランニング・バイクなどさらにトレーニングの幅を広げている。pmlでは1DAYのトライアルレッスンが受講可能。現在は、東京スポーツ・レクリエーション専門学校にて講師も務める。