激しい運動は苦手だけど、ストレッチや筋膜リリースは自宅で定期的に行っているという人も多い。少し体を動かすだけでも眠りが深くなったり、代謝が上がったりと良い効果がたくさん見込めるうえ、セルフコンディショニングができることは長期的な健康を作り上げていくためには最も重要だとパーソナルトレーナーの林健太さんは語る。

「運動だけを頑張っていても、メンテナンスを怠ると整体やマッサージに通い詰めになり、結果的に自分一人でコンディションを整えることが難しくなります。運動頻度は低くても、フォームローラーやマッサージボールを使ってセルフコンディショニングができれば日々の不調からも解放されます」

肩こりや腰痛など様々な不調を抱える現代人にとって、仕事の効率を落とさないためのセルフコンディショニングはもはやマナー。ほぐす順番や場所も考慮することでその効果も変わってくるそう。

「体にはたくさんの筋肉がありますが、それぞれに筋膜による繋がりがあります。セルフコンディショニングで筋膜リリースをする際には、その筋膜の繋がりを意識して行うことでさらに効果を高めることができると考えられます」

今回は解決したい不調別にほぐすべき意外な筋肉やその順番まで、林さんが解説してくれた。今日からセルフコンディショニングを習慣化していこう。


①肩こりは前腕もほぐすこと

medical services
vadimguzhva//Getty Images

肩こりの原因筋の一つである首の後ろから肩、背中にかけて広がる僧帽筋。デスクワーク以外にもバッグを持ったり買い物袋を持ったりと日常的に緊張が高まりやすい箇所でもある。

痛い箇所や気になる箇所を中心にマッサージやリリースをするのはもちろんだが、肩こりに関しては意外な箇所までほぐしてほしいと林さん。

「僧帽筋の流れは手の甲まで繋がっています。パソコンのキーボードやマウスの操作で酷使していることを意外に見落としがちな手の背面も、セルフコンディショニングの対象です。肩こりを感じる時は肩周辺だけでなく、その流れで上腕の外側から前腕の背面、さらには各指の背面までほぐすようにしてください」

フォームローラーやアイテムが使いにくい部位は手でもみほぐすもよし、林さんのおすすめは自分の足で踏む方法や仰向けになり、背中の下に腕を入れて圧迫する方法。

普段、疲れをそこまで感じない前腕や手に肩こり解決の糸口が隠されているかもしれない。

②むくみには背面全体をほぐすこと
happy sporty woman training on mat outdoor summer day, using foam roller massager on shoulder and back for relaxation
Khosrork//Getty Images

むくみが最も気になるのがふくらはぎ。このふくらはぎも他の筋肉との繋がりを意識してほぐしていくことで、姿勢の改善に繋がるセルフコンディショニングになると林さん。

「まずはフォームローラーを踏んで足裏を刺激します。そこからアキレス腱、ふくらはぎと順に太ももの裏からお尻にかけてをほぐしていきます。痛みが強くでない範囲で行い、フォームローラーの硬さや形状も部位によって変えていくことをおすすめします」

余裕のある人は上半身も背中側をそのままほぐしていくと良いそう。特に背面の筋肉は硬くなりやすいので、少しずつでも毎日継続することが重要。

最後は首の後ろから後頭部、頭頂をもみほぐし、おでこから眉毛のあたりまでほぐすと体の全身バランスも整っていくそうなので試してみて。

③腰痛は内転筋からほぐすこと

woman in leggings rolling her tights on a foam roller
Ziga Plahutar//Getty Images

「腰痛の原因は様々で、筋肉以外にも内臓の影響やストレスなどいくつかに分けられます。中でもマスク生活で浅くなりがちな呼吸は腰椎に繋がる横隔膜に大きく影響を与えるため、意識してほぐすことで自律神経も整います」

その繋がりのポイントは内転筋から腸腰筋への流れ。これらが横隔膜への流れに繋がり呼吸を改善してくれる。さらには顎の動きや咀嚼、舌のポジションを左右する筋肉にまで影響を及ぼすので、マスクで運動をする人には非常に重要なセルフコンディショニング。

「横隔膜は腸腰筋とのつながりで呼吸のリズムと歩くリズムを繋げています。そのため、マスク生活とテレワークの組み合わせで呼吸と歩行の減少から腰痛を発症している可能性は大いに考えられます」

さらに他の意外な原因としては、乱れた食生活により内臓に負担がかかり、そこから周辺の筋肉や腰椎に影響を与えることも考えられるそう。

浅い呼吸、少ない歩数、多い食事の私生活の悪循環を断ち切ることも、セルフコンディショニングの大事な要素。

④太ももの張りは脛までほぐすこと

foam roller quadriceps massage
microgen//Getty Images

太ももの前や横が張って脚が太く見えると悩んでいる女性は多い。トレーニング後にそういった筋肉をほぐしている人はよく見かけるが、トレーニング前にほぐすことも有効だと林さん。

「トレーニングのフォームが崩れるとハムストリングスや殿筋に刺激が入らず、前面や外側の筋肉ばかりを使ってしまいます。フォームの改善はもちろん大前提ですが、それと同時に鍛えたい反対側の筋肉をほぐしておくことで、本来使いたい筋肉が動きやすくなります」

例えば太ももの裏をトレーニングしたければ、その前に太ももの前を弛緩させること。そうすることで膝を曲げる動作もスムーズになり、運動効率はアップする。

さらに太もも前から脛、足の甲までの繋がりをほぐしておくことで足首の動きもスムーズになるので、スクワットなどを行う際には下半身前面の全体をほぐすようにしてみて。

編集部おすすめの筋膜リリースアイテム
DEEP RECOVERY(ディープリカバリー)
DEEP RECOVERY(ディープリカバリー)
¥9,900
shop.womenshealth-jp.com で見る

ほぐしたい箇所に当てるだけで振動によって手軽に筋膜リリースできる、マッサージガン。フォームローラーでは届きにくい手の甲や腕、内転筋などもピンポイントで使いやすい。

エコ グリッド フォームローラー
エコ グリッド フォームローラー
¥6,490

ベーシックなフォームローラーをエコ素材で仕上げた一品。面積が広いので、背中や太ももなど広い部分をほぐすのに最適。シックなベージュカラーはインテリアにも馴染みそう。

スパイラルボール
スパイラルボール
¥4,378

ピンポイントで深く圧をかけられるので、腸腰筋など深部の筋肉にもアプローチできる。肩まわりのリリースや、お尻のリリースにもおすすめのやや大きめのボールタイプ。

Headshot of 林健太
林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/