実際のところ、ランニングってダイエットに効果あるの?  アメリカ版ウィメンズヘルスが専門家に聞いてみた。

ペンシルバニア州フィラデルフィアに勤務する運動生理学者兼ダイエットの専門家、チャーリー・セルツァー医師によると、ランニングで痩せられるかどうかを知る唯一の方法は、実際に試してみる以外にないとのこと。「10分間の短距離走を週に3回行うだけで痩せる人もいますし、アイアンマンレースに向けて、週に80km走るトレーニングをこなしていながら、全く痩せない人もいます」

つまり、人それぞれの体型や食事の摂取量、目標体重によって、体重の減り方にはかなりの個人差があるよう。では、ダイエットのためにランニングをする価値はある?  新しいシューズに投資して今すぐランニングを始めるべき?  それとも、ほかのワークアウトに専念すべき?

体重を落としたければ、どれくらい走るべき?

ランニングで体重を落としたければ、厳しいスケジュールにコミットする必要がある。例えば、1週間に約0.45kg減量しようと思えば、毎日500kcalを燃焼する必要がある。これをランニングだけで達成するには、体重が約72.5kgの女性の場合、毎日45分走ることになると解説するのは、ジョージア州アトランタでランニングのコーチサービスを提供する「Running Strong」の創業者であり、運動生理学者兼認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)のジャネット・ハミルトン。

だけど、これは不可能なことではない。比較的実行しやすいうえ、30分のランニングを週に4回すると決めたなら、同じく約72.5kgの女性の場合、1週間で350kcalを燃焼することになる。そうすれば、週に約0.18kgペースで減量することができるそう。

減量のために走るデメリットはあるの?

デメリットはない。けれど、いくつか念頭に置いておくべきことがある。セルツァー医師が言うように、ランニングによる結果は、誰一人として同じではないことを理解しておこう。体重の減り方は、人それぞれの身体組成率やホルモン、基礎代謝率、食欲なども大きく影響してくる。

『Obesity Reviews』誌に掲載された2018年の論文レビューによれば、ランニングを本格的に始めた場合、体はランニング後の残りの1日を乗り切るために、カロリーを節約して燃焼しながら、貴重なエネルギーを保持しようとする。これは、セルツァー医師いわく、「次の食事はいつになるか分からない」時代から進化的に保存された体のメカニズムなのだそう。

さらに、食欲も増加しやすい。学術誌『Physiology & Behavior』で発表された2019年の小規模な研究では、12週間にわたり、肥満女性が中強度の有酸素運動を週に5回ペース(カロリー燃焼は1日あたり500kcal)で継続したところ、体重と体脂肪は共に減少したが、食欲が増加したのでカロリーの摂取量も増えたという結果に。

お腹周りの脂肪はランニングで落とせる?

Midsection Of Woman Jogging On Road
Nattapong Wongloungud / EyeEm//Getty Images

いわゆる「部分痩せ」は、基本的に不可能(脂肪を落としたい箇所を自ら選ぶことはできない)。「ランニングで体脂肪を落とすことは可能ですが、脂肪が付きやすかったり落ちやすい部位というのは、ほぼ遺伝で決まっています」と、セルツァー医師。

でも、全体的に体脂肪を落とすには、ランニングが向いている。2019年の英国スポーツ医学誌『British Journal of Sports Medicine』のレビューによれば、インターバルトレーニングと中強度トレーニング(ジョギングを30分など)を継続した結果、体脂肪率の減少がみられたそう(高強度インターバルトレーニングの方がカロリー燃焼率は高いが、主に運動終了後に燃焼される)。理由は、走っている間にカロリーが燃焼されるからだとのこと。

減量するために、もっと効率的にランニングする方法は? 

ハミルトンが言うように、高強度インターバルトレーニング(全力疾走や坂道ダッシュなど)をするほうが、より効率的に減量しやすいと示唆している研究結果は多い。実際に、中強度の有酸素運動(ジョギングなど)よりも、高強度インターバルトレーニングをするほうが、脂肪が3割以上多く燃焼されるそう。この理由は恐らく、運動後も脂肪が燃焼され続けるからだという。

高強度インターバルトレーニングが苦手な人は、ハミルトンが考案した、もっと脂肪を燃焼して減量につなげる1週間のトレーニングを試してみて。まず、長めのワークアウトで持久力とスタミナをつけ、次に坂道ダッシュを追加して足腰を強化する。さらにインターバル走(最初の1分間を全力で走り終えたら、次の1分間はウォーキングをしながら休息する)で、体力とスピードを養おう。

ランニングがどうしても好きになれないなら?

ハミルトンが言うように、ダイエットに最も効率的なエクササイズとは、自分が楽しみながら継続できるもの。「いくら痩せたくても、ランニングのことを考えるだけでうんざりしてしまうのなら、無理に走る必要は一切ありません」と、セルツァー医師。

結局のところ、カロリー燃焼に有効なエクササイズの種類は数多く存在する(縄跳びやキックボクシング、自転車漕ぎ、ローイング、ヨガなど)。筋トレは、カロリー燃焼に向かないようにみえるが、代謝率を上げてくれるので、1日中脂肪を燃焼させることが可能になる。また、筋トレを行う際は、セット間の休憩時間に軽い有酸素運動を取り入れて、高い心拍数を維持するといいそう。

結論

ランニングは、定期的に継続する限り、ダイエットに有効であることは確か。この運動習慣に加え、ヘルシーな食生活とライフスタイルを組み合わせることも忘れないで。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Cassie Shortsleeve Translation: Yukie Kawabata