ダイエットが進むにつれ体重減少幅は目に見えて停滞してくる。

これは誰にでも起こり得ることで、体のホメオスタシス(慣れ・恒常性)による影響が大きい。しかし、ダイエットスタート時から体重減少が思うように進まない人は、すでにその影響を受けているかもしれない。

「慢性的な食習慣で体が慣れてしまっている場合は、一度崩してみることも必要です。普段から低脂質を心掛けている人は思い切って高脂質な食事をしてみるなど、真逆のことをしてみると変化が訪れることもあります」

そうは言ってもダイエットをしている人はなかなか思い切って食べられない。チートデーやご褒美の日を作っても思い切って食べられない人もいるくらい、ダイエットはメンタルにも大きな影響を与えているのが現状だ。

「この躊躇が一つの停滞原因であることもありますが、それ以外にも考えられる原因をピックアップしました。どれに当てはまるかをご自身の食生活と照らし合わせて見極めてください。原因がわかれば早急に対処して、まずはダイエットの大きな敵になるストレスから解放されましょう」


ダイエットで体重が減らない原因①食べる量が少ない
small cherry tomato with big blue plate
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俗にいう過度なアンダーカロリー。

基礎代謝を下回る食事を続けていると、体も消費を抑えようとする。まずは自分自身の基礎代謝や活動量、食事のカロリーを比べてみよう。

基礎代謝を下回るエネルギーの食事が続いている日が多いようであれば、恐らく基礎代謝もその摂取カロリーに合わせて低くなっていると考えられる。

「これを戻すためにはとにかく食べることです。普段から食が細い人は食べているつもりでも食べていないことも多いので、どれだけ食べられたか記録することも重要です。炭水化物を除脂肪体重×7g程度摂取することを、2日間続けて変化を見てください。もちろん一時的に体重が増えることもありますが、これは体脂肪が増えたことによるものではないので安心してください」

ダイエット中に正しくたくさん食べることに関してはメンタルブロックが働いてしまう人も多いが、たった1~2日で体は変わらない。

その積み重ねが大きな変化に繋がるので、一度逆方向に振り切って助走をつけてみよう。

ダイエットで体重が減らない原因②微量栄養素不足

ダイエット中は当然食事量が少なくなるので、それに付随して水分量やビタミンミネラルなどの微量栄養素が不足しがち。

特にビタミンB群は代謝ビタミンとも呼ばれ、糖質や脂質の代謝に関わる補酵素として働く。すなわち不足すると代謝の低下に直結するので、これはサプリメントもうまく活用しながら補っていこう。

特に8種類あるB群は、それぞれを単体で摂るよりもまとめて摂るほうが体内での働きもよくなる。さらには水溶性のビタミンで体にため込むことができないので、こまめに摂取することを心掛けよう。

食事量の低下が水分不足に繋がらないように、こまめな水分補給も心掛けながら、B群のサプリメントも摂取すること。

「摂取したものが全て吸収されるわけではなく、水溶性ビタミンは活動量や食事量に応じても消費量が変わってくるので、多めに摂っても問題ありません。また、タブレットやカプセルは一粒で一日分が補えるものよりも、三粒など推奨量を複数回に分けて摂れるものを選ぶ方がおすすめです」

ダイエットで体重が減らない原因③活動不足
ダイエットをしても体重が減らない原因
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これはかなり多くの人が抱える問題。

毎日ジムには行っているけれど、普段の生活や仕事のスタイルが座りっぱなしという人も多い。せっかくの筋トレが日常活動の穴埋めになってしまってはもったいない。

運動の時間を確保することはもちろん大切なことだが、まずは日常の生活を見直し消費カロリーの増大を図ることが優先。

一日に消費するカロリーの約20%が運動や日常活動によるもの。いくら運動がカロリーを消費するといってもそのすべてを運動だけで消費しようと思うと大変な時間を費やさなくてはいけないだろう。

座って仕事をしている人も5分に一回は立ち上がる、座って行っている作業や読書を立って行う。これだけでも消費カロリーがアップし、脳の回転も上がる。

まとまった時間を取って運動ができなくでも、普段からちょこちょこ動く意識をしておくことが大切だ。

ダイエットで体重が減らない原因④内臓の働き低下

食事の回数が少ないのに一度の量が多い人は、消化に多くのエネルギーや時間を費やす。一度の食事で吸収できる栄養素の量にも限界があるので、そのキャパを超えてしまうと内臓には想像以上の負担が。

「ブランチが習慣化している人や、仕事が忙しくランチタイムを逃してしまった後は空腹の勢いで高カロリーディナーを食べてしまうなんて人は要注意です」

特に肝臓は体中で最もエネルギーを消費する臓器。筋肉を増やせば基礎代謝が増えると思いがちだが、占める割合は肝臓のほうが実は多い。

つまり内臓の働きの低下は基礎代謝の低下に直結する。

「腸内環境を整えることや、肝臓や腎臓、心臓の働きなど我々が普段実感できない部分が基礎代謝の多くを占めています。今一度それらに過度な負担をかけていないか日常生活の再確認が必要ではないでしょうか」

飲酒やドカ食い、ジャンクフードや動物性脂質の過剰摂取など、それらが積み重なった結果、筋力アップではフォローしきれない基礎代謝の低下を招いている可能性も大いに考えられる。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/