ダイエットをして痩せれば理想の体に。

そんな万能なイメージを持っているかもしれないダイエットだが、もしかするとあなたの抱えている悩みの解決法=ダイエットではないかもしれない。

「一般的には痩せていると言われる体形でも、特に女性は悩みを抱えている場合が多いです。体重の問題ではないのに痩せれば変わると勘違いしている方もいらっしゃいます。過度なダイエットはもちろん健康を損ねる可能性があるので、原因や改善ポイントの目線を変えることも必要です」

そう語るのは、パーソナルトレーナーの林健太さん。今回は、ダイエットだけにフォーカスせずに改善を試みたほうがいいポイントをピックアップしてくれた。つい痩せることだけに目的が集中しがちだが、目標や理想に近づくために改善するべきことが他に見つかるかもしれない。

①脚やせはむくみ改善から

誰もが経験したことがあるむくみは、皮膚や皮膚下に水分がたまった状態。水分や塩分を控え、カリウムの多い食材を摂ることで解消できることは知っている人も多い。

テレワークの影響で座りっぱなしの時間が多い人は、特に注意が必要。ふくらはぎの運動が少ないと筋収縮によるポンプ作用がうまく働かなくなってしまい、下半身の血液が戻りにくくなりむくみにつながることも。

水分や塩分、ミネラルの摂取量に気を付けることに加え、最低限の歩行活動を取り入れていくことで大きく改善する。

脚が太いから引き締めたいという方は普段から座りっぱなしが続いていないか、毎日歩数は十分に確保できているかを再確認してほしい。

日常化したむくみを改善することが、脚痩せなどへの大きな一歩かも

②おなかや二の腕の部分痩せには、姿勢改善を
illustration set of a woman with a stoop and a straight posture
matsuriri

ポッコリおなかや部分痩せ。体の一部分が気になる、改善したいという人はかなり多い。

「猫背や反り腰などの姿勢改善でポッコリおなかは改善できることが多いです。また、姿勢が改善することで呼吸や歩き方が変わるので、その効果は全身にわたって期待できます」

太ももの隙間や二の腕の振袖肉も姿勢改善が大きく影響する。正しい歩き方や肩甲骨のポジションを整えるだけで体の使い方が変わり、気になっていた部分にもどんどん変化が訪れる。

もちろん今までの姿勢や体の使い方が長ければ長いほど癖もついているので、効果を実感するまでには時間がかかるかもしれない。

トレーニングを行う際にも正しい姿勢が作れていれば効果も大きく変わる。部分痩せだけのつもりが全身を理想のプロポーションに導いてくれることだってあり得る。

③なかなか痩せない人は食事の見直しを

トレーニングを頑張っているのに痩せない、体が変わらないという人の原因は食事。間食にプロテインを飲むなど、プラスアルファの努力ではなく根本の改善が必要だ。

食べ過ぎたら動いて消費するという考えの人も多いが、運動で消費できるエネルギーは想像以上に少ない。食べた分を消費させるという考え方ではなく、消費できる分を食べるという考え方が重要で、常日頃から食べ過ぎていると体がそれを覚えて必要以上の食事がないと満足できなくなってしまう。

「量と質のバランスを整えるだけで体重や体質に変化が出てきます。私たちの体を作るのは外的要因のトレーニング以上に、口にする食事という内的要因が大きく関わることを念頭に置いておいてください」

オーガニックやグルテンフリーなど流行りや難しいことを取り入れる必要はない。菓子やジャンクフードなど日常でついつい手が出てしまうものを抑えるだけで、質と量のバランスが一気に変わり、心身の変化も大きくなっていくだろう。

④人と比べて悩みが尽きないなら、思考の見直しを

ダイエットを始めるきっかけは人それぞれだが、多くの場合は自分の問題解決。

しかし、ダイエットが進むにつれ他人と比べてしまったり、過去の自分と比べてしまったりする。自分がどうなりたいかをゴールに始めたはずのダイエットや運動が、いつしか周りと比べる手段にはなっていないだろうか。

競技者を目指していればそういった思考でも問題ないだろうが、一般的にダイエットをしている人がその思考を持ってしまうといつまでも悩みが解決できなくなってしまう。

新たなゴールを設定することは非常に大切ではあるものの、他人や過去の自分を比較対象に持ち込んではいけない。

自分がなりたい姿に近づいていき、次はまたそれをアップデートした姿を目指すという理想の追いかけっこをすることを心がけてみると、自然に悩みはなくなり健全な目標が生まれる。

⑤筋肉を増やして脂肪を減らしたいなら、目的を絞ろう

筋肉はつけたいけれど脂肪は落としたい。それは誰もが望む理想的な方法ではあるものの、非常に難しく非効率な方法。

「増やすと減らすは行動という点でも正反対。まずはどちらかに目的を絞るほうが体の変化も大きく、次へのステップも明確化してくるでしょう」

特に病気などで痩せることに急を要していない人であれば、多少の体重増減は気にせずにトレーニングをしてみてはどうだろうか。

運動をすれば食欲も増していくのは当然のことではあるものの、消費したエネルギーは過不足なく補うほうが体を変化させるには効率的。

もちろん、なるべく脂肪を付けずに筋肉をつけることを心がけながらだが、目的を一つに絞り集中することで新しい自分の姿が見えると、今の問題以上に新しい目標や目的が生まれるかもしれない。

Headshot of 林健太
林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/