次から次へと生まれるダイエットトレンド。そして今話題の代謝を促す「2-2-2メソッド」とは、ケトジェニックダイエット、インターミッテント・ファスティング(断続的断食)、カーボ・ローディング、HIITワークアウトなど、複数の有名な減量テクニックを一つにひっくるめたダイエットプランなんだとか。

『The Met Flex Diet:Burn Better Fuel, Burn More Fat』の著者で2-2-2メソッドを考案したイアン・K・スミス博士によると、2-2-2メソッドは本書の中で紹介されているメットフレックスダイエット(Met Flex Diet)プログラムのうちの一つのバリエーションであり、本書を読む以外でメットフレックスダイエットに関する情報を得られるリソースは少ないとのこと。

ところで、3つの「2」が示すものとは? スミス博士いわく、最初の2は高脂質食と高糖質食の2つの異なるタイプの食事。2番目の2は、週ごとの体重測定や日記など食生活とは関係のない取り組み。3番目の2は、自重トレーニングや高強度インターバルトレーニングで構成される運動を表している。

スミス博士の話によれば、一般的に人は炭水化物と脂肪のどちらかを効率的に燃焼させることができるけれど、2-2-2メソッドは代謝の柔軟性を高めるため、脂肪と炭水化物の両方を効果的に燃焼させ、体重減少を早めることができるという。

興味が湧いてきた? では、2-2-2メソッドが代謝に与える影響について知っておくべきことと、実際に減量に効果があるのかをイギリス版ウィメンズから詳しくみていこう。

2-2-2メソッドとは? 

スミス博士の書籍によると、2-2-2メソッドは6週間のダイエットプランで、最初の1週目は、14:10インターミッテント・ファスティング(14時間断食し、10時間の間で食事を摂る)を行い、2週目は5:2インターミッテント・ファスティング(週に2日だけ、1日の食事を500kcalに抑える)に切り替える。

ちなみに初めの2週間の食事内容は主に炭水化物とタンパク質が中心で、本書には具体的な食品の提案やレシピが掲載されている。

残りの4週間は、カーボ・ローディングと高脂肪食(ケトン食)を交互に取り入れる。3週目と4週目では16:8インターミッテント・ファスティング(8時間以内にすべての食事を済ませ、16時間断食する)を、5週目では5:2メソッドを導入し、6週目では隔日メソッド(1日置きに、食事の摂取カロリーを500kcalに抑える)を実践。

1日に必要なカロリーやマクロ栄養素の量がきっちり定められているわけではないが、本書でスミス博士が提案している食事やスナックのメニューを見ると、いつどのくらい食べるといいのか感覚が掴みやすくなる。例えば、4週目の昼食にはグリルチーズサンドとフライドポテト、もしくはマッシュルーム、ビーツ、キュウリ、米、ひまわりの種、バジルをトッピングして、好きなドレッシング(大さじ2〜3杯)をかけた3カップ分の緑の野菜サラダが提案されている。

ではここからは、メットフレックスダイエット/2-2-2メソッドで使用される用語について解説していこう。

代謝の柔軟性

「代謝の柔軟性とは、一般的に身体がエネルギー需要の変化や脂肪、炭水化物など異なる燃料源の利用可能性に応じて、代謝を適応できる能力のことです」と説明するのは、『2 Day Diabetes Diet』を著書に持つニュージャージー州在住の管理栄養士、エリン・パリンスキー=ウェイド。これにより、体は効率的に燃料源を切り替えることができ、エネルギーを最大限に生産したり利用できるようになるのだそう。

ケトン体

ケトジェニック・ダイエットとは、パリンスキー=ウェイドいわく、高脂質、少量から適度な量のタンパク質、低糖質で構成される食事で、身体を「ケトーシス」状態にするのがこの食事療法の目的。つまり、体内の細胞がエネルギーとして利用できる糖質を枯渇状態にさせること。

ケトーシス状態に入ると、体は不足した糖質の代わりにケトン体という有機化合物を生成し始め、より多くのエネルギーを得るために脂肪を燃焼するようになる。

カーボ・ローディング

その名の通り、カーボ・ローディングとは炭水化物をたっぷり摂取する栄養戦略だと説明するのは、内科、消化器科、肥満医学、ライフスタイル医学の認定専門医、スープリヤ・ラオ医師。この食事法は通常、持久力を必要とするスポーツ選手やアスリートが長時間の運動や断食中にエネルギー不足を起こさないように、グリコーゲンの貯蔵を最大限に増やすために行うものだそう。

インターミッテント・ファスティング

インターミッテント・ファスティングとは、食事をする時間と断食する時間を交互に切り替える食事プランの一種。基本的に食事をする時間帯は食べたいものを食べることができ、断食する時間帯に摂取できるのは水、お茶、コーヒーのみ。食事と断食の時間の長さは、どのタイプのダイエットを実行するかによって異なる。

2-2-2メソッドを試してみる際に考慮すべきこと

woman working out with weights while exercising in home
Thomas Barwick//Getty Images

