ウェルネスライフを送るために、グウィネス・パルトロウの買いものリストをそっくり真似るわけにはいかないけれど、プロバイオティクス(体に有益な作用をもたらす微生物)が含まれる発酵食品だけは忘れないようにしたい。
なぜって? もちろん、腸の健康のため。
腸のことより、ジェニファー・アニストンのような腹筋を目指してタンパク質を摂ることに注力していたかもしれないが、冷静に考えてみてほしい。消化を担う器官に構わず栄養に焦点を当てることは、新しい家を購入する際にリビングルームの壁を何色に塗るかで頭がいっぱいで、配管の正常性を確認せずにいるようなもの。つまり、いい言い方をするなら「賢明ではない」し、悪い言い方をするなら「かなり無駄」なことをしてしまっている。
消化器系に関する科学の研究が急速に発展し、腸の健康が不安から減量の管理まで、あらゆることに影響を及ぼしていることが明らかになった。
そこで「5:2ダイエット(週2日間断食)」を提唱する医師のマイケル・モズリー博士は、これに感銘を受け、著書「The Clever Guts Diet(賢い腸を作る食事)」を出版。
モズリー博士いわく、腸の健康を維持するために、高額なプロバイオティクスのサプリメントを飲む必要はない。食べもので腸を健康に保ち、ダメージを修復し、腸を活性させることは十分可能であり、その役目を発揮するのが発酵食品。
発酵食品に含まれる生きた微生物は、正常菌叢として知られる体内の“よい”菌を維持したり増やしたりして、消化や免疫系、ビタミンなど、総合的な健康に幅広いメリットをもたらしてくれる。くれぐれも、善玉菌のエサを指す「プレバイオティクス」と混同しないように。
重要なのに過小評価されがちな腸の基礎的事実を理解するために、イギリス版ウィメンズヘルスはモズリー博士に取材を決行! 腸を健康にする食品とは具体的にどんなもの?
まずは、発酵食品に含まれる細菌たちが体に与える影響からみていこう!
発酵食品を摂るメリット
1. 腸の問題を改善する
イギリスの国民保健サービス(NHS)の統計によると、IBS(過敏性腸症候群)患者は女性のほうが男性より2倍も多く、とくに生理痛や子宮内膜症の症状が重くて若い女性のリスクがもっとも高いことが明らかになっている。
ウィメンズヘルスのライフスタイルを送る女性もまた、発酵食品を積極的に食べるべき。その理由は、ハードなトレーニングが体に与える影響にあるという。
「激しい運動は腸から全身への血液供給を遮断するので、一部の微生物が腸から血流に漏れ出すことがあります」とモズリー博士。「これがリーキーガット症候群と呼ばれるもので、ハードなトレーニングをしている女性はより影響を受けやすいと言えるでしょう」
2. 体重の減少をサポートする
「研究者たちは、ある特定の細菌とスリムな体型を紐づけています」とモズリー博士。
「肥満の人の腸内細菌を痩せているマウスに移植したところ、摂取カロリーを変えていないにもかかわらず、痩せているマウスの体重が大幅に増加したという研究結果があります」。つまりこれは、腸内に棲む何兆もの細菌が体形に重要な役割を果たしていることを示す有力な証拠なのだとか。
また、腸内細菌は脂肪として蓄積されるカロリーと燃焼されるカロリーの量を左右するだけでなく、腸内細菌は食欲にも影響を与えるという。
「腸脳相関は強力なものです。ある細菌は空腹ホルモンを産生する能力に長けており、脳に介入して悪玉菌が繁殖できる食事を摂るように働きかけるのです」とモズリー博士。
つまり、体が求める食べものに腸内細菌が影響を与えることで、体重にも影響を及ぼすと考えられている。
3. 腸内細菌の多様性が高まる
発酵食品は、既に腸内に存在するコロニー(集落)の構成を多様化して健康に有益な細菌を増やすことができる。
「腸内細菌の多様性を高めることは重要です。その効果的な方法が発酵食品を食べることなのです」とモズリー博士。
そこで、2000年代初頭にブームを巻き起こしたヨーグルト飲料が今あなたの頭に浮かんだなら、自然な発酵食品について詳しく見ていこう。モズリー博士いわく、ヨーグルト飲料が腸に有益であるという証拠はなく、大量に添加された砂糖や人工甘味料が、腸内細菌の健康的なバランスを整えるうえで味方にならないことを指摘している。
4. 生きた細菌が含まれている発酵食品に限る
発酵食品(ザワークラウト、キムチ、コンブチャ、ケフィアなど)には、1gあたり数百億個の善玉菌が含まれている。でも、モズリー博士いわく、発酵食品を選ぶ際には慎重になる必要がある。「腸にいい影響をもたらすには、発酵食品に生きた細菌が含まれていることが必須となる。
そこでモズリー博士は、キムチを瓶で手作りしてお金を節約するか、店で購入するなら、その発酵食品が加熱殺菌されていないことを確認するようにアドバイスしている。
食生活に取り入れるべき5つの発酵食品
1. ヨーグルト
プロバイオティクスのもっとも代表的な天然由来のヨーグルトは、消化を助けてくれる。食品表示ラベルに「生きたまま容器の中で培養されていると記載されているヨーグルトを選び、砂糖や人口甘味料の含有量が多いものには注意を払うべき。
モズリー博士のオススメは、全脂肪のヨーグルト。「全脂肪の乳製品を摂取する人は体重が低い傾向にあることが研究で示されています。それは、食後の満足感が高いだけでなく、ヨーグルトに含まれる多くの栄養素が脂溶性だからです。脂肪分を取り除くということは、それらの栄養素まで失われていることになります」
2. ケフィア
ヨーグルトと牛乳の中間のようなケフィアは、細菌と酵母を加えた牛乳を発酵させて作られており、プロバイオティクスやビタミンを美味しく補うことができる。ほのかな酸味とクリーミーな美味しさが人気の秘密。フルーツと混ぜてスムージーにするか、グラノーラにトッピングして朝食に食べるのもオススメ。
BBC番組「Trust Me, I'm a Doctor(私は医者だから信じて)の中でモズリー博士は、ケフィアが腸内細菌の向上に有益であるのに対し、プロバイオティクス飲料には効果がないことを実証している。
3. 味噌汁
和食の定番である味噌は、大豆や大麦、米などに塩と麹を加えて発酵させた半固体状の調味料。なかでも味噌汁は低カロリーで腸にいい菌がたっぷり。
4. ソフトチーズ
すべてのチーズが同じように作られてはいないけれど、熟成して作られた特定のチーズ(チェダー、カッテージ、パルメザン、ゴーダなど)には、消化管を通過しても生き延びられるプロバイオティクスがしっかり含まれている。
5. 発酵キャベツ
ドイツの定番料理であるサワークラウトも、韓国の人気料理であるキムチも、プロバイオティクスが豊富な発酵キャベツと同じコンセプト。ただ、瓶に入った製品の多くは熱処理がしてあるため、新鮮なもの(または手作りしたもの)を食べるのがベスト。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: FRANCESCA MENATO AND ALLY HEAD Translation : Yukie Kawabata
短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。