「2020」。たかが数字と言ってしまえばそれまでだけど、今年何かが起こりそう、とソワソワしている人も少なくないだろう。オリンピックというビッグイベントを前に、急速に変わりゆく東京。新しいモノ・コトが生み出されるエネルギーを全身で感じつつ、「NAKED by Women’s Health」メンバーの梨花、モニカ、さわこが「東京マラソン 2020」を走る。運動経験も目標タイムもバラバラな3人がどんな練習をして、本番の3月1日を迎えるのか。ランニング記録を追う。
今日は、短距離選手、モデル、エディターとマルチに活躍する梨花。周囲からは「体力おばけ」と呼ばれる元気印だが、フルマラソンはめっぽう苦手だそうで……?
インタビュアーは、ウィメンズヘルスのエディターであるさわこが務める。
さ)12月のホノルルマラソンお疲れさま! 初めての42.195kmはどうだった?
梨)正直、辛かった! 記録は5時間20分。 ホノルルは平坦なコースで景色も最高だから、初めてのフルマラソンにはぴったりだって人に聞いてたの。でも景色を見る余裕は一切なかった(笑)。35km以降は、股関節も脚も動かなくて。ゴールしてから喜びを感じる間もなく、今すぐ帰りたいと思っちゃった。
さ)そんな梨花さん想像できない(笑)。短距離選手として日本一に輝いた経験もあるんだよね。辛いことへの免疫とか体力が備わっていて、フルマラソンなんてへっちゃらなのかと。
梨)100mは、号砲が鳴ってからゴールまでたった10秒前後で勝負がつく世界。その短い時間で爆発的なパワーを出すために、何年もトレーニングを重ねる。でもフルマラソンは、レースが終わるまで数時間。いかに省エネできるか考えるのは、全く新しい世界。走るって大枠だと同じスポーツに見えるけど、まったく別物だと、この間のフルマラソンで実感したよ。
正直に言うと、長距離は苦手。私は短距離ランナー特有の、上に跳ぶ走り方が身についてるから、ふくらはぎを使いすぎてしまうの。ふくらはぎの筋肉は、お尻や腿の筋肉に比べて小さいから、負荷を受け止めきれなくて10kmも走ると疲労しちゃう。でもなかなかフォームは直せない。簡単じゃないよね。
だけど新しい挑戦だと思って、今は櫻子(梨花の親友で元長距離選手、NAKEDの部長)がアドバイスしてくれたことを徹底してる。
さ)どんなアドバイスだったの?
梨)『自分の良さを生かした練習をしたほうがいい。ロング走のあとに坂ダッシュを入れるとか、得意なことを取り入れるのが練習を続ける秘訣だよ』って。
さ)東京マラソン 2020に出ようと思ったのはなぜ?
梨)この2020年だからこそ、走りたかった。ここ数年、街の様子が驚く速さで変わっていってる。1964年の東京オリンピックがそうだったように、きっといろいろな変化が生まれるビッグイヤーになると思う。そんな節目の年に東京を走ったら、人生の財産になる気がしていて。
さ)いまはどんな練習をしてる?
梨)今日は60分走り続けられた、とか長時間体を動かすことに慣れるようにしてるよ。だから走る距離はそこまで意識してない。90分、120分って時間を伸ばしていって、最後に坂ダッシュを3~5本。坂ダッシュが大好きだから、そのために頑張ってる(笑)。
運動頻度としては、2日走って1日アクティブレスト。アクティブレストは、自分が楽しいな、と思う程度の運動をして、リラックス。
本番までのあと1か月半は、体を長時間動かすことには慣れてきたから、速さやペースを意識した練習にシフトしていくつもり!
さ)ケガをしないために、いつもやってるメンテナンス法はある?
梨)お風呂上りには欠かさず、オイルマッサージとストレッチをするよ。体が温まった状態で、筋肉をほぐして、滞ったリンパを流したり、筋膜をはがしたり。筋肉が硬いとケガしやすいからね。
さ)最後に東京マラソン 2020の目標を教えて。
梨)サブ4(4時間を切って完走すること)したい! って思ってたけど、ホノルルで辛さがわかったからサブ4.5にさせて(笑)。フルマラソンは長いからこそ、レース中いろんな感情が湧き上がってくるよね。楽しさも辛さも、感謝も。その感情を何一つ取りこぼさず、向き合えたらいいな。それで、長距離の楽しみ方を新たに開拓したい!
さ)フィニッシュした瞬間、梨花さんがどんな言葉を発するか楽しみにしてるね。
梨)お腹空いたーとか言いそう(笑)。
Photo: Cedric Diradourian
スポーツファッション・サステナブルの記事を担当。山梨県の富士河口湖町へ移住し、オンラインを駆使して取材活動を行う。フェミニズムや環境問題などの時事ネタやニュース、人を掘るのが得意。 2020年までウィメンズヘルス編集部に在籍。