体重を落とす方法は一つじゃない。あなたがすでに食事を改善し、定期的に運動をしているのだとしたら、他の方法を探したくなるのも無理はない。ダイエット法としてネット上によく出てくるのが、サウナに座ること......。確かにサウナの健康効果は称賛されている。でもそれが、ダイエットにも役立つなんて本当かな? それとも、サウナはウェルネスの一環として楽しむもの?

「サウナ」という用語は、高温の部屋そのものを表す際に使用されることが多いけれど、サウナには大きく分けて2つのタイプがある。1つは「ドライサウナ」で、サウナ室の温度は150度〜195度、相対湿度は20%未満に保たれており、もう1つは、温度が110度〜120度、相対湿度が90%〜100%に保たれている「スチームサウナ」だと説明するのは、サウナ研究者で統合医学医のジョイ・フセイン医学博士。簡単に言うと、ドライサウナは乾熱を利用したもので、スチームサウナは湿度の高い状態を特徴とするもの。

それぞれにメリット、デメリットはあるけれど、体重への影響は大して変わらないよう。ここからは、サウナとダイエットについて知っておくべきことと、サウナの安全な利用法について学んでいこう。

サウナにダイエット効果はある?

サウナに入る前と後で体重を計ると、入った後のほうが体重が若干減っているはず。それはなぜ? 室内が暑くて汗をかくから。

「サウナに座っている間に、体内の水分量が減ることがあります」と話すのは、『The Small Change Diet』の著者で管理栄養士のケリー・ガンズ。でも、水分量が減ることの問題は、減った分の体重がすぐに戻ること。「水分補給をすると、体重は元に戻ります」とガンズ。

これにはフセイン医学博士も同意見。「サウナを利用することが、持続可能で意味のある減量につながることを示す優良なエビデンスはほとんどありません」

でも、だからといってサウナに入ることがダイエットに役立たないわけじゃない。『The Little Book of Game-Changers』の著者で管理栄養士のジェシカ・コーディングは、サウナが体重の減少に間接的な影響をもたらす可能性を指摘している。「多くの人がサウナを利用する理由の1つは、サウナのリラクゼーション効果です」とコーディング。「ストレスは減量の妨げになるほか、(ストレスを晴らす手段として)人は健康を損なう習慣に傾きやすくなるため、間接的なメリットが得られるでしょう」

でも、サウナだけで痩せようとするのはよくないとガンズは言う。「私なら、サウナが体重を減らすのに効果的だとは言いません。包括的に取り組んでいる減量プランの効果を支えるうえでサウナを利用するにはいいですが、体重に大きな変化をもたらすものではないでしょう」

サウナのタイプは考慮すべき?

長期的に着実に体重を減らしたいのであれば、サウナのタイプは重要ではない。でも、水分量に関しては、ドライサウナのほうがスチームサウナより減少しやすい傾向にある。

「スチームサウナのような高い湿度は、皮膚の表面を水分で湿らせるため、実際には汗をかく能力を低下させます」とフセイン医学博士。「スチームサウナの中にいるといっぱい汗をかいたように感じるかもしれませんが、肌についた大量の水滴は、どちらかというと汗ではなく、高湿度の空気中から結露したものだと考えていいでしょう」

でも、ドライサウナには発汗を妨げるほどの大量の水分が空気中にないため、体内の水分量は減りやすくなる。

繰り返しになるが、これはあまり意味のある減量じゃない。「サウナは減量の一時的な解決策でしかないため、サウナのタイプはとくに関係ありません」とガンズ。

サウナで考えられる副作用

サウナを利用する際に起こり得る副作用は、次のようなものがある。

  • 過熱感
  • めまい
  • 低血圧
  • 脚の痛み
  • 閉所恐怖症
  • 気道が刺激される
  • 脱水症状

サウナを安全に利用するために

フセイン医学博士は、安全を第一に、サウナへは誰かと一緒に行くように勧めている。「失神や低血圧を経験されたことがある方や、血圧が非常に変動しやすい方は、サウナやスチームサウナでの転倒に十分注意してください。また、過去3カ月以内に心臓発作や脳卒中を経験された方や、大動脈弁狭窄症などの心臓弁膜症を患う方も、心拍数や血圧の急激な変動が有害に作用する可能性があるため、サウナは控えるべきです」

サウナを利用する前後では、水分補給を十分に行い、アルコールの摂取を避けること。また、最近日焼けした人や、湿疹や乾癬に対処している人も、皮膚の症状が改善するまではサウナを避けるべき。「皮膚がこのような状態では、水分を十分に保持する皮膚の能力が万全でないため、サウナやスチームサウナに入るとすぐに脱水状態に陥るリスクが高くなります」とフセイン医学博士。

最後に、目やまぶたに炎症が起きている場合にも、治るまではサウナを控えたほうがいい。「世界規模で行ったサウナの調査では、サウナに入っているとき、またはサウナに入った後で目の炎症を訴える回答者が非常に多くいました。サウナに入った後の目の状態が原因で入院した人もいたほどです」

サウナだけで痩せようと考えているなら、専門家いわく、他の方法を検討するべき。「体重を減らすには、植物性食品を多く摂取し、添加糖を減らし、運動量を増やし、ストレスを晴らし、十分な睡眠をとるなど、長期的なダイエットに有効であることが実証されている他の減量法はたくさんあります」とガンズ。もし、サウナでリラックスしたいと思っているなら、それは行かない理由がない!
 
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。


Text: KORIN MILLER Translation : Yukie Kawabata

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Korin Miller
Korin Miller is a freelance writer specializing in general wellness, sexual health and relationships, and lifestyle trends, with work appearing in Men’s Health, Women’s Health, Self, Glamour, and more. She has a master’s degree from American University, lives by the beach, and hopes to own a teacup pig and taco truck one day.
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川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。