3種類の運動(ウォーキングなどの有酸素運動、筋力トレーニング、高強度インターバルトレーニング(HIIT))は体に与える影響がそれぞれ異なるため、6週間のプログラムにすべて取り入れることをスミス博士は提案している。

メットフレックスダイエット本には、より広範なワークアウトプランの詳細が書かれており、スミス博士によると、その日の食事パターンと運動が補完し合うように調整されているとか。

2-2-2メソッドでは、継続して目標を達成するために、毎日の気持ちを日記に書き留めたり、週の進捗状況をグラフに記録していくことが奨励されている。スミス博士によると、彼の調査グループの中で毎日日記をつけていた人は、日記をつけなかった人より体重が25%多く減少したという。また、進歩を正確に追跡するために、週に1回、同じ場所で同じ時間に同じ体重計で、同じ服装、あるいは服をなにも着ないで体重を計ることも推奨されている。

2-2-2メソッドは本当に効果がある?

日記をつけること、週に1回の体重測定、HIITワークアウト、インターミッテント・ファスティングなど、2-2-2メソッドが包括する個々の要素はどれも体重減少に確かに役立つけれど、スミス博士が言うように、それぞれが全体として長期的にうまく機能するかについてはまだ実績がない。

2-2-2メソッドが減量に効果的な可能性はあるものの、パリンスキー=ウェイドいわく、減量や全体的な健康への影響を実証できるほどの大規模な臨床研究は行われていないとか。「事的証拠や個々の体験から良好な結果が示されることもありますが、すべての人に効果があるわけではなく、体重減少は一時的なもので、長期的な改善がみられない可能性もあるでしょう」とパリンスキー=ウェイド。「このダイエット法は代謝の柔軟性を促すものなので、ダイエット中の停滞期に悩む人には役立つ場合もありますが、この食事戦略に関しては複雑で、一部の人にとっては負担が大きく、長期的に続けることが難しい場合もあります」

これにはラオ医師も同意見。2-2-2メソッドは減量に効果的かもしれないが、結局は個人によるものだとラオ医師は強調する。「私はすべての人に一般的なダイエット法を勧めることはありません。一人ひとりに合った減量プランを実践していくべきです。まず第一に、私は患者さんのライフスタイルの改善になによりも重点を置いています。減量を成功させる鍵は食事制限ではなく、栄養価の高い食品を積極的に取り入れることにあると私は信じています」とラオ医師。

ラオ医師からの提案は? 食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富な果物や野菜をたっぷり摂取すること。「植物性食品は、加工食品に比べて栄養価が高くカロリーが少ないため実際には多くの量を食べてもカロリー摂取量を抑えることができ、長期的なダイエットを支えてくれるものです」とラオ医師。また、減量したい人は医療従事者と、必要に応じて栄養士やパーソナルトレーナーと一緒に取り組んでいくことも勧めている。

2-2-2メソッドの潜在的なデメリット

a tired woman after a workout at the gym
Alberto Case//Getty Images

体重減量、糖尿病、コレステロール、多嚢胞性卵巣症候群に特化したマイアミ在住の管理栄養士、キンバリー・ゴメルは、2-2-2メソッドが持続可能でない可能性を指摘している。他の短期間で痩せるようなダイエット法と同様に、最初の6週間で体重が減少するかもしれないが、それではリバウンドする可能性があるとか。

ライフスタイルを長期的に改善するわけでもなく、毎日、そして毎週の食事や運動に多くの変化を伴うため、気持ちが圧倒されるかもしれないとパリンスキー=ウェイドは付け加えた。ケトジェニックダイエットやインターミッテント・ファスティングを導入する食事プランは、食事にかなり制限をかけるため、過去に摂食障害を経験したことがある人には適していないとパリンスキー=ウェイドは言う。「2-2-2メソッドは、カロリー制限とカーボ・ローディングを繰り返し行うため、ドカ食いや過食に悩まされている人にとっても問題を起こしかねません」とゴメル。

また、2-2-2メソッドは糖尿病やインスリン抵抗性を有する患者にもお勧めできないとパリンスキー=ウェイドは言う。このダイエットは断食、カーボ・ローディング、ケトン食で構成されることから、血糖値が極端に下がり過ぎると危険な低血糖状態を引き起こす可能性がある。

結論:食事制限と運動を優先するダイエットは、減量の努力を強化する可能性がある一方で、2-2-2メソッドはすべての人に適しているわけではない。慎重に考え、まずは医師の指導を受けることを検討するように。
 
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: ANDI BREITOWICH Translation : Yukie Kawabata

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Andi Breitowich

Andi Breitowich is a Chicago-based writer and graduate student at Northwestern Medill. She’s a mass consumer of social media and cares about women’s rights, holistic wellness, and non-stigmatizing reproductive care. As a former collegiate pole vaulter, she has a love for all things fitness and is currently obsessed with Peloton Tread workouts and hot yoga.  

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川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。